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【“裏金議員”の落とし方】効果的な“落選運動”の実践方法「つぶやき作戦」「“投票交換所”開設」…効果が大きいのは「YouTubeの有料広告」

NEWSポストセブン 2024年10月19日 6時58分

 自民党の“裏金議員”の当落にも注目が集まる総選挙。最初のうちは“裏金議員”に対して厳しい姿勢を見せていた石破茂・首相も、結局非公認としたのは12人にとどまり、裏切られた気持ちを抱える有権者もいるのではないだろうか。そんな時に効果的なのが「落選運動」だ。有権者が他の有権者に呼びかけて、候補者を落選させる運動であり、原則的には公職選挙法の規制の対象外となる。選挙期間中には一部公選法の規制が適用されるが、合法的な行為であることは間違いない。ここでは、その“落選運動”の具体的な実践方法を紹介する。【全3回の第2回。第1回から読む】

つぶやき作戦

「落選運動をしたいが、何から始めたらいいかわからない」

 そう考えている人が取り組みやすいのが「つぶやき作戦」だ。XやフェイスブックなどのSNSで、「#○○候補落選運動」などのタグをつけて拡散する方法だ。裏金問題を告発し、かつて「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する会」共同代表を務めた上脇博之・神戸学院大学教授が語る。

「SNSでは字数に制限があるので、落選させたい理由を詳細に書けない。その場合、根拠をきちんと説明している別のブログやHPがあれば、そこへ飛べるようにリンクを張って読んでもらう方法があります」(上脇氏)

 裏金候補の問題点を検証したリストを作成するつもりだと語るのが、元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏だ。

「自民党の裏金議員がどう説明責任を果たしたかを軸に選挙期間中に改めて検証し、そのリストをネットで公表します。もし、裏金問題に焦点をあてて落選運動をする方がいれば、私のそのサイトのリンクを張る方法があります」

「投票交換所」開設

 落選させたい候補が自分の選挙区ではなく、1票が行使できない──その場合、「ボート・スワッピング(投票交換)」と呼ばれる裏ワザがある。

 これは、SNSなどに「#投票交換所」といったタグをつけて、複数の有権者同士で投票行動を“交換”する機会をつくるものだ。

 たとえばA候補を落選させたい人は、ネットの交換所でその候補の選挙区の有権者を探し、落選運動を展開してもらう代わりに自分は相手の要請に沿った落選運動をする。一対一の交換が難しい場合は複数人で落選させたい候補者を交換することも可能だ。

「こうした方法に法律の規制はありません。合法です」(上脇氏)

街頭演説、チラシのポスティング

 落選運動では街頭演説やチラシのポスティングも可能だ。

 前出の郷原氏は、前回総選挙で特定の候補を落選させるために「××氏を当選させてはならない」と書かれたノボリを立て、自ら「〇〇氏落選運動」というタスキを掛けて候補者のように駅前などで街頭演説し、なぜその候補を落選させたいのかという理由を印刷したチラシのポスティングなども行なった。

 郷原氏が語る。

「演説は事前に自治体に申請して氏名、連絡先を届けていれば、会場では必ずしも氏名や連絡先を示す必要はないと思います。

 ただし、配ったチラシには氏名と連絡先を明記しました。効果が大きかったと思ったのは落選チラシですね。かなりの数を撒けましたし、自分の手で配るので、サイトに掲載するよりも反響が直にわかります。

 選挙の結果は、落選運動を行なった2人のうち1人は小選挙区で落選、もう1人は当選しましたが、対立候補との票差が前回選挙より3万票も小さくなりました」

YouTube広告が効果的

 その郷原氏が「落選運動で最も効果が見込める」と指摘するのがYouTubeの有料広告だという。

「YouTubeなどネットの有料広告は広告ターゲットが絞れます。選挙でも効果的と言われているが、候補者が公示後の選挙期間中に利用するのは公選法で禁止されています。しかし、落選運動の広告ならその規制はありません」

 有料広告にはコストがかかるが、前回総選挙では落選運動の費用をクラウドファンディングで集めたケースもあった。

 サイボウズ社長の青野慶久氏を中心に行なわれた「ヤシノミ作戦」は、選択的夫婦別姓や同性婚に反対している候補を椰子の実のように落とそうという運動で、費用はクラウドファンディングで約280万円を集めて賄った。

(第3回に続く。第1回から読む)

※週刊ポスト2024年11月1日号

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