北朝鮮当局が国営企業に対して、商取引などでアメリカドルを使う際、100ドル札と50ドル札について、そのシリアルナンバーを必ず報告するよう指示していたことが明らかになった。
最近、中国遼寧省瀋陽市の北朝鮮国営企業の支店が北朝鮮総領事館経由で平壌の本社に送ってきた100ドル札のなかに、かつて北朝鮮が製造したとみられる偽札が発見されたためだ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮は米国と敵対しているものの、米ドルが基軸通貨として世界各国で流通していることから、海外の国営企業にはドルで送金することを指示しているが、今回、送られてきた100ドル札のシリアルナンバーを確認したところ、そのうちの2枚が北朝鮮が1970年代から1990年代にかけて、外貨不足を補うために製造した、精巧な偽100ドル札であることが判明したという。
この偽ドル札は当時、東南アジアを中心に大量に出回っていたことが確認され、「スーパーノート」や「スーパーK」などと呼ばれていたものだ。
米当局はこれらの偽ドル札対策として、2000年代から2010年代にかけて紙幣のデザインを刷新しており、その後、新たな偽札が見つかったという報告はなかった。
ところが、いまになって、北朝鮮当局は瀋陽市の総領事館から送られた100ドル札のなかに、かつてのスーパーノートを2枚発見したというのだが、その経緯は明らかになっていない。
可能性として考えられるのは、偽ドル札と分かって「スーパーノート」を秘蔵していた何者かが、ほとぼりが冷めたところで、再び使い始めたということだ。
これらの偽ドル札のシリアルナンバーの記録は、いまも北朝鮮当局が保管しており、北朝鮮当局は今後、100ドル札と50ドル札のシリアルナンバーとかつての偽ドル札の記録を照合することにしているという。