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《総選挙の行く末》自民党反主流派の旗頭となった高市早苗氏が「高市新党」で戦う可能性も 「かつての宮沢政権下の小沢一郎氏に似ている」との指摘

NEWSポストセブン 2024年10月10日 6時58分

 自民党総裁選で石破茂・首相と大接戦を演じた高市早苗・前経済安保相。高市氏を支えた面々は非主流派に転落したが、その不満のマグマが噴出することで、自民党は一気に瓦解へと向かう可能性がある。そして岩盤保守層を中心に、「高市新党」が結成される現実味を帯びていると、有識者は指摘する。【全3回の第2回。第1回から読む】

 総選挙で注目されるのは、裏金議員の公認問題だが、現実問題として今から候補の差し替えや刺客を立てるのは難しい。そこで石破首相は、国民への説明材料として、裏金問題で政治資金収支報告書を訂正した議員たちの比例重複立候補を認めない方針だという。

 石破執行部の方針に気が気でないのは、比例復活当選組や比例代表として出馬し、当選した議員たちだろう。自民党の裏金議員には比例当選組が14人もいるが、重複立候補が認められなければ即、落選の危機だ。

 小選挙区当選組も、うかうかできない。自民党の公認候補は各都道府県連の申請を受けて党本部が決定するが、すでに裏金問題で地元からNOを突きつけられている議員もいる。

 裏金発覚後も政治資金をめぐる問題が相次いだ旧安倍派の田畑裕明・元総務副大臣(富山1区)の地元組織、自民党富山市連は田畑氏を擁立するかどうかで紛糾。市連傘下の一部の党支部が独自に党員へのアンケートを行なったところ、反対が上回った。

 他の県連幹部を務める自民党ベテラン議員はこう心配する。

「地方組織には裏金問題で国会議員への不満が溜まっている。総裁選の盛り上がりでなんとか批判が少し収まったのに、比例重複立候補を認めない方針などとなると、寝た子を起こすことになる」

 そうした議員たちの石破執行部への反発の受け皿になっているのが、いまや反主流派の旗頭となった高市氏だ。

「高市さんは党執行部入りも入閣も拒否して石破政権には与しない態度を鮮明にした。石破総理の強引なやり方に正面から反対できるのは、党内の半数の勢力を持つ高市さんしかいない」(旧安倍派の若手議員)と期待が高まっている。

 もっとも、現在の石破執行部から高市氏のシンパ議員が除外されているだけに、石破首相が公認問題で旧安倍派や高市氏の支持派への締めつけに走り、当選困難な状況に追い込もうとしても、有効な反撃は難しい。

 保守派の論客の1人で憲政史研究家の倉山満氏は、この状況では、高市氏が反主流派を率いて党を割り、「高市新党」で戦う可能性があると語る。

「私は高市応援団ではありませんが、総裁選の上位3人のなかでは高市さんの主張が一番マシだという評価をしていました。高市さんは岩盤保守層と呼ばれる人たちからの支持が強い。総裁選では岩盤支持層から保守系議員に『高市さんに入れてほしい』『推薦人になってほしい』と思いをぶつける電話が相次いだそうです。

 これは高市さんがやらせたのではない。高市さんはそういう人たちに媚びることはなく、自身の政策を訴えるだけ。それを支持者が評価し、自発的に行動しているという状況です。自民党だからではなく、高市さんだから、と支持する有権者が一定程度いる。

 そして今回の組閣を見ると、高市さんを支持する勢力が冷や飯を食っていることは明らかです。この状況はかつて宮沢喜一政権下で小沢一郎氏が竹下派や政権を見限り、改革フォーラム21を立ち上げて内閣不信任案に賛成、解散・総選挙となって自民党を割った時と似ています。こんな状況だからこそ、高市さんがグループをまとめて石破自民党を飛び出す、という選択が現実味を帯びているといえます」

 他の保守政党からは、早くも高市氏へのラブコールが起きている──。

(第3回へつづく。第1回から読む)

※週刊ポスト2024年10月18・25日号

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