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「何をしてくれてるんだ」自民・非公認候補に2000万円問題 身内からも党批判が続出 牧島かれん候補は「いい加減にしてくれよ」

NEWSポストセブン 2024年10月27日 10時15分

 選挙期間最終日となった10月26日、各候補が有権者への最後の訴えに声を振り絞った。苦戦が伝えられる自民党だが、選挙戦の最終盤になって裏金問題で非公認とした候補者の選挙区支部にも公認料相当の活動費2000万円を支給していたことが発覚。さらなる逆風に見舞われることとなった。この状況に、裏金問題による処分とは無関係だった議員たちからも、執行部への批判とも取れる声があがった。

「自民党はけしからんのですよ。私もそう思っています」

 26日、自民党の公認候補でありながらこう批判したのは、神奈川17区(小田原市・秦野市など)で5期目に挑む、牧島かれん氏(47)。立憲民主党の佐々木奈保美氏(55)との女性同士の一騎打ちの構図に手を焼くなかで、政治とカネをめぐる逆風をもろに受け、苦言せずにはいられなかったようだ。

 自民党執行部に対しては、“裏公認料”とも揶揄された2000万円の活動費支給をめぐり、非公認で選挙を戦う萩生田光一氏が「ありがた迷惑だ」と痛烈に批判して金も突き返したが、執行部と距離がある“裏金候補”側からでなく、不記載がなかった“非・裏金候補”からも次々公然と執行部批判が飛び出すあたり、選挙後にも禍根を残すのは間違いなさそうだ。

前哨戦での想定外の敗北

 河野洋平・元衆院議長の地盤を引き継いで2012年に初当選した牧島氏は、党では出世の登竜門と言われる青年局長、岸田内閣ではデジタル大臣を務めた若手の実力派で、将来の女性総理候補と見る向きもある。

 前回2021年の選挙では投票が締め切られると同時に「当確」が出るいわゆる“ゼロ打ち”だっただけに、地元では今回も、牧島の優位は揺るがないという見方があった。

 ところが、牧島氏にとっては想定外の苦しい展開が待っていた。
 ひとつは“前哨戦”での敗北だ。今年5月に行なわれた地元の小田原市長選で、自民党系の現職市長(当時)が野党系のリベラル系前職に2万票の大差で敗れたのだ。

 その「敗因」は、市民病院の建て替え工事をめぐって現職市長と業者の間に癒着疑惑が浮上したことに加え、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との近い関係が明るみに出たこと。そうして“古い自民党”を叩く機運があるなかで国政選挙を迎え、野党にとっては弾みがついている。

「いいかげんにしてくれよ」「何をしてくれているんだ」

 選挙が始まって以降の石破茂首相(67)も迷走。当初の「裏金議員も原則公認」方針が不人気と見て一転、旧安倍派幹部ら12人を非公認にした。しかし、結局は非公認候補の選挙区支部に公認料相当の活動費2000万円を支給していたことから、“厳しい姿勢はポーズ”と批判に晒されている。

 そうして自民党への逆風はさらに強まった。神奈川17区の情勢分析では、例えば日経新聞(10月25日付)が「佐々木氏が依然として(略)ややリード」と報じている。

 冒頭に記した“非・裏金候補”の執行部批判は、牧島陣営に重苦しい空気が漂うなかで飛び出した。

 26日午後、小田原駅近くで演説した牧島氏は支持者らを前に、「今やるべきは政権交代じゃない、世代交代だ」と繰り返し強調した。

 たしかに、石破氏は67歳、最高齢の幹事長就任となった森山裕氏は79歳だ。牧島氏はこう憤った。

「選挙期間中も、“いいかげんにしてくれよ自民党”とみんなも思っているでしょう。私も思っていますよ」

 投開票4日前の10月23日に発覚した「2000万円問題」が念頭にあるのか、こう続けた。

「何をしてくれているんだという思い(がある)。でもだからこそ、私はあの場所に戻らなければならない」

小泉進次郎氏は「2000万円問題」に言及せず

 これに先立ち、応援演説に立った当選同期で、元デジタル副大臣の小林史明氏(41)(広島6区)も「なぜ牧島かれんさんが必要か、それは自民党がダメだからです」と執行部批判を展開した。

「ズレてんですよ、何やっているんだと(言いたい)。だから、私たちは自民党を変えるために小泉(進次郎)さんを担いで総裁選を戦ったが、変えられなかった。でも、今やってみて、やっぱりズレている」

 その小泉進次郎・選挙対策委員長も駆けつけたのは、同区がいかに瀬戸際にあるかを象徴している。小泉氏は、牧島氏に向けられた逆風について言及した上でこう訴えた。

「自民党が反省しなきゃいけないところ、変わらなきゃいけないところ、ダメなところを中から変える実務的な能力を持っているのは牧島かれんさん候補だ」

 ただ、小泉氏は、悪手となった「政治とカネ」をめぐる対応については、「執行部の一員である私を含め全体の責任を背負うべき立場(の人)が背負えばいい」と述べただけで、2000万円支給の評価については言及せず。

 与党過半数割れの観測も強まるなか、党内のあちこちから吹き出した執行部批判がどう影響するのか。選挙結果とともに目が離せない。

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