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【解散・総選挙へ】自民党“裏金問題”議員をリストアップ 「トカゲの尻尾切りで責任を免れた派閥会長」「知らぬ存ぜぬで逃れた安倍派幹部たち」

NEWSポストセブン 2024年10月2日 16時13分

 自民党総裁選が終わり、永田町の住人たちは早くも「解散・総選挙」シフトの様相だ。しかし、自民党の「顔」が石破茂・新総裁に代わったことに騙されてはいけない。「裏金問題」や「旧統一教会問題」は全容解明にはほど遠い状況で、頬被りをしたまま次の選挙に臨もうとする候補者が大勢いるのだ。審判を下すにあたって、有権者はそのことを決して忘れてはならない。【前後編の前編】

国民を2度騙すつもりか

「ボロが出る前にやってしまえ」とばかりに、自民党は解散・総選挙に動き出した。10月1日召集の臨時国会で首班指名した後に衆院を解散し、最短で10月27日投開票の総選挙も検討されているという。有権者に「考える時間を与えない」作戦だ。

 3年前の総選挙も自民党はそのやり方でまんまと批判を乗り切った。コロナ失政で支持率が急落した菅義偉氏から岸田文雄氏へと“表紙”を代えると即解散・総選挙を打ち、勝利したのだ。だが、有権者は2度も続けて騙されない。

 今回の総選挙で問われるのは、「派閥の裏金問題」と「旧統一教会との関係」というこれまでの自民党政治そのものへの審判になる。

 自民党は裏金問題で派閥からのキックバックを政治資金収支報告書に記載していなかった85人の議員・元議員を公表し、旧統一教会問題では党内調査で教団と接点があった180人のうち125人の実名を明らかにした。

 いずれも総選挙で有権者の厳しい批判を受けることになるが、中には、裏金問題と旧統一教会問題それぞれに主導的役割を果たしたり、問題発覚後も反省なく責任逃れに走ったりするなど、責任が重い政治家たちがいる。

 そこで本誌・週刊ポストは、裏金問題を告発した憲法学者の上脇博之・神戸学院大学教授と、旧統一教会と政界との繋がりを追及してきたジャーナリスト・鈴木エイト氏に、国民の重大な審判が下されるべき政治家をリストアップしてもらった。

二階氏の後継者の同僚秘書が有罪

 自民党は不記載の金額で処分に軽重をつけたが、責任の重さは金額だけでは決まらない。上脇氏の判断のポイントは、

【1】立場上、責任を負うべきなのに逃げた政治家
【2】重大な説明責任があるのに果たそうとしない政治家
【3】違法性の疑いが高い行為を行なった政治家
【4】問題発覚後も誤魔化そうとした政治家

の4つだ。

●“トカゲの尻尾切り”で責任を免れた派閥会長

 裏金事件で最も責任が重いはずの「裏金を配った側」の派閥会長たちは頬被りしている。

 岸田派会長だった岸田氏は自身の処分を不問にし、本誌が報じた「総理大臣就任を祝う会」の“脱法パーティー”の問題【※】でも責任を厳しく問われる立場だ。二階俊博・元幹事長は次期衆院選に出馬しないと表明したことで処分を免れた。

【※2022年6月に岸田氏の地元・広島で開催された「総理大臣就任を祝う会」が、実質的に岸田事務所の仕切りで運営された資金集めパーティーだったにもかかわらず、形式的に任意団体の主催にし、岸田氏の政治資金収支報告書に収支を記載しない“闇パーティー”としていた疑惑】

「派閥会長は裏金を知らなかったという態度ですが、派閥は登録された政治団体であって、組織のトップの会長には当然結果責任が生じる。それなのに党内処分さえ免れている。2人の政治責任に最終的な審判を下せるのは有権者ということになる」(上脇氏)

 ただし、二階氏は政界引退し、次の総選挙には三男で秘書の伸康氏が出馬を表明している。「代替わり」で裏金批判をかわそうというわけだが、“息子は裏金に無関係”とは言えない。

