ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平(30)がワールドシリーズで優勝するうえで、最大の障壁となりそうな存在がニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ(32)だ。
身長201センチ、体重128キロという巨体の持ち主であるジャッジだが、いかつい外見に反して、穏やかな性格で知られる。
「薬物疑惑とは無縁かつ、敬虔なクリスチャン。客席の子どもとキャッチボールをする“神対応”は、世界中の野球ファンから称賛されました。現地の野球記者も、彼の人柄に惚れ込んでいます。
両親どちらも教師という家庭環境で、ジャッジの真面目で優しい人柄は育まれました。母親のパティさんも父親のウェインさんもジャッジと血がつながっていないというのは、有名なエピソードです」(スポーツライター、以下同)
生まれて2日で養子に出され…
ジャッジは生まれてすぐ養子に出された。パティさんとウェインさんがジャッジと出会ったのは、生後わずか2日のこと。ジャッジは、『ニューヨーク・ポスト』のインタビューで、「神様が僕たちを引き合わせてくれたような気がする」と振り返っている。
「ミシュランタイヤの赤ちゃんみたいだ」と冗談を言われたこともあるほど体の大きな赤ん坊だったジャッジ。すくすく育った彼は10歳くらいの頃、両親と自分が全く似ていないことを不思議に感じるようになったという。しかし両親から養子であることを聞かされても、家族の絆は変わらなかった。
ジャッジは、MLB公式サイトのインタビューで、「両親が僕が養子だと告げたことについて、『わかった、それでいい』と思った。母は僕の母であることは変わらず、僕が知る唯一の母。父も僕の父であることは変わらず、僕が知る唯一の父だ」と当時の心境を語っている。
スポーツだけでなくボランティア活動も
両親は、ジャッジの優れた運動能力に気づきつつも、育児における一番の目標は、息子を“善良な人”にすることだったという。
「10代のジャッジは、両親の期待に応え、バスケットボールのチームに所属する一方で、週末はボランティア活動に費やしたといいます。両親の教えにいやいや従ったわけでなく、“とても楽しくて良い経験だ”と前向きにボランティアに取り組んでいたそうです」
母親の存在があったからこそ野球選手として成功することができた──ジャッジはインタビューで、このように感謝を述べていた。
「母がいなかったら、僕はニューヨーク・ヤンキースに入れなかったと思う。子どもの頃に母が僕に与えてくれた善悪の区別、人への接し方など、そういったこと全てが母のおかげで、今の僕がある」
もちろん、父親のことも深く尊敬しており、過去に「父はいつも私のヒーローで、どんなとき尊敬している人」と話していた。
ジャッジは現在も慈善活動に励んでいる。
「彼は2018年にアーロン・ジャッジ・オール・ライズ財団を設立し、母親を事務局長に任命しました。財団では、子供向けのキャンプやプログラムなどを企画しているほか、地域に密着した団体に小規模な助成金プログラムを提供しています。
そういった活動が評価されて、昨年、『ロベルト・クレメンテ賞』を受賞しました。これは慈善活動に励むメジャーリーガーを評価するための賞で、『MVPより価値ある賞』という声もあります」
選手としての実績はもちろん、好感度という点でも、大谷にとって、ジャッジは“最大のライバル”と言えそうだ。