コースで豪快なショットを放つ女子プロゴルファーが“素の一面”を見せるのが、大会の開幕前に開かれる前夜祭だ。スポンサーやプロアマ出場者など大会関係者が出席するパーティに、ドレスアップして登場するのだ。
「前夜祭は女子プロの私服が見られる唯一の機会です。彼女たちは練習日からメーカーのロゴ入りウェアを着用する契約になっており、コースの行き帰りもゴルフウェアとキャップ姿が定番。ゴルフウェアはメーカーのコーディネーターがつくが、前夜祭の私服は自ら選んでいるため、センスや好みが分かるファン注目のイベントとなっています」(ゴルフ担当記者)
プロアマの表彰式も兼ねる前夜祭はメディアに公開していないケースも多いため、彼女たちの私服ショットを見る機会は限られるが、日米両ツアーを兼ねる『TOTOジャパンクラシック』の選手歓迎レセプション(前夜祭)ではフォトセッションが行なわれる。今年も出場選手が華やかなドレスアップ姿を披露した。
米ツアー参戦中の古江彩佳(24)は黒のパンツにゴールドのシャツをあわせ、渋野日向子(26)は淡いブルーのセットアップで爽やかに現われた。
ひときわ目を引いたのが、身長173センチの原英莉花(25)。ネイビーのスーツ姿で、ゴルフボールをデザインした腕時計がキラリと光っていた。
フェアウェーではキャップに髪をまとめたり、後ろに束ねたりしている彼女たち。プレー中とは異なり髪を下ろし、ウェアとは印象が異なるドレスに身を包んでいると、「顔を見ただけでは名前がスッと出てこなかった」と戸惑うカメラマンもいるという。
この前夜祭では、仲の良い選手たちが並んで登場し、人間関係が垣間見えるのもファンの楽しみとなっている。現在、メルセデスランキング1位の竹田麗央(21)は仲の良い小祝さくら(26)、河本結(26)と登場。竹田は白のパンツと青のシャツ、小祝は上下白のパンツスタイル、河本は丈の短い黒のワンピースでコーディネートした。
ツアー優勝41回、永久シードの森口祐子プロはこう述べる。
「最近は華やかでいいですね。私が現役の頃から前夜祭はありましたが、服装はもう少し堅くてジャケットが多かった。当時から“変身”という感じでヘアスタイルも変えて楽しむプロもいたけど、ギリギリまで練習をしたがるプロも少なくなかったですね。それがだんだん変わってきて、トーナメントを支えていただいているスポンサーへの感謝の気持ちとしてプロアマや前夜祭を大切にする意識が高まった。だから前夜祭で綺麗にドレスアップする傾向にあるのでしょう。
ただ、ハイヒールを履いている選手を見ると、『足をケガしなければいいけどな』と心配することも……。ファッショナブルなゴルフウェアも含めてトータルファッションという点では脱帽。いいことだと思います」
シーズン終了後の12月に開催され、年間優秀選手などを表彰する『JLPGAアワード』では、着物やドレスなどさらに着飾ったプロたちが登場する。シーズンオフが待ちきれない。
取材・文/鵜飼克郎
※週刊ポスト2024年11月29日号