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《おすぎとピーコの老老介護その後》荒んでいった生活…ピーコさん「おすぎとは違う施設に」と望んだ理由

NEWSポストセブン 2024年10月21日 10時59分

 タレントのピーコさんが9月3日に亡くなっていたことが報じられた。79歳だった。

 ピーコさんは1945年に、神奈川県横浜市に生まれた。本名は杉浦克昭(すぎうら・かつあき)。文化服装学院を経て、衣装デザイナーとして活躍していたピーコさんはその後、双子の弟・おすぎとともにラジオ番組に出演して大ブレーク。「おすぎとピーコ」として芸能活動を始め、一躍人気者となった。

 2人は2021年の夏頃から同居し、“老老介護状態”にあったが、その生活もわずか3か月で破綻。おすぎは認知症の症状が出た人が共同生活を送る「グループホーム」に入ることになる。一方、ピーコさんは自宅マンションに残り、ひとり生活を続けていた……。

 ピーコさんの晩年について「NEWSポストセブン」はこれまで複数回、報じてきた。今回は訃報に際し、その内容を再掲載する(登場人物の年齢などは2023年9月24日公開当時のママ。『女性セブン2023年10月5日号』より)。【全3回の第3回。第1回から読む】

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 認知症に蝕まれつつも、ピーコの心のどこかにおすぎの存在が残っていた。

「ひとり暮らしに戻ったピーコさんは、買い物に出かけるとよく瓶のウイスキーを買って帰るようになりました。もともとピーコさんは大のシャンパン好きで、ウイスキーを好む人ではないんです。ウイスキーはおすぎさんが大好きだったお酒で、一緒に晩酌をしようと手を伸ばしていたのかもしれません」(ピーコの知人)

 一方で、生活は荒んでいった。自宅にはゴミがたまり、身の回りのことができなくなっていたピーコ。周囲がその生活を心配し始めた矢先、事件は起きた。今年の3月25日、買い物に訪れた店で万引き(窃盗罪)で逮捕されたのだ。

「本人は『代金はクレジットカードで払った』と説明していましたが、ピーコさんのカードは使用停止になっていました。ピーコさんは善悪の判断がつかない状態で、しばらく前から万引きを繰り返していた疑いがあり、お店の人が警察に通報したのです。後からわかった話では、逮捕された店だけでなく、自宅周辺の複数のお店が警察に相談していたそうです」(県警関係者)

 逮捕後、行政の担当者が代理人弁護士とピーコの処遇を話し合った。そこで決まったのが、「施設に入る」という方針だ。

「両親と2人の姉を先に亡くし、弟も施設に入っているピーコさんには身寄りがなく頼れる人もいません。施設入所の話を聞くなかで、ピーコさんは思い出したように“弟とは違うところで”というニュアンスの言葉を繰り返したそうです。

 おすぎさんに会いたい気持ちはあったでしょうが、相当な覚悟を持って彼を施設に入れたわけですから、再びの同居には抵抗があったのかもしれません。それに顔を合わせるうちに、またいがみ合う生活に戻っても困る。ピーコさんなりにおすぎさんのことを思い、悩んで出した結論だったのでしょう」(前出・ピーコの知人)

 認知症の進行とともに、ピーコはおすぎを、おすぎはピーコを忘れてしまうかもしれない。別々の施設への入居は「今生の別れ」にも近い選択になる。

 今年8月、2人がわずか3か月だけ暮らした横浜市内のマンションはひっそりと売却され、兄弟が帰る場所もなくなった──。

 冒頭のグループホーム。テレビを見ながら腕や指を動かすレクリエーションを終えたおすぎは、おやつのお菓子をほおばると、幸せそうに微笑む。健康的で穏やかな昼下がりを過ごしていた。

(了。第1回から読む)

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