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【京都で起きている不動産購入問題】外国人オーナーが土地の所有者を変えるなど手口が巧妙化「人口流失の一因となる深刻な問題」と市議

NEWSポストセブン 2024年10月20日 15時59分

 世界トップクラスの観光地である京都。直近では円安もあいまって、観光客がうなぎのぼりに増えている。それゆえに、日本人だけではなく外国資本も“ビジネスチャンスを逃してはならない”と京都に殺到。不動産への需要もいっそう高まっている。しかし、そうした中で、外国資本による観光ビジネスが過熱している。それに伴って、トラブルも発生しているようだ。

 NEWSポストセブンで9月中旬に報じた「シャトレーゼのケーキ転売問題」もそのひとつ。中国人系オーナーグループが経営する嵐山のカフェAでは、シャトレーゼのケーキを無断で販売していることが判明した。シャトレーゼ側は、『本部預かり案件として弁護士に相談しながら対応する』などと表明し、大きな波紋を広げた。さらに、中国人系オーナーが経営するレストランBでは、行政からの再三の命令があったのにもかかわらず、「京都市風致地区条例」に違反する増築状態のまま営業していたことが判明した。【前後編の後編。前編から読む】

 では、このような事案に、行政が強制力を持って対応することは難しいのか。「風致地区条例」を管轄する京都市都市計画局の都市景観部風致保全課に問い合わせた。

「該当の土地に関して命令を行い、その後も対応を続けているのは事実です。しかし、所有者の方が弁護士をつけていたり、土地の所有者を変更したりという対応をしてきており、罰金などの具体的な罰則を課すまで至っていないのが現状です。今後も、関係法令を含めて作戦を練り、警察とも連絡をとって対応を続けてまいります」

 土地の所有者が変わると改めて命令を出し直さなければならず、対応が後手にまわってしまうようだ。

市議は「人口流失の一因になり得る」

 外国人の土地購入問題に取り組むきくち一秀・京都市議に現状を聞いた。

「外国資本が京都の不動産を買っているという相談は寄せられています。特に、京都市の観光客が集まるエリアに多いようです。中京区の御池通(おいけどおり)にあるマンションが夜になると真っ暗だという声をいただくんですよ。

 資産運用で買われているから、人が住んでいないと……このことが問題なのは京都の人口流失の一因になり得ることです。不動産価格が高騰し、新たに不動産を購入して住むことが困難になってしまう。また、ゴミ出しのルールが守られていない、話し声がうるさいといったトラブルも発生しています」
 対策については以下のように明かした。

「住民の方の各々に事情があり、大きな金額を提示されると心が動いてしまうのは仕方がないことだと思います。ですから、オーストラリアや韓国、アメリカのように国が外国資本の不動産購入に制限をかける仕組みづくりが必要だと考えています。今年の3月には、議会に意見書を提出するなど働きかけを行なっています」

何があってもこの店を守り続ける

 右京区で商店を営む店主は率直な思いを口にする。

「とにかく私が思うのは、今こうやってどんどん土地を買い占められていって、京都の風情がなくなってきている。このままこのあたり一帯が外国人に買い占められたら無法地帯になってしまう……私は何があってもこの店を守り続ける」

 前出・レストランBのオーナーに「風致地区条例違反」の公示がありながら営業を続けていることや、今後の対応について質問状を送ったが、期日までに回答が返ってくることはなかった。

 794年に平安京に遷都して以来、長らく日本の首都であり続けた京都。その京都のこうした現状に、今一度目を向けたい──。

(了。前編から読む)

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