 二階氏は派閥パーティー収入のうち3526万円を自身の資金管理団体の政治資金収支報告書に記載せず、“裏金”にしていた。そのため、派閥の会計責任者とは別に二階氏の元秘書も立件され、有罪が確定した。

「二階氏の後継者の伸康氏は元公設秘書で事務所の責任者の立場にあった。同僚の元秘書が有罪確定していることから考えても、裏金問題について有権者に説明する責任を負う立場です」(同前)

●「知らぬ存ぜぬ」で逃れた安倍派幹部たち

 裏金問題をめぐる国会の政治倫理審査会では、塩谷立・元文部科学相、高木毅・前国会対策委員長、松野博一・前官房長官、西村康稔・前経済産業相、下村博文・元文科相、武田良太・元総務相ら安倍派と二階派の幹部たちが「知らぬ存ぜぬ」とシラを切り通した。

 裏金事件の公判では、安倍派の元事務局長が裏金のキックバックを再開した経緯について、「2022年8月の幹部会合で還付再開が決まった」と証言し、安倍派幹部たちの政倫審での証言に一層疑惑が深まっている。

「派閥の職員(元事務局長)に法的責任を押し付け、自分たちは関与してない、の一点張り。本当に何も知らないのであれば、キックバックについて自ら情報収集するなど、実態解明のため動くのが筋でしょう」(同前)

裏金発覚後、宛名のない領収証を提出

●裏金を「使途不明」で処理した議員

 裏金の使途について不透明な処理をしたのが高木氏、萩生田光一・前政調会長と杉田水脈氏らだ。

 萩生田氏は裏金2728万円を事務所の机の引き出しなどに現金でプールしていたと説明したが、修正した政治資金収支報告書でもその使途を説明できずに「不明」としてきた。高木氏も同じだ。杉田氏は裏金発覚後、スナックや居酒屋、カレー屋などの宛名のない領収証を提出して修正した。

「政治資金として報告できないから、『机の中にしまっていた』ことにしたと疑われても仕方がない。納得のいく説明がなされなければ、裏金の残金が議員の懐に入った疑念も浮上する。杉田氏のように、あり合わせの領収証で訂正報告して辻褄を合わせたようにしか見えない議員もいた。こんな訂正では疑惑を晴らしたとは言えない」(同前)

●「中抜き」「税金還付」でボロ儲けした議員

 派閥のパーティー券を売った代金を派閥に納めず、裏金にしていたのが「中抜き」だ。自民党の調査では「中抜き」をしていた議員は32人。氏名は公表されていないが、萩生田氏や稲田朋美・元防衛相、次の総選挙で参院から東京新7区に鞍替え出馬する丸川珠代・元五輪相などが明らかになっている。

「丸川氏は、派閥が訂正した後も2か月以上訂正しなかった。誤魔化そうとしたのでしょう。政治家として不誠実な態度と言わざるを得ない」(同前)

 裏金1289万円の全額を個人で受け取り、自分の政党支部に個人献金して寄附控除で約148万円の税金還付まで受けていたのが菅家一郎・元復興副大臣だ。菅家氏は「法律違反は一切ない。派閥が『記載するな』という違法な会計処理をしてきたことが問題だ」と開き直った。

 キックバックと中抜きで計196万円の裏金があった稲田氏も202万円を自分の党支部に個人献金して税金還付を受けていたが、こちらは「派閥からの還流分が寄附の原資になっているということはない」と弁明している。上脇氏が語る。

「中抜きは持ち逃げ、本来なら派閥が訴えるべき行為です。また、派閥からのキックバックを政治家個人として受け取れば、その段階で違法。ましてや裏金を個人で受け取って裏所得として所得税を払わず、その金を自分の団体に寄附して税金の還付まで受けたとなれば、罪は重い」

 後編では、鈴木エイト氏が旧統一教会と蜜月関係にある議員をリストアップする。

(後編を読む)

※週刊ポスト2024年10月11日号

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