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「必ず立ち上がる」美智子さま、懸命リハビリは異例の“昼夜2部制” 仙洞御所バリアフリー工事では備えが足りなかった…宮内庁は痛恨の極み

NEWSポストセブン 2024年11月1日 11時15分

 医療設備の整った病院ではなく、自宅でリハビリに臨まれる決断をされた美智子さま。耐えがたい痛みがある上に、リハビリの専門家のサポートがないときでも、孤独な治療に取り組まれているという。90才を超えてなお、美智子さまを限界を超えて突き動かす使命感──。

 朝夕の散策、朝食後の本の音読、新聞記事のご感想を伝え合う──これらは美智子さまと上皇さまが、心身のご健康のためにご高齢になってから取り組まれ始めた健康習慣だ。そうした日課は、美智子さまの大けがで中断を余儀なくされた。

 10月6日にお住まいの仙洞御所で転倒し、8日に大腿骨骨折の手術を受けられた美智子さまは、懸命なリハビリに取り組まれている。その最中に迎えられた10月20日の90才の誕生日では、例年と異なる光景があった。

「美智子さまは午前11時過ぎから、天皇皇后両陛下やほかの皇族方から一斉にお祝いのご挨拶を受けられました。一時はご挨拶さえできないのではないかと心配されましたが、美智子さまは車椅子姿ながら、終始、穏やかな表情を浮かべられていたといいます。

 例年であれば、両陛下とのお話に花が咲いて予定時間を“オーバー”することが多かったのですが、今年は20分ほどで終えられた。手術から間もないため、美智子さまのご負担になってはならないと、両陛下が配慮されたのだと思います」(皇室記者)

 同日、地方での公務を終えて帰京された秋篠宮ご夫妻は、夕方に悠仁さまと一緒にご挨拶に向かわれた。両陛下と同様、ごく短い時間だったという。祝賀が行われた仙洞御所は、退位後の上皇ご夫妻のお住まいとするため、2021年9月からバリアフリー工事が施された。私室部分にエレベーターや手すり、スロープが設置され、ご夫妻が実際に住み始めてからも、2度追加工事が行われた。

「今年7月から9月末にかけて、客人を迎えたりするための公室部分に、手すりを設置する工事が行われました」(前出・皇室記者)

 宮内庁のホームページによると、今年7月に建設会社と契約が結ばれた。工期は約3か月で、費用はおよそ400万円。だが、その工事が完了した直後に、美智子さまはけがをされた。

「ご高齢のご夫妻の生活に合わせて、追加工事の検討、実施がなされてきたにもかかわらず、事故が起きてしまったわけです。美智子さまのご年齢による衰えが想定以上であったとともに、“転ばぬ先のバリアフリー工事”では備えが足りなかったという現実を突きつけられ、宮内庁としても痛恨の極みでしょう」(宮内庁関係者)

リハビリを上皇さまが見守る

 現在、ご移動には車椅子を用いられている美智子さま。上皇さまとの日課のうち、音読はすでに再開されたが、散策は上皇さまがおひとりで行われている。美智子さまの当面の目標は、来年の「新年一般参賀」へのご出席だという。

「皇居・宮殿のベランダに両陛下や皇族方がずらりと並ばれるのは、お正月の風物詩。今年は能登半島地震の発生により中止となったので、美智子さまは来年にかけるお気持ちを強くお持ちです。車椅子姿ではなく、杖をついてでも自分の足で必ず立ち上がり、国民に元気なお姿を見せたいという思いのようです」(別の宮内庁関係者)

 そこまでの道筋には大きな苦難が待ち構えている。手術した脚に体重をかける訓練や立つ訓練、平行棒や歩行器を使った歩行訓練といったプロセスを、段階を踏みながら進められていく。並行して、骨折した骨に隣接する関節を動かす訓練や、筋力トレーニングも行われる。湘南鎌倉人工関節センターの副院長・三原政彦医師が解説する。

「特に、平行棒や歩行器での歩行訓練は苦痛を伴うため、ハードルが高いと思います。手術を受けられたことで、股関節周囲は可動時や荷重時にある程度の疼痛が出るのは避けられません。そうした状況で、腕で体を支えながら立った状態を維持し、さらに脚を前に出すという動作は、慣れるまではかなり大変です」

 現在、美智子さまは午前と午後の2回に分けて、毎日欠かさず、訓練に取り組まれている。

「日によって多少の違いはありますが、ご体調を見ながら、昼夜を合計して1時間ほどリハビリを行われています。上皇さまが立ち会い、励ましの言葉をかけられることもあるそうです」(前出・皇室記者)

 一般に大腿骨骨折の場合、手術をした急性期の病院から、リハビリ専門病院に転院するケースが多いという。一方、美智子さまが選択されたのは、「自宅リハビリ」。住み慣れた環境で過ごすことで精神的な安定を得られる半面、リハビリに使えるスペースや器具の問題がついてまわる。加えて、人員の問題もある。

「リハビリの際、美智子さまの元には、東大病院から理学療法士が派遣され、指導をしているそうです。ただ、昼夜のリハビリに常に療法士がいるわけではなく、立ち合うのはどちらか片方の時間帯だけ。もう片方は専門家の指導を仰ぐことなく、“セルフリハビリ”だといいます」(前出・別の宮内庁関係者)

 理学療法士は、「立ち上がり動作や歩行練習、段差昇降など基本的な動作能力の向上をはかる、リハビリを手助けする存在」(前出・三原氏)だ。リハビリ中の転倒などによるけがの“再発”も防がなければならない。

 もちろん、仙洞御所にはお付きの職員もいれば、かかりつけ医に当たる侍医もいる。とはいえ「リハビリの専門家」ではない。歩行訓練の補助はもちろん、転倒に備えて体を支えたりしないといけないため、療法士不在のリハビリには不安も囁かれる。それでも美智子さまがリハビリに励まれるのは、「必ずもう一度立ち上がる」という執念と、緻密な計画があるからだろう。

「美智子さまは、大腿骨の手術前から、医師にけがや手術の詳細、術後のリハビリなどについて細かく尋ね、情報収集されていました。効果的なリハビリについてご自身で相当に研究されているようです。けがの前には普通に行えていたことも、痛みを抱えながら繰り返すのには苦痛を伴い、ひとりで励むのには忍耐が必要です。美智子さまは、皇族としてのご覚悟と、上皇さまをお支えするお気持ちを持って、苛酷なリハビリに取り組まれ続けるのでしょう」(前出・別の宮内庁関係者)

 上皇ご夫妻は10月28日、「ご夫妻の卒寿を祝う会」に出席されるため、霞会館(東京・千代田区)に向かわれた。車椅子用の車両に乗られた美智子さまにとっては、手術以降初めての外出だった。美智子さまが、以前のように私たちの前に立たれる日が、必ずやってくる。

※女性セブン2024年11月14日号

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