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選対委員長を辞任した小泉進次郎氏、囲み取材でなぜ"進次郎構文"が出なかったのか?心理士の指摘

NEWSポストセブン 2024年11月1日 7時15分

 10月27日に投開票日だった衆議院議員選挙で大幅に議席を減らした自由民主党では、開票速報が出始めた段階から、誰が責任をとるのだという話題が浮上していた。森山裕幹事長や、就任したばかりの石破茂首相など様々な名前が取り沙汰されたが、大敗の責任をとる辞任を実行したのは選挙対策委員長を務めていた小泉進次郎衆議院議員だった。臨床心理士の岡村美奈さんが、ネットでも評判の”構文”が出なかった小泉氏の辞任コメントについて分析する。

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 小泉進次郎氏が10月28日、自民党の選挙対策委員長を引責辞任した。衆院選の結果、自民党は過半数割れで惨敗。公示前から65議席も減らし「今回、多くの仲間を失ってしまった」(小泉氏)。「選挙の責任を取るのが、選対委員長の責任」と述べ、早々と辞任した小泉氏に、メディアやネットではそれを潔いとする見方と、泥船からいち早く逃げ出したとする見方に分かれた。本人はどう思っていたのだろう。

 石破茂首相に辞表を提出した後、報道陣の前に姿を見せた小泉氏は、苦渋の決断をしたというより案外サバサバしているような印象を受けた。8分半弱のぶら下がり会見では、小泉氏独特の言い回しといわれる”進次郎構文”は聞かれなかった。

 進次郎構文とは、環境相時代の2019年9月、国連の気候行動サミットのため訪米中、「今のままではいけないと思います。だからこそ今のままではいけないと思っています」や、「約束は守るためにありますから、約束を守るために全力を尽くします」(2019年9月)と述べたように、同じフレーズを繰り返すような彼独特の言い回しを指し、何か特別なことを言っているようで、実はそうでもないという表現でもある。

 傾向としてみれば進次郎構文は、これから先の話題や目指す方向性など、将来的な前向きなテーマに関することについて話す時に出現しやすいようだ。そのため自身の意見が明確になっていないのか、方向性が定まっていないのか、それとも思いをどう説明すればいいのか言葉が思いつかないのか。結果、進次郎構文は感覚的な言葉が使われやすく、だからどうなの?と聞いている側が突っ込みやすくなる。しかしこの日求められたのは、結果が出た事実に関するコメントだ。構文が出る幕もなく、小泉氏は質問に対して無駄な説明もなく、理路整然と答えた。

「目標を掲げて結果が出なかった。執行部が責任を負うべき」「選挙は結果がすべて」「この結果の責任を取って辞表を提出して、受理された」とコメントし、記者たちがどのように質問しようと返答は同じことを繰り返した。環境相時代の小泉氏なら、記者が同じような内容の質問に言い方を変えて突っ込んでくると、イライラするのか身体を前後左右に揺らしたものだが、この日は全く身体が揺れることはなかった。それだけ、ここで辞任するという意思は固く、理由がはっきりしていたのだろう。

 記者団の前に立ち「選対委員長を辞任した、辞表を出した」と述べた時は、口元を固く結んで厳しい表情を見せた。”幹事長や総裁から選挙の責任を取るという言葉はなかったのか”と投げかけられたが、これには頷くことなく、「選挙は選対委員長の責任」と何度も頷き、「私が責任を取ることだと思う」とうつむき加減で述べた。”総裁からの慰留はあったのか”という問いには「中のやりとりは控えます」ときっぱりと言い切り、「辞表を提出し、総理に受理された。それが事実」とうつむいて口をつぐむ。潔く責任を取って身を引く姿を印象付けた。

 だが選挙戦の背景について問われると、「政治と金の問題」について顔を上げて説明し、「決着をつけてこられなかった」「国民のご理解を得られるような環境を作れなかった」と淡々と述べた。非公認の候補が代表を務める政党支部へ2000万円の政党交付金が支給されていたことには、「たらればを言えばキリがない」とここでも顔を上げた。「執行部になって初めてわかったことがある」「党の中で変わらなければならないことがたくさんある」と、前を向いて何度も頷く。選対委員長ではあったものの自分が知らなかった、知らされなかった事実、どうにもできなかった党環境を前に、このままいても仕方ないと立場をリセットしようとしたのだろうか。

 自民党政権の存続が危ぶまれる今、小泉氏が再び政権の表舞台で活躍するのはいつになるだろう。

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