日本のお受験界の頂点に君臨する超名門・慶應義塾幼稚舎(以下、幼稚舎)。東京・渋谷区にある、日本で最も古い私立小学校の1つであり、各界の著名人や芸能人の子女が通う。慶應ブランドが光り輝く小学校受験の最難関校として知られ、募集人数は男子96名、女子48名の合計144名に対し、2024年度の志願者数は1532人。倍率10倍を超える狭き門である。
東京の某企業の経営者一族であるAさんには幼稚舎に入学した2人の子供がいる。誰もがうらやむエリート街道だが、その子供たちの入学の経緯に、「現役教員らが絡んだ金とコネの特別ルート」スキームがあったと『女性セブン』の取材に明かすのだ──。
「あのときは、子供たちを受からせたい一心でしたが、時間が経ってみると大変なことをしてしまったんだなと思います。金とコネの世界が本当にあることをまざまざと見せつけられました。
ほんの数年前のことです。私が“裏の手段”に頼ったことで、子供たちの努力を汚してしまった。いまでは深く反省していますし、これから受験に挑む親たちには、こんな手段に手を染めてほしくない」
伝統ある名門校は独特の入学試験でも知られる。
「ペーパーテストはなく、試験官による行動観察と体操、絵画・工作に加え、志願者への口頭試問が行われます。親の面接はありません」(慶應関係者)
難関突破に向けて多くの親子がしのぎを削るなか、Aさんが「特別な入学ルート」への足掛かりとして紹介されたのは、あるエリート医師だった。
「知人の医師から、“お受験のフィクサー”と呼ばれるX医師の話を聞きました。要はブローカーですね。幼稚舎出身で慶應の関係者と強いコネクションを持ち、これまで何人もX医師の口添えで幼稚舎に入ったとのこと。知人の医師からは『X医師にお金を積めば、幼稚舎に合格する道が開けるよ』と教えられました」(Aさん・以下同)
当時、都内の有名病院の幹部だったX医師は、幼稚舎の「合格請負人」という別の顔を持っていたという。「X医師のサポートを受けたい」との意向を伝えると、知人を通じ、X医師からのこんなメッセージが届いた。
《とりあえず着手金100万円。夏過ぎに200万円。試験前に1000万円お願いします》
その後、AさんはX医師と直接会い、「特別な入学ルート」の詳細を教わった。
「受験生は試験時間ごとに2グループに分けられます。それぞれ20人ずつ計40人の現役教員が行動観察、体操、絵画・工作の科目ごとに採点するそうで、そのうちX医師は15人の教員を“買収している”とのことでした。
ただ、採点する教員のグループ分けはランダムなので、もしX医師の息がかかっていない教員が採点することになってしまったり、より強力なコネクションを持つライバルがいたりした場合、そこは『不運だと諦めて実力で頑張ってくれ』と言われました」
具体的な買収金額についても提示されたという。
「まず着手金が100万円。それから15人の現役教員1人あたり50万円ずつの750万円に加えて、買収工作に用いる飲食代などが250万円、X医師への謝礼が200万円とのことでした。それとは別に、私の場合は“下の子もよろしくお願いします”という意味で、上の子の合格後に300万円を渡しました。もちろん、すべて現金の手渡しです。X医師と面会する際の手土産購入費や“お車代”なども合わせると総額で2000万円ほどです。
お金はすべてX医師に渡しており、先生がたに渡った金額がいくらなのかは把握していません。ただ、私の子供たちは実際に合格しており、買収工作の効果があったと感じています」
そんなX医師の入学スキームに深くかかわっていたのが、5年前に世間を騒がせたY教師だった──。
10月31日発売の『女性セブン』では、Y教師が現役教員の“買収”で担った役割、実際の入試現場で行われた大胆かつ巧妙な裏工作。さらに、Aさんが“X医師の息のかかった教員”と明かした現役教員が語ったこと、渦中のX医師を直撃した際の一問一答、一連の疑惑に対する慶應義塾広報室の回答などについて詳報している。