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《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」

NEWSポストセブン 2024年11月23日 16時15分

〈いつものガストとは趣向の変わったMenu Gusto & L’alliumをお楽しみください〉──東京・白金台の人気フレンチ店「Restaurant L’allium」の進藤佳明シェフは、そうコメントを寄せる。進藤シェフの監修のもと、大手ファミリーレストラン「ガスト」は11月21日、初のフレンチコースの販売を開始した。

 新たにスタートした「至福のフレンチコース」(税込1990円)では、前菜、スープ、メイン、デザートの全4品が楽しめる。フードライターが解説する。

「ファミレスらしい手頃な価格でありながら、メインのハンバーグのソースには黒トリュフを使うなど、企画へのこだわりを感じます。また、猫型の配膳ロボットでおなじみのガストですが、このコースに関しては、スタッフが1品ずつ提供するといいます。さらに、可能な限り、客の食べるスピードにあわせた提供や料理の説明も行うというのだから驚きです。

 ファミレスで本格フレンチが楽しめる物珍しさから、SNSでも大きく話題になり、 “食べてきた”といったレポートが盛り上がっています」(フードライター)

 提供の仕方など、フレンチらしい“体験”も含めて楽しめるコースのようだ。しかし、そのぶん現場は慣れない作業に負担を感じているのかもしれない。販売開始日の夜、ガストのある店舗で「至福のフレンチコース」を注文したところ、対応した女性スタッフは、メニューの説明中に噛んでしまうなど緊張している様子だった。

 また、ハンバーグにナイフとフォークでなくスプーンを提供したり、箸を落としてしまうといったミスが続き、「すみません。初めてのことで緊張してしまって」と本音をもらしていた。本来ならライスかパンを選べるはずだが、何も聞かれずにライスが出てきたところにも慌てぶりがうかがえた。ただ、ワインにつけ込んだブドウ色の温泉卵(!)など、どの料理もフレンチらしく見た目にも凝っており、味も量も価格からすると申し分なしと言えるだろう。

スタッフが明かした「フレンチコース」舞台裏

 現役スタッフが匿名で、現場の混乱を明かす。

「今回の『至福のフレンチコース』は、お客様の4%くらいが注文するだろうと販売予想を立てていたのですが、初日から来店した200名のうち、12名が注文してくださり、かなり反響があります。場合によっては、現場が回らないかもしれませんね……。

 料理を出すタイミングも大切なので、フレンチコースを頼んだお客様がどれくらい食べ進んでいるかも注視しないといけません。暇な時間帯はいいですが、ランチタイムやディナータイム、土日の混雑が心配です」(ガストの現役スタッフ)

「至福のフレンチコース」を販売するにあたって、研修期間が設けられたという。

「研修期間は1か月しかなかったので、メニュー開始の前日というギリギリまで研修に合格できなかったスタッフもいます。研修で満点を取らないと、現場に出られないんです。研修として、メニューの名前を全部覚えるのはもちろん、お手本通りの見た目に料理が作れるようにスタッフ全員が練習をしましたが、ホール担当のスタッフは調理には不慣れなので大変でした。

 やることは増えましたが、時給は上がりません。ただ、販売数が日本一になると、本部から表彰されて時給も上がるので、それをモチベーションに頑張ります。また、現在のガストでは基本的に配膳型ロボットに接客を任せているので、直接お客様とやりとりできる点では、やりがいがあります」(前出・現役スタッフ)

 11月22日、また異なる店舗をランチタイムに訪れると、前菜を食べている途中でスープがやってきた。メニューの説明もあったりなかったりで、こちらの店舗は、“無理のない範囲でやる”という方針で運営しているのかもしれない。

 スムーズなオペレーションを維持するために、どのような対策を取っているのか。ガストを運営する「すかいらーくホールディングス」に問い合わせたところ、以下のような回答だった。

「ガストでは、注文用タブレットやネコ型配膳ロボットの導入に加え、セルフレジやテーブルでのQRコード決済など、お客様の利便性向上と従業員の働きやすい環境づくりに取り組んでおります。

 これにより生まれた時間を活用し、人によるサービスでお客様の体験価値をさらに高められるよう努めております。今回の本格フレンチコースも、より多くのお客様にお楽しみいただけるよう最善を尽くしております」(すかいらーくホールディングスの広報担当者)

 現時点ではまだ反響の大きさに、現場のオペレーションが追いついていない部分があるようだ。この課題を解決できれば、“ファミレスで本格フレンチ”という斬新な試みは一気に花開きそうだ。

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