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《折田楓社長のPR会社》「コンペで5年連続優勝」の広島市は「絶対に出来レースではありません」と回答 斎藤知事の仕事だけ「ボランティア」に高まる違和感

NEWSポストセブン 2024年11月28日 7時15分

 兵庫県知事選で再選するも、公職選挙法に抵触する疑惑が取り沙汰されている斎藤元彦知事(47)。兵庫県のプロモーション会社「merchu」の折田楓社長(32)が広報を担っていた件をめぐる騒動で、斎藤氏側は SNSの運用に関しては「斎藤陣営が主体となって運営した」、街頭演説に訪れていたことについては 「折田さんはボランティアとして個人で参加された」と主張し、疑惑を否定している。

 今年9月末に兵庫県知事を失職していた斎藤氏は、11月17日の投開票の結果再選。すると同月20日、折田氏がメディアプラットフォーム・noteを更新し、斎藤氏の選挙活動で〈広報全般を任せていただいていた〉などと報告。しかし、これに報酬が発生していた場合、公職選挙法違反(買収)となる可能性もあり、騒ぎに発展している。

「斎藤氏は11月25日に報道陣の囲み取材を受け、ポスター制作として『70万円ほど支払った』ことは認めた一方、SNSのアカウント作成や選挙演説の撮影などに関しては折田氏個人の『ボランティア』という認識だったとし、公職選挙法違反の疑惑を否定。

 11月27日には斎藤氏の代理人弁護士が記者会見し、公約のスライド製作やポスターのデザイン製作など5項目、合計で71万5000円分の内訳が記載されたPR会社からの請求書を公表。また、双方は契約書を交わさず口頭で合意し、請求書は10月31日に届けられ、11月4日に振り込んだと説明しました。

 さらに、折田氏のnote投稿について『SNS戦略を依頼した、広報全般を任せたというのは事実ではない』『(事実を)盛っていると認識している』などと述べました」(全国紙社会部記者)

 斎藤知事と折田氏のあいだには、認識に食い違いがあるようだ。

 折田氏の会社は2017年創業で、ポスター制作がメインではない。近年、複数の自治体から仕事を受注するなど、存在感を放ってきたことは確かだ。

「慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス、通称『慶應SFC』卒で、外資系金融機関に就職後、兵庫県にUターンして起業した折田氏。彼女が代表を務める『merchu』は近年、広島で輝かしい実績を作っています。

 注目されているのは、広島市が実施している公募型プロポーザル『SNS活用プロモーション業務』のコンペです。市のホームページでも情報を閲覧できますが、『merchu』は同コンペで、2019〜2024年の5年連続で受注を勝ち取っているんです」(同前)

「merchu」は令和2年、『KADOKAWA』や『楽天』『凸版印刷』などの大手企業を含む合計16社のコンペを勝ち抜き、1位となっている。

「そこから年々参加企業は減り、今年は3社間でのコンペで優勝、となっています。折田氏は10月4日、インスタグラムで〈広島市観光プロモーション動画制作〉を手がけて完成したと報告しており、〈撮影現場の裏側をお見せします〉とテロップを入れた動画を公開。自身もモデルとして、女優と並んで動画に出演していました。

『merchu』は今年、広島県が運営する『広島県SNS運用支援業務』も約1305万円で単独落札しています」(同前)

「審査員が厳正に評価」

 同県の観光政策部・観光プロモーション課の担当者が、NEWSポストセブンの取材にこう応じた。

——審査はどのような手順で行われていますか?

「広島市のHPにも載っていますが、公募ですので資格要件を満たしている事業者に申し込み用紙を書いていただき、応募いただきます。応募いただいた方には、指定日に会場に集まっていただき、審査員の前でプレゼンをしていただきます。その際、他の候補者は立ち会いません。審査員がHP上に公開されている項目に則って、100点満点で点数をつけて、最も点数が高い事業者が選ばれます」

——名前が通っている大手を破って、merchuが勝ち続けているのはなぜですか?

「それは審査の内容になるので、総合的に評価されたという、審査の段階で。それしかお答えのしようがないです」

——出来レース的なところはない?

「それは絶対にないです。審査員が厳正に評価して点数を決めています。改めて念押ししますが、絶対にありません」

 つまり、折田氏は会社の実力で5年連続のコンペ優勝を勝ち取った、ということだ。

「昨年は地元・兵庫県の『ひょうごe-県民アプリ』なども委託されていて、他にも複数自治体でSNS関連の仕事を受けてきた。折田氏は自治体のSNS運用を次々と請け負っている企業の代表でありながら、斎藤氏の選挙のみボランティアでやっていたという主張は不自然と捉えられても仕方ないと考えられます」(同前)

 折田氏の会社が斎藤陣営のSNSを主体的に運用し、対価を受け取っていたら買収の疑いが浮上し、逆に対価を受け取っていなかったら「無償での業務提供」すなわち禁止されている寄付にあたる可能性がある。どちらにしても、SNS運用が得意な会社が「ポスターを作ったりしただけで、SNSの仕事はやっていませんでした」という主張をすることになるのは当然なのかもしれない。

 折田氏は先日、テレビ朝日の取材に対して「『答えるな』と言われている」とコメントを避けた。本当にボランティアだったのか——本人から真相が説明される日が待たれる。

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