両親から「天使」と称され、愛情を一身に受けて育った若者が引き起こした、前代未聞のトラブル。彼はハロウィンのお祭り気分に高揚しただけなのか、それとも心に言い知れぬ葛藤を抱えていたのか──。
顔面白塗りで、両目は黒く隈取られている。唇は頬まで切り裂かれたように赤く塗られ、その姿はまるで狂気のピエロに扮した、映画『ジョーカー』の主人公のよう。11月1日、自身のインスタグラムにおどろおどろしい仮装姿をアップしたのは、モデル・俳優として活動する市村優汰(16才)。2021年に離婚した市村正親(75才)と篠原涼子(51才)の長男である。
ハロウィンイベントを楽しんだのだろう。優汰のインスタグラムには、パーカのフードをかぶって“悪のカリスマ”になりきった彼が、駐車場で大の字になって寝転ぶ姿もアップされていた。いずれの写真も、傍から見れば若気の至り、お祭り騒ぎに興じる青春のひとコマに過ぎないが、彼の保護者である篠原と市村の心中は穏やかではないはずだ。優汰が夜の街で前代未聞の騒動を起こしたのは、写真がアップされる2日前のことだった。
10月30日、ハロウィン前日。例年、仮装姿の若者や外国人でごった返す東京・渋谷区や港区の繁華街では、混乱や事故を避けるための安全策が講じられていた。
「ハロウィン期間中に多くの人が集まる繁華街では、路上飲酒や乱痴気騒ぎなどの迷惑行為が横行し、深刻な社会問題となっていました。今年は各地で人が集まるスポットが閉鎖され、公の場所での飲酒を禁止する自治体もあったほど。自粛要請を促すところもありましたが、一部の都市で乱闘騒ぎが起き、街が“無法地帯”と化したことが報じられました」(全国紙社会部記者)
昨年に比べれば各都市部で人出は減少したものの、夜になると仮装して出歩く若者の姿は少なくなかった。今年4月に高校に進学したばかりの優汰も、その中にいたひとりだ。警察関係者が語る。
「問題の出来事が起きたのは10月30日の夜。現場は東京・港区内のコンビニエンスストアだったそうです。外国人女性から、見知らぬ男に着衣の上から胸を触られたという旨の110番通報があり、警察官が駆け付けました。後に通報された相手が市村さんの長男であることが発覚し、警察署で任意の事情聴取が行われたのです」
警察署での優汰は反省した様子を見せていたという。
「理解に苦しむ行動だったため、アルコールの摂取などが疑われましたが、未成年飲酒に関してはシロ。当初は大きなショックを受けていた被害者も次第に処罰感情が薄れ、未成年ということで事件化は見送られました。最終的には口頭による注意だけで済んだようですが、一歩間違えれば大問題に発展するところでした」(前出・警察関係者)
複数の男性との関係が噂に
優汰は2008年5月生まれ。篠原が34才、市村が59才のときに授かった待望の第1子だった。
「当時、市村さんは“神様から天使を授かりました”とコメントし、年を重ねてから子供ができたことに感激していました。お腹の中にいるときからエコー写真に優しい顔で写っていたことから優汰と名付けられ、市村さんは『存在していることが幸せ』とうれしそうに話していたものです」(芸能リポーター)
幼い頃から市村の舞台を見て育った優汰が、父と同じ俳優の道を志すようになるまでに時間はかからなかった。父のひとり芝居『市村座』で初舞台を踏んだのは8才のとき。2021年に市村主演の『オリバー!』でミュージカルデビューし、翌年、父と同じ事務所に所属して本格的に俳優業をスタートさせた。
「子供の頃から父親の真似をして“舞台ごっこ”をして遊んでいた優汰くんにとって、市村さんはヒーローのような存在だったといいます。
進路を決めた最大の理由は、『屋根の上のヴァイオリン弾き』の映像を見て感銘を受けたことだとか。『自分にはこの道以外ない』と考えるようになり、市村さんも彼のことを“神童”と絶賛。帝国劇場に連れて行き『いつかはこのステージに立つんだよ』と言い聞かせ、役者としての“英才教育”を施していたといいます」(前出・芸能リポーター)
篠原も、自分に似た眉目秀麗な長男を溺愛し、「パパのような俳優になってほしい」と周囲に話していたという。
「当時の篠原さんは夫と息子が寝ている間に掃除と洗濯を済ませ、仕事が終わるとまっすぐ帰宅する日々を送っていました。2012年に次男を出産した後は、胃がん手術を受けた市村さんを献身的に支えながら2人の子供たちの“お受験”を懸命にサポートし、見事、都内の有名私立小学校に合格させました」(前出・芸能リポーター)
子宝に恵まれ、仕事も充実していた年の差夫婦。誰もが憧れる理想的な家庭に崩壊の足音が近づいたのは2017年頃のことだった。
