かつて、人気番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん(44)。同番組で何度も叫んだ持ちギャグ「ドンゲバビー(Don’t give up BELIEVING ! )」を冠し、現在は「武井ドンゲバビー」の芸名で活動している。
「今日は僕のすべてをお話しする覚悟で来ました」──そう語る武井さんに『イッテQ』出演の経緯や大御所芸人からもらったアドバイス、芸人としての苦悩など、今だから話せるエピソードを思う存分に語ってもらった。【全3回の第1回】
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──武井さんと言えば、やはり『世界の果てまでイッテQ!』での「号泣&鼻水」が印象に残っていますが、先日、大きな話題となった手越祐也さん(37)の同番組への復帰はどのようにご覧になりましたか。
「宮川大輔さん(52)の『お祭り男』ロケへ一緒に行ったり、プライベートでご飯を食べに行ったりもした仲なので、手越くんの姿が映ったときは涙が出ましたね。いち視聴者として、彼が『イッテQ!』で見られなかったのは寂しかった。あの大輔さんに、物怖じせず軽口を叩けるのは彼ぐらいですから(笑)」
──確かにそうですね。“イッテQファミリー”として手越さんの復帰を嬉しく思う一方、自分がその場にいないことへの悔しさのようなものはありましたか。
「もちろん、あります。心の底から『おめでとう!』と喜んでいる気持ちと一緒に、『あ~、悔しい!』という気持ちも同じぐらいありました。実は最近まで、『イッテQ』をまともに見られなかったんです。見ているとモヤモヤしちゃって。
“いつまでも囚われていちゃダメだ”“忘れて前を見よう”と思っていたんですけど、実はずっと僕のなかに『イッテQ』はあったんですよね。それぐらいに、僕にとっては大きな存在だということを、手越くんの姿を見ながら痛感させられました」
──『イッテQ』への初登場は、2009年9月20日の放送。当時の武井さんはほぼ無名の駆け出し芸人のような状態でしたが、どのような経緯で出演が決まったんでしょうか。
「“第2のイモトアヤコを発掘しよう”という主旨のオーディションに参加したんですが、実はその頃、もう芸人を辞めようと思っていたんです。20歳から芸人として活動してきて、当時の僕は29歳。『爆笑オンエアバトル』(NHK)や『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)、『エンタの神様』(日本テレビ系)などにも何回か出させてもらったんですけど、ブレイクするまでには至りませんでした。もう限界かなと思っていました」
──その頃は、コンビを組まれていたんですよね。
「結果的に僕ひとりでの出演になりましたが、オーディションの時は『ヴィンテージ』というコンビで受けました。相方(現、ナナフシギ・大赤見ノヴ)には『これで落ちたら、もう辞めるから』と伝えて臨んだんです。いい意味で、吹っ切れていたのかもしれません。開き直ってオーディションでボケ倒し暴れ倒したら、それがめちゃくちゃハマって(笑)」
──日本テレビの会議室に突然、内村光良さん(60)が入ってきて、合格が伝えられたときのことを覚えていますか。
「完全に初対面だったので、『え~っ、ウッチャンナンチャンのウッチャンだ!!』という感じでした(笑)。頭が真っ白になって、なにをしゃべったかほとんど記憶にないんですけど、とんでもなく心臓がバクバクした感覚だけは鮮明に覚えています」
──内村さんから、なにかアドバイスはありましたか。
「『無理はしなくていいから、ケガだけはしないように。あとはロケを楽しんできて』と言ってくださいましたね。のちに出川哲朗さん(60)からも、『本当にケガなんて簡単にしちゃうから、自分でブレーキをかけながらやらないとダメだよ』とアドバイスをいただきました」
──あの出川さんも、無茶苦茶やっているようでクールに抑えているんですね。
「僕は『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)がずっと大好きで、ダチョウ倶楽部さんや出川さんのように体を張ったロケができるんだとワクワクしていたんですけど、『だから危ないんだ』と言われました。『イッテQ』の出演者は、みんなその点を本当に気をつけていて、だからずっと人気番組なんだと思います」
第2回記事では、武井さんが『イッテQ』から姿を消した理由、海外ロケで命の危機を感じた壮絶事件、7年ぶり番組復帰の舞台裏などを語っている。
(第2回に続く)