大相撲九州場所が11月10日に初日を迎えた。すでに15日間のチケットが完売し、若貴ブームの1996年以来となる28年ぶりの年間90日間すべて「札止め」となった。この大相撲人気を支えているのは記録ずくめで昇進を続ける新大関の大の里だ。満員御礼の館内は大盛り上がりで、土俵の“周囲”にも注目が集まっている。
注目の本場所が幕を開けた。九州場所は懸賞金の申し込み本数が1757本で同場所の過去最多記録となり、力士指定本数は新大関・大の里が157本でトップ。先輩大関の琴櫻を30本も上回る人気ぶりを見せている。
初日にはその大の里の父・中村知幸さんが西の花道近くの向正面の溜席に座り、大の里の土俵入りで声援を送る姿がNHK大相撲中継でも大写しされていた。
そうして今場所は溜席にも注目が集まりされそうだが、九州場所では向正面の控え行司のすぐ右隣に座る女性が毎日違う着物姿で15日間皆勤しており、「着物美人」とネットニュースなどでも取り上げられて話題となってきた。今場所も同じ席で初日に着物姿で声援を送る姿が見られた。
着物と帯の組み合わせは基本的に「朝起きてから決める」
初日は右胸あたりに金糸で鳳凰が刺繍されたクリーム地の着物にゴールドの帯という組み合わせだった。この女性は「東京在住で、長く角界に貢献する方。相撲観戦のためにわざわざ東京から九州まで着物や帯を送ることで知られている」(協会関係者)とされる。
今場所も15日間皆勤するのか。着物美人の女性に確認すると、こう答えた。
「九州場所はもちろん皆勤します。着物の数ですか? 着物40枚、帯30本を持ち込んでいます。初日と千秋楽だけは決めていますが、基本的にどの組み合わせにするかは朝起きてから決めます。その日の気分ですが、縁起の良い柄や色を選ぶことが多いですね。毎日楽しませてもらってます」
加えて九州場所の向正面の溜席にはもうひとり注目されている女性がいる。力士の浴衣地をワンピースやシャツに仕立てた服で観戦することで知られる女性で、こちらも15日間皆勤している。この「浴衣地ワンピース女性」も初日に声援を送る姿があった。「着物美人」とは控え行司を挟んで右と左に分かれて座っていた。
この日は貴景勝(現・湊川親方)の四股名が入ったブルー地の浴衣。貴景勝が化粧廻しにも採用していたジェラートピケの浴衣地だった。その浴衣地を首元が大きく空いたデザインとしたワンピースで観戦。こちらも15日間違う関取の浴衣で皆勤することで知られている。先場所で引退を表明した貴景勝の浴衣地を選んだことにも、思いがあるのだろうか。
土俵上では15日間の熱戦が期待されるが、白熱する取組を土俵下で彩る女性たちの15日間の衣装にも注目が集まっている。