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《ジャンポケ斉藤が書類送検》ネット社会で加速する裏切り者を探し出す「裏切り者検知」について心理士が考察

NEWSポストセブン 2024年10月11日 16時15分

 体調不良による休業宣言がアナウンスされ、多くの人が心配するなか、書類送検と報じられたジャングルポケットの斉藤慎二。有名人の事件が明るみに出たときネットでは必ず、勝手な情報を吹聴したり、何かの陰謀だと強弁するユーザーがあらわれ、ネット世論の混乱が起きることもある。臨床心理士の岡村美奈さんが、人間社会が持つ「検知」の力について考察する。

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 お笑いトリオ「ジャングルポケット」の斎藤慎二が7日、吉本興業から重大な契約違反あったとして契約を解除された。今年7月、テレビ番組の収録で使うロケバスの中で20代女性に性的暴行をした疑いで、警視庁に不同意性交で書類送検されたのだ。

 一時は顔を見ない日がないくらい売れていた彼だが、緩くてちょっと気味悪いダンスを見せていた日清「お椀で食べるシリーズ」のCMもアニメーションだけとなり、いつの間にか姿を消していた。9月20日からは体調不良を理由に活動を休止、レギュラー番組も次々に降板していたが、本当の理由はこれだったのだ。

 2023年8月には福岡のキャバクラに勤務していた女性との不倫が報じられた。好感度が高く”いい人”と評価されていただけに、ファンや応援していた人は裏切られたという感覚を持っただろう。それでも自身のXで謝罪し、反省の弁と家族を大切に生活していくとコメント。妻でタレントの瀬戸サオリさんも自身のインスタグラムで謝罪。ジャングルポケットのメンバー、おたけも土下座姿を公開していた。だが斉藤はそんな彼らの思いすら裏切った。

 動物行動学研究家の竹内久美子さんは2017年8月のNEWSポストセブン『斉藤由貴も当てはまる? 不倫を繰り返す人の「脳」の特徴』という記事で、魅力的な相手と次々に関係を持つという人にみられる恋愛タイプを「不倫脳」と呼んでいた。「一度、不倫した人は、何度も繰り返すし、それは科学的に証明されている」という。しかし、今度の事態は不倫脳ではすまされない。

 記事には脳科学者の塩田久嗣さんのコメントも載っていた。このタイプは「理性のコントロールがきかず、感情のままに行動する」という。倫理的、道徳的にダメだとわかっていても、理性より感情が勝り、後先考えずに進んでいってしまう可能性があるらしい。やめるには、相当な強い意志を持たないといけないという。だが立ち止まることはできたはずだ。衝動や感情のままに行動し、書類送検される事態を引き起こしてしまった斉藤に、やめようという強い意志はなかったのだろうか。

 著名人や芸能人による性加害や性犯罪の事件が報じられるたびに、有名人、芸能人だから大丈夫、相手は嫌がっていないという免罪符的な思考が彼らに中にあったように感じられる。一時期ネット上で飛び交った「上級国民」的な思考に似た、不祥事を起こしてももみ消せる、表沙汰にはならない、有名税を払っているのだから自分は捕まらないというような思考パターンである。だが彼らは裏切られたファンや関係者の気持ちや感情を軽く考えている。

 人間には互いの協力的な集団関係の中で裏切り行為があった場合、裏切り者を探し出す「裏切り者検知」という認知的能力があるといわれる。裏切られたとわかればこの認知が発動され、裏切り者に注目が集まり、様々な情報収集や追及が行われ、不快感や嫌悪感を抱いた者たちによって批判が飛び交うことになる。ネット社会の今ではこの検知がすさまじいスピードで進み、問題がどのように解決されるのか意見する者、見守る者、監視する者らがいる。それは裏切った者を社会的に淘汰する圧力にもなるだろう。

 このような事件で誤情報によって過剰に当事者を追い詰めたり、自分勝手な憶測で制裁を加えようとするような間違った検知が行われないことを願っている。

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