「次男の出産、そして育児に追われるなかで飲酒を控えていた篠原さんが、この頃から飲み歩く姿がひんぱんに目撃されるようになったのです。夫婦の不仲や“育児疲れ”が取り沙汰され、離婚危機がささやかれました。次男が小学校に入学し、手がかからなくなってから、張り詰めていた糸が切れてしまったのかもしれません。
仕事で多忙を極めると次第に家で過ごす時間が減っていき、彼女だけが別のマンションで暮らすようになりました」(前出・芸能リポーター)
2021年7月、篠原と市村は連名で離婚を発表。長男と次男の親権は市村が持ち、慰謝料、財産分与もない円満離婚だった。同時期に篠原は複数の男性との関係を報じられたが、一貫して噂を一蹴。後のインタビューでこう語っている。
《母・妻として完璧にこなさないとダメだと勝手に思い込んでいて、できていない自分に自己嫌悪。結果、心身ともに疲れ果て、何もできなくなっていた時期がありました。それで家族と話し合い、最終的に離婚という選択になりました》(『美ST』2023年10月号)
離婚後も篠原は毎日のように市村と子供たちがいる家に行き、以前と変わらぬ生活を続けた。
「互いにストレスをためることなく、いままで通りの関係を続けるスタイルを篠原さんは“新しい家族の形”と表現していました。市村さんに親権を譲ると決めたとき、心配だったのは高齢の彼にかかる“シングルファザー”としての負担だったといいます。それでも、彼女には市村さんにとって宝物である子供たちを奪うことはできなかった。両親の決断を子供たちは悩みながらも最終的には理解してくれたといいます」(芸能関係者)
「離婚するなら結婚したくない」
離婚後、市村と一緒に暮らすようになった優汰は、いままで以上に父の影響を強く受けるようになった。2023年、『天狗の台所』(BS-TBS)でドラマ初出演を果たし、その後も『夫を社会的に抹殺する5つの方法 Season2』(テレビ東京系)や『からかい上手の高木さん』(TBS系)など話題作に立て続けに出演。昨年8月に上演された『プリンス・オブ・マーメイド〜海と人がともに生きる〜』では舞台初主演を務めた。
「高校に進学するまでに、身長が20cm以上伸びたそうです。背は177cm以上あるのに体重は46kgとかなりスリム。モデルとしても活動し、今年10月には髪を金髪にしてファッションショーのガールズアワードのステージにも立ちました。
中学生の頃からクロムハーツの服を着こなし、ルイ・ヴィトンの帽子をかぶるなど、高級ブランドを好んでいましたが、大人びた格好をしてもまだ声変わりの途中。顔つきにもあどけなさが残ります」(前出・芸能関係者)
両親の愛情を一身に浴びて、何不自由なく育てられたサラブレッドはなぜ、警察を呼ばれるほどのトラブルを起こしてしまったのか。
市村が舞台で地方などに行くときは、篠原が家に行くこともあるが、両親の目が届かないところでひとりで過ごすことも少なくなかったようだ。騒動を起こす前日、優汰はインスタグラムでライブ配信を行い、篠原とのツーショットやプライベートで撮影した彼女の写真を披露。親子仲のよさをアピールした。一方で、ファンの質問に答える形で、「離婚するなら結婚したくない」と語るなど、意味深長なコメントも残している。
「著名な両親を持つ二世俳優として順風満帆な芸能生活を送る彼も、素顔は16才の高校生。多感な時期に両親が離婚し、“新しい家族の形”になって戸惑うこともあったのでしょう。市村さんや篠原さんが、彼のことで心配することもあったそうです」(市村の知人)
これまで(11月12日現在)自身のインスタグラムに54件の投稿をしている優汰。父親とのツーショットなど微笑ましい写真もあるなかで、冒頭のトラブルとほぼ同時期に公開された前出の「ピエロの仮装写真」は、明らかに雰囲気が異なる(※現在は削除)。彼の心情に何らかの変化が起きていたのだろう。
所属事務所のホリプロは、深夜に出歩いていた優汰がトラブルを起こし警察署で事情聴取を受けたことを認めた上で、次のように回答した。
「通りを歩く見知らぬ男女のカップルの女性の肩に、彼が手をかけてしまったことが今回の顛末です。飲酒の事実はありませんが、大いに反省しております」
市村は今春、ファッション誌での優汰との対談でこう語っていた。
《まだ未成年だからこそ、『自覚を持った行動をしなさい』ということだけは言っています。今はSNSの時代なので、何かしてしまったらその道は絶たれてしまうことさえあるんです。それ以外は、好奇心を持ってどんどんやったらいいのかなと思っています》(『NYLON』2024年4月号)
ハロウィンの雰囲気にのまれて、父の教えを忘れてしまったのだろうか。周囲の大人たちにとっても痛恨の事態となった。
※女性セブン2024年11月28日号