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【出演のきっかけは小阪由佳】『極悪女王』出演女優・花屋ユウが明かす「ゆりやんの座長としての心遣い」「唐田えりかとの方言練習」

NEWSポストセブン 2024年10月3日 18時15分

 1980年代に女子プロレス旋風を巻き起こしたダンプ松本の知られざる物語を描くドラマ『極悪女王』(Netflix)。体重を約40㎏増量したダンプ役のゆりやんレトリィバァ(33)、ライバル「クラッシュギャルズ」の長与千種を演じた唐田えりか(27)、ライオネス飛鳥役の剛力彩芽(32)らの演技に大きな反響が寄せられた。撮影現場はどんな様子だったのか。ダンプや長与の1年先輩のミネルバ葉子役を演じた女優の花屋ユウ(30)にインタビューした。

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 花屋が出演するきっかけとなったのはアクションの経験を見込んだ所属事務所の社長でタレント・小阪由佳の「絶対にオーディションに参加しなさい」との勧めだった。見事に役を勝ち取り、出演したのは全5話のうち1~3話。約4か月間にわたる撮影だったが、クランクイン時にゆりやんや唐田らのプロレスの演技はすでに“仕上がっていた”という。

「撮影前から身体作りとプロレスの特訓をされていたので、皆さん完全に役に入り込んでいました。私は途中からキャストに選んでいただいたし、女優としてのキャリアも浅い。その焦りはありました。最初のシーンは全女(全日本女子プロレス、劇中では「全日女子プロレス」)の新人オーディションに先輩として立ち会うシーンでしたが、私自身もオーディションに参加しているような緊張感がありました」(花屋、以下同)

 撮影中、花屋にとって最も過酷だったのは「太ること」だった。

「私は駆け出しの女優で、コロナ禍だった撮影当初はお金がなくて満足に食べられなかった。加えて副業でウーバーイーツの配達員のアルバイトをしていたんですが、これが“いい運動”になって痩せてしまった。社長(小阪)からは『もっと役に沿って身体を作りなさい。プロでしょう』と活を入れられ、大量のお米とプロテインを自宅に送っていただきました。毎日無理をしてでも食べるようにして、なんとか身体を大きくしていきました。私ですらこんなに大変だったので、モデルのお仕事もされていた唐田さんや剛力さんは『太る』というメンタルの面も含めて相当の覚悟と苦労があったと思います」

母親が長与千種と「幼なじみ」だった

 撮影現場では全女のメンバー同士、和気藹々としていたという。特に花屋は座長であるゆりやんが自ら積極的に盛り上げる姿に感動したと語る。

「私は元々、お笑いが大好きでゆりやんさんの大ファンだったんです。撮影の合間の楽屋で『あのネタが大好きで』とお伝えしたら、すぐに目の前で再現してださって。もちろんみんな大爆笑(笑)。主演としてのプレッシャーもあると思うのですが、周囲への気遣いに感動しました。ゆりやんさんだけでなく、剛力さんも早朝から差し入れを用意してくださり、唐田さんはとにかく低姿勢。すぐに打ち解けることができました」

 長与役を演じた唐田とは作中で絡むシーンは多くなかったが、撮影中は「方言」について色々とやり取りを交わしていたという。

「長与千種さんは長崎県大村市出身なのですが、私もまったく同じ出身なんです。しかも母が長与さんと同じ中学で子供の頃は近所の“幼なじみ”のような関係で。プロレス指導で入られていた長与さんご本人に『私、○○の娘なんです』とお伝えしたら仰天されてました(笑)。

 そんな縁もあって、長崎弁のイントネーションがわかるので唐田さんからは色々とセリフまわしについてお話しする機会がありました。長崎弁については方言指導の方も入られていたのですが、唐田さんはちょっとした言い回しの雰囲気なども気にされていてプロ意識の高さヒシヒシと感じました」

 ただ、和気藹々としたムードもプロレスシーンが本格化する3話目の撮影になると、現場全体にも張り詰めたような緊張感が漂っていたという。

「長与千種が先輩と揉めるシーンの時はそれまでにない緊張感がありました。唐田さんも気持ちを作れられていたのか、その頃からは現場での会話も減っていた。それまで親しくされていたゆりやんさんに対しても、演技についてのやり取りですら人を介していて、直接やらないようにする徹底ぶりでした」

現在は「プロレスラー」と二刀流

 それまで大作ドラマへの出演経験がなかった花屋自身にとっても女優として大きな刺激とともに挫折を味わう現場になった。

「出来上がった作品を観て、最初の感情は『なんて素晴らしいんだ』という感動の気持ちでした。ですが、それとともに『もっと出来たんじゃないか』という気持ちがわき上がってきて悔しかった。この経験を糧にもっと役に入り込める女優になりたい。

『極悪女王』の撮影後には、TBSさんの『VIVANT』に女性刑事役で出演させてもらいました。私が女優として求められているのはアクションと声の低さかなと思っています。男性的な役柄やハードな動きが求められる役柄にもどんどん挑戦していきたいです」

『極悪女王』への出演が花屋の人生に与えた影響は大きく、現在は女子プロレス団体「アイスリボン」で実際にレスラーとしても活動している。

「女子プロレスという世界に魅せられてしまったんです。作中ではセコンドにつくことが多くて私自身はプロレスシーンを演じる機会はほとんどなかったのですが、今、レスラーとして稽古をしていると剛力さんのドロップキックがいかに美しかったかがわかります。

 皆さん本当に死に物狂いで特訓されたことが後になって実感できました。今後は女優とプロレスの二刀流で少しでも多くの場数を踏んでいきたいです」

 多くの視聴者に衝撃を与えている『極悪女王』は、現場にいた出演者の人生にも影響を与えていたようだ。

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