Infoseek 楽天

【10.27総選挙289全選挙区緊急予測】最大の焦点は“裏金議員”への審判 統一教会問題と併せてW逆風に晒される萩生田光一・元政調会長、立民は有田芳生氏が刺客候補に

NEWSポストセブン 2024年10月8日 6時58分

 国会論戦をすっ飛ばして一気に解散・総選挙へと突き進む石破茂・首相。総裁選で党の“顔”を代え、ボロが出ないうちに選挙を乗り切ろうという腹だが、有権者はそう甘くはない。永田町で50年以上にわたり政治取材を続け、数々の選挙で当落予測を的中させてきた野上忠興氏(政治ジャーナリスト)が、全289小選挙区の最新情勢を詳細分析。その結果は衝撃的なものとなった。【全3回の第2回。第1回から読む】

萩生田、下村、丸川…大苦戦の裏金議員たち

 最大の焦点は裏金議員への審判だろう。なかでも注目されるのは旧安倍派幹部たちの情勢だ。

 裏金問題で「1年間の党員資格停止」処分を受け、旧統一教会問題とも接点があった下村博文・元文科相(東京11区)は無所属での出馬となるが、大逆風を受けて苦戦。

「東京11区は立憲と維新から候補者が出馬を予定しているが、候補者一本化ができなくても下村氏は厳しい。無所属で比例代表への重複立候補ができないため、小選挙区で敗北すれば議席を失うことになる」

 同じく裏金と旧統一教会問題のW逆風にさらされているのが萩生田光一・元政調会長(東京24区)だ。

「高市早苗氏を幹事長にすべきだった」と石破人事を批判しているが、自分の足元ではもっと大きな有権者の批判の火が燃えさかっている。

 萩生田氏は参院選で新人候補を旧統一教会の施設に連れて行くなど、「教団の代理人」的な行動が批判された。裏金問題でも2728万円もの裏金を「事務所の机の引き出し」に現金で保管していたなどと釈明したにもかかわらず、「役職停止1年」という比較的軽い処分で逃れた。前回の総選挙では東京24区での候補擁立を見送った立憲民主が、今回は萩生田氏を標的に旧統一教会問題追及で知られる元職の有田芳生氏という“刺客候補”を送り込んだ。

「今年1月に行なわれた地元の八王子市長選では萩生田氏が擁立した自公推薦の新人が裏金批判のあおりを受けて大苦戦に陥った。あの頃よりさらに批判は強まっている。市長選は小池百合子・都知事の支援で自公推薦候補がなんとか当選したが、総選挙で小池知事が萩生田氏を応援するとは思えない。公明党・創価学会も、旧統一教会との結びつきが発覚した萩生田氏から離れている。当選は容易でないでしょう」

 一方、下村氏と同様に「1年間の党員資格停止」となって無所属で出馬する西村康稔・元経産相(兵庫9区)は、地元に張り付いて“お詫び行脚”を続け、やや有利な情勢に持ち直している。

 旧安倍派5人衆のなかで公認が微妙なのが裏金問題で「党員資格停止6か月」の処分を受けた高木毅・元国対委員長(福井2区)だ。

 解散日の10月9日には4月4日の処分から6か月が過ぎている。順当なら党員資格が回復されて自民党公認で出馬できるはずだが、石破首相は裏金議員の公認見直しを行なっている。高木氏が公認されずに無所属出馬になれば一層厳しい状況に追い込まれる。

 参院から衆院東京7区に鞍替え出馬する丸川珠代・元五輪相は立憲の前職・松尾明弘氏と横一線で並んでいる。同選挙区には維新の現職・小野泰輔氏も出馬して三つ巴の戦いだが、丸川氏は裏金問題で「戒告」処分を受けており、立憲と維新が候補を一本化すれば丸川氏は一気に劣勢に立たされそうだ。

(第3回に続く。第1回から読む)

【プロフィール】
野上忠興(のがみ・ただおき)/1940年、東京生まれ。政治ジャーナリスト。1964年に早稲田大学を卒業後、共同通信社に入社。1972年より政治部、自民党福田派・安倍派(清和政策研究会)の番記者を長く務めた。自民党キャップ、政治部次長などを歴任後、2000年に退職し、フリーに。『安倍晋三 沈黙の仮面: その血脈と生い立ちの秘密』(小社刊)など著書多数。

※週刊ポスト2024年10月18・25日号

この記事の関連ニュース