ロシア連邦統計局が発表したところによると、今年の第3四半期(7~9月)にロシアを訪問した北朝鮮国籍者は5263人で、そのうちの70%以上を占める3765人が「学術研究」の名目でロシアに入国していたことが明らかになった。第3四半期における北朝鮮国籍者の「学術目的」の入国者数としては、2010年以来最多となった。
ちなみに昨年第3四半期の北朝鮮国籍者のロシア入国者数はわずか365人だったのに比べると、今年は10倍以上になっており、このところ明らかになっている北朝鮮軍兵士のロシア派遣と関係があるとの見方も出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
今年第1四半期と第2四半期の「学術研究」目的のロシア入国者数は、それぞれ38人と332人だった。それ以前では、昨年の第3四半期が62人。2020年から2022年までの3年間は新型コロナウイルスの流行による国境閉鎖という特殊事情もあって、ゼロだった。2019年の第3四半期は906人だった。
それに比べて、「3765人」という今年第3四半期の学術研究目的のロシア入国者数は極めて多い。
北朝鮮はこれまで、ロシアに出稼ぎ目的で人員を派遣しているが、その際には、労働目的でなく「学術研究」目的と偽って派遣するケースが多いことで知られている。このため、今回の場合も、労働者が「学術目的」という名目で派遣されているとの見方もでている。
RFAの調べでは、ロシアはウクライナと戦争中ということもあり、ロシア国内で北朝鮮労働者をみかけることはほとんどないという。
このようななか、朝鮮人民軍兵士が最近、ロシアに派遣されていることが確認されていることから、すでに今年第3四半期には一部の北朝鮮軍兵士が「学術研究」という名目で、ロシアに派遣されているという観測が急浮上している。
ちなみに、ロシアに派遣されている北朝鮮軍兵士が、正式にはどのような手続きでロシアに入国しているのかは不明だ。