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大谷翔平「ワールドシリーズ制覇」への道 難敵は投手王国フィリーズと同地区パドレス、アストロズ菊池との“花巻東対決”で世界一が決まる可能性も

NEWSポストセブン 2024年9月30日 7時15分

 3年連続の地区優勝を決めたロサンゼルス・ドジャース。「50-50」というMLB史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平が、次に目指すは世界一の栄冠だ。そこに立ちはだかる強大なライバルたち。大谷が頂点に辿り着く道のりに何が待ち受けているのか。

勝利は大谷の打撃にかかっている

 エンゼルス時代に経験したことがない「ヒリヒリする9月」を熱望して常勝球団・ドジャースに移籍した大谷翔平が、メジャー7年目で初のポストシーズン進出を決めた。

 個人記録ではメジャーリーグ史上初の「50本塁打、50盗塁」超えという偉業を達成した。

 二刀流で出場した2023年WBCでのMVPやア・リーグでのホームラン王など既に数々の栄冠を獲得した大谷が、未だに手に入れていないもの──それがワールドシリーズ制覇だ。悲願の達成、そして日本人としては2009年の松井秀喜以来となるワールドシリーズMVPへの期待も高まっている。

 ポストシーズンにはア・リーグとナ・リーグから各6チームが出場。東、中、西の地区優勝3チームに加え、ワイルドカードとして地区2位以下で勝率が高い順に3チームが出場。勝率順に第1~第6シードとなり、対戦相手が決定する。

 ドジャースは11年連続でポストシーズンに進出するも、うち5回は初戦敗退。昨年も地区シリーズでDバックスに3連敗し、早々に姿を消している。偉業を達成した大谷を擁する今季も、不安要素とされているのが監督の采配だという。

「ロバーツ監督は500試合以上指揮した監督のなかで通算勝率歴代1位ですが、名将とは呼ばれていない。それは巨大戦力を率いながら世界一に1度しか導いていないからで、“ポストシーズンに弱い”という評価がなされています」

 そう語るのは、『メジャーリーグ完全データ選手名鑑』編著者・友成那智氏だ。今季のナ・リーグでドジャースの最大の壁となりそうなのは、メジャー随一の投手王国のフィリーズと見られる。

「通常プレーオフは投手3人でのローテとなるが、フィリーズは4人でも回すことができる。打線も破壊力十分。2022年にワイルドカード3位からリーグ優勝を達成した時の主力が残る野武士軍団です」(友成氏)

 難敵となる可能性があるのはフィリーズだけではない。中でも警戒が必要なのはドジャースと同じ西地区のパドレスだ。対戦が実現すれば日本人対決が注目される。

「ダルビッシュ有が3番手として完全復活し、ノーヒットノーランを達成したディラン・シース、今季大化けしたマイケル・キングの3人がローテを形成。松井裕樹がロングリリーフで起用される投手陣は脅威といえるでしょう」(友成氏)

 ドジャースはエースのジャック・フラーティ、山本由伸の順で投げるが、ケガによる離脱が相次いで3番手が不在。クローザーのマイケル・コペックの先発起用の可能性もあり、ファンからは“大谷の投手復帰”が熱望されるほどの窮状だ。

「ロバーツ監督は負傷者の穴を埋めるベンチワークの巧みさを持つタイプの指揮官ではない。試合に出られる大谷、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンらの打撃で点の取り合いを制していくしかない。

 そうしたなかでドジャースがリーグ優勝した場合、ア・リーグからワールドシリーズに進出するのがどこのチームかも注目。ヤンキースが有力ですが、菊池雄星がいるアストロズも西地区を制して期待は大きい」(友成氏)

 大谷と菊池の“花巻東対決”が世界一を決める舞台で実現する可能性もあるわけだ。

「50-50」の勢いを再び

 大リーグ研究家の福島良一氏はナ・リーグMVPについて「ライバルとして好守備が光るフランシスコ・リンドーア遊撃手(メッツ)の名前が挙がるが、大谷のMVPは濃厚」と言う。

 一方、ア・リーグのシーズンMVPは自身3度目の50本塁打を達成したアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が有力だ。大谷とジャッジという、昨季まで毎年のようにア・リーグMVP争いを繰り広げた“好敵手”同士による世界一を懸けた直接対決も見られるかもしれない。当然、大谷のワールドシリーズMVPに立ちはだかる最大のライバルとなるだろう。

 福島氏が語る。

「MVPには流れを変えたり、勝負を決める1打を放ち、チームの勝利に貢献したという強い印象が求められる。2009年の松井秀喜の時は世界一を決めた第6戦に5番DHで出場。4打数3安打、シリーズタイ6打点の大暴れ。シリーズで3本の本塁打を放ち、通算打率6割1分5厘で選出された。

 ただし、エース級が投げる短期決戦は本塁打が出づらいため、大谷の盗塁も武器となる。史上初の『50-50』を達成したマーリンズ戦での6打数6安打、3本塁打、10打点、2盗塁という数字はインパクトも強く、シーズンMVPを決定づけた。そのバッティングと走塁ができればワールドシリーズMVPはぐっと近づく」

 大谷が世界一となる瞬間を、ファンも待ちわびている。

取材・文/鵜飼克郎

※週刊ポスト2024年10月11日号

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