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《“偽装辞任”理事のメール入手》NHK「ラジオ中国人不適切放送」で辞めて1週間で再雇用…職場の人間も驚いたメッセージの全容 肩書はエグゼクティブ・プロデューサー

NEWSポストセブン 2024年9月30日 8時14分

 NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフによる不適切な発言が問題視されたことを受け、9月10日に引責辞任した国際放送担当の傍田(そばた)賢治前理事。『毎日新聞』は9月26日、その傍田氏が辞任からわずか1週間後に、NHKにプロデューサー職で再雇用されていたことを報じた。毎日新聞が記事の見出しで“偽装辞任”と断じたNHK人事に、波紋が広がっている——。【前後編の前編】

「もともと傍田氏は、NHKで特派員などを経験後、モスクワ支局長やアメリカ総局長も歴任。関連会社の社長を経て今年4月に理事となっていましたが、8月19日に生放送された中国語ニュースで問題が発生。中国籍の外部スタッフ男性が尖閣諸島について『中国の領土である』と述べるなど、ニュース原稿にはない発言をしたのです。

 この問題を受け、NHKは今月10日に稲葉延雄会長など幹部4人が役員報酬1ヵ月分の50%を自主返納すること、そして傍田氏の辞任を発表していました。しかしその一週間後、NHKは傍田氏を契約職員として再雇用し、NHKメディア総局のエグゼクティブ・プロデューサーの役職を与えていたのです」(メディア関係者)

 SNSでも〈形だけの対応だったということ〉〈清掃員や事務員として再雇用とかなら、どうしてもNHKを支えたいという気概を感じるけど、プロデューサーって…笑〉などと批判の声が広がっている。

 そんな中、NEWSポストセブンは復職後に傍田氏本人が「海外総支局」や「国際部基幹職」のメンバー宛てに送信したメールを入手した。NHK関係者は「9月23日に突然メールがあって、驚いたんです。そもそも契約職員として復帰していたことも知らなかったので……」と話す。メールは、次のような傍田氏の挨拶から始まる。

〈海外取材拠点での連日のご活躍、大変お疲れ様です。この度理事を退任し、17日付で「海外総支局業務改革担当」のポストを拝命しました〉

 その後、〈与えられた主なテーマは、▼海外における取材力・発信力の強化と▼時代にあった業務・体制・リスク管理のあり方です〉〈特派員ならではの、地に足のついた付加価値のある情報発信がどこまでできるかが、NHK報道に対する視聴者の信頼を大きく左右すると考えています〉と、海外報道に関する意気込みが語られている。前出のNHK関係者が語る。

「メールが届いたこともびっくりでしたが、“NHK報道の信頼”に言及している点も印象的でした。傍田さんにとっては、なかなか重みのある言葉ですよね……」

 メールの後半では〈今後できるだけ多くの総支局にお邪魔して、特派員の皆さんの生の声を聞きたいと思っています〉〈先になるかもしれませんが、順次、総支局長の皆さんと日程のご相談をさせていただければと思います〉と綴っている。

「正直、ヒアリングであればリモートでも可能ですし、支局視察も大名旅行にしかならない気がします。今後実際に海外視察が行われるかどうかは不明ですし、傍田氏自身がトラブルを起こしたわけではないですが、引責辞任し理事職を外れたとはいえ、またこういった権限を持つことには疑問が残ります」(同前)

 NHKに傍田氏をめぐる人事等について聞くと、「傍田・前理事は、9月17日付で、契約職員として再雇用しました。肩書は、メディア総局エグゼクティブ・プロデューサーです。今後は、海外特派員としての豊富な経験や知見を活かして、海外総支局の業務の見直しなどに取り組んでもらいたいと考えています」との回答だった。

 なぜNHKは“偽装辞任”と取られるような人事を進めたのか——後編記事では、責任を問われた役員が契約職員となる人事の“前例”や、傍田氏の厚遇などについて詳報している。

(後編につづく)

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