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“世界一経験者”元レッドソックス岡島秀樹氏が分析する大谷翔平の活躍 「ドジャースだからこそ成し遂げた50-50」

NEWSポストセブン 2024年10月1日 16時15分

 2009年の松井秀喜以来となるワールドシリーズMVPへの期待が高まる、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平。元ボストン・レッドソックス投手の岡島秀樹氏が、今季の大谷の活躍について分析した。

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 NPB時代に二刀流の大谷君と対戦経験がありますが、飛距離や打球の速さを見ていると打者に専念すればメジャーでも凄い数字を残すだろうと思っていました。とはいえ、盗塁と本塁打でここまでの数字を残すとは……。これまでメジャーの選手たちができなかった「50-50」という数字を達成したのは素晴らしい。この記録は強打者が揃っているドジャースだからこそ勝負してもらえた結果かなと思います。

 盗塁に関しても、打者に専念することで増えると思っていましたが、メジャーの投手が打者との勝負を優先させることに加え、けん制回数が制限されたことの影響も大きい。イチローさんの時代にこのルールがあれば、もっと走ったでしょうからね。ただ、大谷君にヒットを打たれると盗塁も含めて二塁打を打たれたことになる。投手としては脅威を感じる打者です。

 それでも大谷君を抑える投手はインハイに厳しい球を投げる傾向にある。その後、外角低めに外へ大きく曲がる変化球を投げ、カウントを稼いだり凡打にする。対角線上にコントロールできる投手は打ち取っているが、打者として対戦しないといけないのに投手だという意識で投げるため、インコースを攻めきれていないケースが多い。大谷君が凄いのはその失投を見逃さないところなんです。

 短期決戦のポストシーズンは勢いがあるチームが勝ち上がっていく。勢いをつけ、相手の勢いを止めるために打つべき人が打ち、エース級が抑えないと勝てない。ドジャースのエース不在は投手戦での懸念材料となる。打ち勝つしかない苦しい戦いになるでしょう。

 今季のポストシーズンでは日本人対決が予想されます。2007年のワールドシリーズでロッキーズの(松井)稼頭央君と対戦しましたが、特別な思いはありましたね。勝てば日本人として私や(松坂)大輔君が世界一だし、負ければ稼頭央君が世界一になる。なんともいえない複雑な気持ちでしたが、勝って世界一になると仲間を信じて戦いました。

 ナ・リーグMVPは大谷君だと思います。この勢いのまま、ワールドシリーズMVPまで走ってほしいですね。

【プロフィール】
岡島秀樹(おかじま・ひでき)/1975年、京都府生まれ。ドラフト3位で巨人に入団。独特のノールック投法の左腕投手として、巨人、日本ハム、ソフトバンクで日本一に貢献。2007年にはMLBレッドソックスの一員としてワールドシリーズを制覇した。

取材・文/鵜飼克郎

※週刊ポスト2024年10月11日号

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