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【獄中肉声・独占入手】加古川女児殺害事件で再逮捕の勝田州彦容疑者「ケータイをいじりながら、一般人のフリをして歩いて」「犯行後には着替えを用意」と明かしていた“手口”

NEWSポストセブン 2024年11月28日 11時15分

 2007年に兵庫県加古川市で小学2年の女児(7=当時)を刺殺したとして、県警は11月27日、勝田州彦容疑者(45)を殺人容疑で再逮捕した。同容疑者は2004年の岡山県津山市における女児殺害事件(以下、津山事件)で2023年に無期懲役の判決が確定し、服役していたが、兵庫県たつの市で2006年に当時小学4年の女児を刺したとして11月7日に殺人未遂容疑で逮捕されていた。同容疑者と3年にわたって手紙のやり取りを続けてきたノンフィクションライター・高橋ユキ氏がレポートする。

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 勝田容疑者は津山事件の公判において「犯人は自分ではない」と無罪を主張しており、判決確定後も再審請求への意欲を見せていたが、今回の逮捕前、筆者に対し、兵庫県での2件の未解決事件と津山事件を認める旨の手紙を書き送っていた。

〈少し前の5月下旬から兵庫県警察がアタクシのところに突如来て、平成18年9月28日に兵庫県たつの市で発生した殺人未遂事件のことで取り調べを受けているのですっ。〉

〈まぁ、自分でした事なので仕様がないのですが、あと10年程刑期が追加されそうです。〉(2024年8月22日付の手紙)

〈また逮捕されそうなことについて。これは嘘ではありませんよ。200%間違いないですね。それも、2件の罪で、です。この2件の罪とは、平成19年10月16日に兵庫県加古川市で小学2年生の女の子が刺殺された殺人事件と、平成何年かは失念しましたが、9月28日に兵庫県たつの市で女の子が刺された殺人未遂事件の2件の事件の犯人として逮捕される予定です。

 どちらも自分がやった事なので、この前刑事に自供したんですよ。〉(2024年9月12日付の手紙)

〈防犯カメラがないところをチェックしていました〉

 文通取材は2021年11月、津山事件の裁判員裁判が行なわれている頃から始まり、以降、約3年間にわたって続いていた。手紙での一人称が〈アタクシ〉となっている理由は、彼が2023年7月の手紙で突然、こう宣言してきたことによる。

〈少し前に読んだ本で、サザン・オールスターズの桑田佳祐氏の著書、「ポップス歌手の耐えられない軽さ」にて、桑田氏が自分の一人称を「アタシ」「アタクシ」と言っていて、これを真似てみたんです〉

 それ以降、ずっと〈アタクシ〉と称しており、重大事件への関与を認める手紙においても〈アタクシ〉表記がなされていたのだった。

 筆者は勝田容疑者がたつの市の事件で逮捕された後、弁護士を通じて容疑者の最新の肉声を得ており、彼はさらなる“犯行の手口”を明かしていた。そこからは、逮捕直後までは関与を認めていた津山事件の供述内容との類似性も垣間見える。まず容疑者は、常に防犯カメラのない場所を確認していたと語っていた。

「普段から、防犯カメラがないところをチェックしていました。あと、防犯カメラがあるかどうかは、実際に物色を予定している現地に下見に行って、防犯カメラがないかどうかをチェックしています。簡単に言えば行き当たりばったりです」

 2004年の津山事件でも容疑者は、津山市内の商業施設駐車場に車を停めたのち、防犯カメラに映り込まないように非常階段を降り、現場に向かっている。そして小学校や学習塾など、こどもが集まる場所に向かい、好みの女児を探すのだという。津山事件でも小学校付近で被害女児を見つけ、尾行したと供述していた。

〈これまで犯行を積み重ねてきました〉

 しかし、保護者でもない“大人の男”である勝田容疑者がこうした場所にいれば不審に思われる可能性があるが、彼なりの策を講じていたようだ。「まずは怪しまれないように、ずっとケータイをいじりながら、一般人のフリをして歩いてみたり」(同前)していたという。

 女児を襲うには「『人通りが少ない、車が通れない細い道』がベストポイント」(同前)だとも述べる勝田容疑者。そのような場所で「これまで犯行を積み重ねてきました」(同前)と語っていた。行き当たりばったりとは言いながらも、このように“積み重ねた”犯行が、2004年の津山事件、2006年のたつの事件、そして今回逮捕となって2007年の加古川事件なのだろうか。

 犯行後も、ただ闇雲にその場から逃げていたわけではないようだ。「犯行後には『着替え』を用意して同一人物と思われないように変装をしています」とも語っている。今回の加古川女児殺害事件における逮捕後、取り調べに何を語るのか。二転三転させることなく、ありのままを証言してほしい。

【プロフィール】
高橋ユキ(たかはし・ゆき)/1974年、福岡県生まれ。ノンフィクションライター。2005年、女性4人の傍聴集団「霞っ子クラブ」を結成しブログを開設。以後、フリーライターに。主に刑事裁判を傍聴し、さまざまな媒体に記事を執筆している。『つけびの村 山口連続殺人放火事件を追う』(小学館文庫)、『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店)、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』(小学館新書)など、事件取材や傍聴取材を元にした著作がある。

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