和歌山の会社経営者で『紀州のドン・ファン』と呼ばれた野崎幸助さん(当時77)が自宅にて死亡していた事件。野崎さんを殺害した罪に問われている元妻・須藤早貴被告(28)の公判は、11月18日に結審を迎えた。検察側が無期懲役を改めて求刑した一方、須藤被告は無罪を主張している。
須藤被告が法廷で繰り返し主張した、野崎さんとの「愛のない、お金目的の結婚生活」とはどのようなものだったのか。『週刊ポスト』取材班は2018年、「野崎さんに求婚されていた」と語っていた“もう1人の花嫁候補”である女性・Aさん(当時30代)に、野崎さんと須藤被告の関係を聞いていた。
結婚の1か月前に出会っていた「もう1人の女性」
2018年2月に婚姻届を提出し、夫婦となった野崎さんと須藤被告。しかし同年5月24日、野崎さんは自宅2階の寝室で死亡。死因は急性覚醒剤中毒だったが、検察側は須藤被告が「莫大な遺産を得るために完全犯罪をたくらんで殺害した」と指摘している。
「対する須藤被告は、被告人質問で『性交渉がうまくいかない野崎さんから覚醒剤購入を求められ、従った』『元々お金が欲しくて結婚した。遺産目当ては最初から隠してない』などと主張。須藤被告サイドは一貫して野崎さん殺害を否定し、検察側の主張と平行線を辿っていました」(裁判を傍聴したライター)
須藤被告と野崎さんの関係はどのようなものだったのか。『週刊ポスト』取材班は事件当時、被告と結婚する直前に「愛人関係にあった」というAさんから、話を聞いていた。
クラブで働いていたというAさんは、野崎さんが求婚したという「もう1人の女性」だ。彼女は2018年の初め頃、知人を通じて「会いに行けばお金をもらえる」と聞き、あくまでも「お金目的」で野崎さんと会ったという。
当時語っていたドン・ファンとの夜
須藤被告の時と同じく、紀伊田辺駅で待ち合わせ、すぐに野崎さんの自宅へ行ったというAさん。2018年当時、以下のように語っていた。
「私が野崎さんに『40万円くれるんよね?』と聞いたら、『ダメダメ、そんなにあげたことない』って言われて、25万円に値切られました。野崎さんはやっぱり機能せず、体が悪いから仰向けのまま、手でしたり、密着してこすったりしてあげました。そのまま夜まで一緒に寝た」(Aさん、以下「」内同)
『行為のたびにゴム手袋を着けていた』とした須藤被告とは対照的に野崎さんと接していたAさん。2回目に田辺に会いに行った際に、野崎さんから求婚を受けたという。
須藤被告について「愛人や」
「(野崎さんと2回会った後、気に入られて)『アイラブユー』『お前みたいな女はおらんから結婚してくれ』などという電話が1週間くらい続きました。私はのらりくらりかわしていましたが、そのうち野崎さんは『他に男がおるんやろ』と疑うようになって、そのまま縁が切れたという形です」
野崎さんと須藤被告が入籍したのは2018年2月。Aさんは野崎さん死去のニュースを見聞きするまで結婚していたことも知らなかったとしたが、時系列的にはAさんとの出会いの直後、野崎さんは須藤被告と入籍していたことになる。
「事務所に(須藤被告の)写真があって、『この人誰?』って聞いたら『愛人や』って言ってましたね。(覚醒剤について)やっているそぶりは見えなかった。むしろ野菜食べたり、健康には気遣ってる感じでした」
野崎さんの周りにいた女性のことを「全員売春婦」と言い放ったこともある須藤被告。判決は12月12日に言い渡される予定だが、司法の判断はいかに──。