日本のドラマ作品で日に日に存在感を増す韓流スターたち。TBSは来夏に超大物の招聘を画策したが、ここにきてスター俳優がまさかの出演辞退。プロジェクトは存続の危機に瀕しているという。日韓の芸能界を巻き込んだ“出演トラブル”を詳報する。
「10月下旬に日本で行われたファンミーティングは、チケットが即日完売するほどの過熱ぶり。会場に詰め掛けたファンとの集合写真をインスタグラムにアップし『めっちゃ 大好きだよ またね!』と日本語で綴ると、110万以上の“いいね”が付きました」(芸能リポーター)
現在、Netflixで配信中の韓国ドラマ『となりのMr.パーフェクト』で主演を務める人気俳優のチョン・へイン(36才)。韓国で“国民的年下彼氏”と呼ばれ、日本でもブレーク中の彼の次回作に大きな注目が集まっている。
「今年10月、韓国企業評判研究所が発表したドラマ俳優ブランド評判ランキングで、へインさんは名だたる俳優を押しのけて1位に選出されました。“奇跡の童顔”と称される爽やかなルックスで、恋愛ドラマだけでなく激しいアクションや悪役までこなす演技派です。同時期に彼が日本のドラマに主演する可能性があるというニュースが韓国の複数のメディアに報じられ、日韓両国のファンが沸き立ちました」(前出・芸能リポーター)
へインは2022年に三池崇史監督とタッグを組んだ日韓合作ドラマ『コネクト』(ディズニープラス)に主演しているが、同作はあくまでも韓国ドラマ。これまで日本の作品に出演したことはなく、実現すれば大きな話題作になるはずだった。韓国メディアは所属事務所が「前向きに検討している」と報じたのだが……。事情を知る芸能関係者が明かす。
「日本のTBSと『愛の不時着』や『となりのMr.パーフェクト』を手がけた韓国の大手制作会社がタッグを組んでオファーをしたのです。日韓両国の優秀なスタッフが集められ、来年2月のクランクインに向けて着々と準備が進められていました。
ところが、撮影まで残り数か月という段階で、主演に内定していたはずのへインさんサイドから突然、『出演しない』とNGが出たのです。TBSは食い下がったものの結局、契約には至らなかった。へインさんが出演する前提でW主演に内定していた坂口健太郎さん(33才)も困惑しているといいます」
ドラマはもともとへインありきの企画だったため、当てがはずれたTBSの幹部は顔面蒼白。現場では「代わりの韓国スターを探せ」と号令がかけられているという。
「急きょ、スケジュールの取れそうな韓国人俳優を探しています。何人か候補にあがっているそうですが、へインさんと同クラスの俳優が簡単に見つかるはずもなく、代役探しは難航しています」(TBS関係者)
当初予定されていたドラマの内容は、獣医と韓国人弁護士が衝突しながらも信頼関係を築き、それぞれの人生を取り戻していく国境を超えたバディもの。ロマンス要素も盛り込まれた大作になる予定だった。
「ドラマの放送と同時に、ウェブ漫画の連載がスタートする予定もあり、プロジェクトは終始、韓国側のペースで進められてきました。TBSはへインさんの所属事務所『FNCエンターテインメント』とオーディションを共催するなど、かねて協力関係を築いていましたが、韓国と日本の芸能界は文化も商習慣も異なります。韓国では内定していた話が直前でひっくり返ったり、企画が頓挫することも日常茶飯事ですからね」(前出・芸能関係者)
“奴隷契約”後ギャラ高騰
TBSには、今年1月に放送されたドラマ『Eye Love You』の成功体験がある。
「二階堂ふみさん(30才)と共演したチェ・ジョンヒョプさん(31才)が、ドラマのヒットで日本でも知名度が上がり“ヒョプ様”の愛称で呼ばれるほどの人気を得ました。昨年放送されたドラマ『100万回 言えばよかった』で、実力派俳優のシム・ウンギョンさん(30才)を起用し、今年7月クールの日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』にトップ女優のチェ・ジウさん(49才)が特別出演するなど、韓国芸能界とのコラボに力を入れています」(前出・TBS関係者)
他局を見てもNHK連続テレビ小説『虎に翼』に人気女優のハ・ヨンス(34才)が出演し、フジテレビでは2PMのファン・チャンソン(34才)が主演と主題歌を務めた『純喫茶イニョン』が放送されるなど、今年も韓国のスターが続々と日本のドラマに進出している。背景には韓国のドラマ界におけるギャラの高騰があるという。
「制作費に上限を設けないNetflixなどの配信ドラマの成功により、主演クラスの俳優のギャラが1話1億ウォン(約1000万円)以上に跳ね上がりました。いわゆる“奴隷契約”が国会で議論され、劣悪な労働環境が問題になった韓国で俳優のステータスが上がったことは喜ばしいことですが、同等のギャラを求められるテレビ局は大変でしょうね。ドラマの制作費が圧迫され、放送枠は激減。韓国の俳優が活路を見出したのが、日本のドラマ市場だったのです」(前出・芸能リポーター)
2022年に約160本が制作された韓国ドラマは、翌年約80本に半減。今年に入ってからさらに減少したともいわれる。
一方で、日本の民放ドラマのギャラは1話あたり100万~300万円が相場だが、韓国のトップ俳優が出演するとなれば話は別だ。高額なギャラが提示されるケースも少なくなく、俳優にとっては日本で知名度を獲得できるメリットもあるという。
「へインさんが今回、出演を見送った理由は関係者にも説明がなく、詳細はわかっていません。『このままでは企画自体が暗礁に乗り上げてしまう』と共演者やスタッフも不安を抱いているそうです。すでに韓国で人気が沸騰し、アメリカでもファンミーティングを行うヘインさんは、日本よりハリウッドなどに照準を合わせているのかもしれませんね」(前出・芸能関係者)
誰よりもショックを受けているのは、共演を楽しみにしていた坂口だろう。
「10月にトップ俳優のイ・セヨンさん(31才)とW主演を務めた韓国ドラマ『愛のあとにくるもの』の配信がAmazonプライムではじまり、韓国でも坂口さんの知名度が急上昇しています。へインさんと同クラスのスターがキャスティングされなければ、出演を見直すこともありえるのでは」(前出・芸能リポーター)
本誌『女性セブン』はへインの事務所に出演を辞退した理由などを尋ねたが、締め切りまでに回答はなかった。TBSは「担当者不在」を繰り返し、広報担当部署に電話をつなぐことも拒否したうえ、期限までに回答することはなかった。スター俳優にフラれたTBSは、現在も血眼になって主演級の俳優を探しているという。
※女性セブン2024年12月5日号