〈自前のスープラ飾ってあるの草やろ〉〈本当にクルマやバイク好きな人なんや〉──9月の自民党総裁選で石破茂・現首相に敗れた高市早苗・前経済安全保障担当相(63)が、意外なところで好感度を上げている。10月27日夜、衆院選開票速報中に、奈良2区で早々と当確が出た高市氏。地上波の選挙特番では喜ぶ選対事務所の様子を映したが、映像の左隅に映り込んだ「白っぽい中古車」に対して、自動車愛好家たちがX(旧ツイッター)上で反応したのだ。その映像とYouTube『高市早苗チャンネル』を見たという自動車研究家の山本シンヤ氏が解説する。
「1986年から1993年に販売されたトヨタ・スープラのJZA70型。その中でも『リミテッド』という最もグレードの高いものです。1991年に高市さんが小遣いを貯めて買った初めての新車と聞いていますが、メタリックパールホワイトという外装の色と、内装でもバルーンの革コンビ(本革+他の素材)シートはいずれもオプションで、かなり気に入って選んだんじゃないかと思います」
スープラは今も昔もトヨタのトップレンジのスポーツカー。もともと1978年に旧セリカの上級モデルとして登場した「セリカXX(ダブルエックス)」を改名したもので、JZA70はその3代目である。発売当時の競合車は日産のフェアレディZやマツダのRX-7、三菱自動車工業のスタリオンなど。少し遅れて1990年にリリースされたホンダの高級スポーツ車NSXあたりだ。
「バイク好きとしても知られる“ヤンチャ女子”の高市さんが、輸入車ではなく国産のスポーツカーを選んでいたという点で、車好きの好感度がめちゃくちゃ上がりました」(山本氏)
22年間も乗り続けてきた
JZA70型の価格は税込みで420万~430万円と、当時としてはかなり高額である。もっとも、車への憧れが強かったバブル期の若者にとっては、500万円未満の「頑張れば何とか手が届く」価格帯でもあった。当時を知る世代なら、スープラと聞いただけで懐かしさとシンパシーを覚えても不思議ではあるまい。
「マニュアルではなくオートマ車。峠やサーキットに行ってガンガン走るというより、仕事の相棒であり、かつイヤなことがあったときに乗って飛ばす車くらいの位置づけだったのでは」と山本氏は言う。
高市氏が選挙活動中を含めて22年間も乗り続けたというこのスープラ、実はいったん廃車にすると決意したものの、名残惜しくてずっと大切に保管し続けていたのだという。2022年初頭に高市氏の地元の奈良トヨタが買い取ってレストア(復元)し、同年10月にお披露目した。その際の動画が『高市早苗チャンネル』でも公開されている。
「レストアのあまりの完成度に高市さんは興奮を隠しきれず、助手席に乗る予定が自ら運転席に乗り込んで発進した。あの喜び方からは、本当に好きなんだということがよくわかります。ですが、予想外の事態にSPさんが大慌てする一幕もあったようです(笑)」(山本氏)
そんな幻の車の登場に、テレビの前では選挙以上に盛り上がった人もいたようだ。