斎藤元彦知事(47)の再選に沸いた兵庫県知事選。当選の興奮冷めやらぬ11月20日、PR会社「merchu(メルチュ)」の女性社長・折田楓氏(33)がメディアプラットフォーム・note上に〈兵庫県知事選挙における戦略的広報〉という記事を投稿。
「広報全般を任せていただいていた」として選挙戦におけるSNS戦略を赤裸々に明かしたが、投稿の内容が事実で報酬が支払われていた場合、公職選挙法の「買収」にあたるおそれがあるとして、大炎上を招いている。
斎藤知事は定例会見において、「ポスターの制作費などで70万円を支払っただけ」「(SNS運用は仕事ではなく)ボランティアだという認識だった」などと述べ、公職選挙法に抵触することはないという認識を示している。
さらに11月27日には斎藤氏の代理人弁護士が記者会見し、折田氏のnote投稿について『SNS戦略を依頼した、広報全般を任せたというのは事実ではない』『(事実を)盛っていると認識している』などと述べている。
折田氏の会社は2017年創業で、大企業とのコンペに勝ち抜き、複数の地方自治体から仕事を受注するなど、存在感を放ってきたことは確かだ。ところが今回、折田氏は自身の情報発信が騒動になると、前出・note内の記事やSNS戦略を記した提案資料も削除している。さらに、メディアの取材に「(弁護士に)答えるなと言われている」 と口を閉ざすばかり。斎藤氏の代理人弁護士が「虚偽だ」と指摘している以上、折田氏にも説明責任が求められている。
騒動のキーマンとなっている折田氏とはどんな人物なのか。
「映え」に対するあくなき探究心
折田氏がnote開設時に公開している自己紹介によると、彼女はフランス留学を経て慶應大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に入学。卒業後はフランスの大手銀行BNPパリバに就職し、東京支店で働いた後、同社創業に至った。大学時代の同級生が、当時の折田氏について語る。
「大学時代、彼女はバスケサークルに所属するなど、“一軍女子”として目立っていました。Facebookで“今日はここでランチしました”と一人1万円はくだらない店に通っている様子を投稿したり、友人にSNS投稿用の映える写真を撮ってもらったりしていました。ネット上で“承認欲求が強い”と言われているのはそうかもしれませんが、別に偉そうにする素振りはなかった。誰とでも仲良くできる本当に育ちが良いお嬢様という印象です。学生の時から、ヴィトンを身にまとっていました」
当時からSNSでの“映え”にはこだわりがあったようだ。自分をどうブランディングするかについて、この頃から実践していたということだろう。
実際に、学内ではトリンドル玲奈(32)を筆頭に、有名企業社長の娘など、華やかな同級生と一緒にいる姿が目撃されていた。
「なかでも仲が良かったのがフジテレビの小澤陽子アナ(33)。お互いを下の名前で呼び合い、ほとんど毎日のように一緒にいました。小澤アナとは家族ぐるみの交流をしていて、楓の母親が上京してくると小澤アナの母親と4人でご飯に行っていたようです。
双方の母親の誕生日を祝うこともあって、2人でプレゼントを買いに行ったりしていましたね。家族で遊んだあとはゲーセンに寄り、4人でプリクラを撮ることもあったそう」(同前)
折田氏はこうしたプリクラをSNSに投稿するだけでなく、多くの同級生や知人にも送っていたという。当時から周囲に“発信”することに対しても、意識が高かったのだろう。それは自身の進路選択にも少なからず影響していたようだ。
「最初はメディアへの就職も考えていたと思います。1年生か2年生の頃、テレビ朝日の深夜の番組に出演していました。女子大生がカラオケを歌うという企画でしたね。
小澤アナと一緒に、マスコミに就職したOB・OGから話を聞いたこともあったみたいで、ミスコンにも出る話もあったようですが、どこかでマスコミを諦めたようで小澤アナだけ出場し、楓はそのタイミングでパリ留学をしています」(同前)
学生時代に経験した「原体験」
大学でも交換留学制度を使ってフランスに留学した折田氏。2014年に大学を卒業後、銀行勤務を経た彼女は、「インスタ映え」が流行語大賞に選ばれた2017年に起業するに至った。
折田氏はnoteで、同社が行政の案件を積極的に手掛ける理由を説明している。その根底にあるのが「行政の発信や広報が圧倒的にダサい」という課題意識だ。彼女はフランス留学や滞在を経て、「私が住んでいたフランスでは、行政の発信もやはりおしゃれで、美的センスに溢れるものが多くありました」(原文ママ)と感じるようになり、日本の行政が手掛けるPRの改善に取り組むことになる。
持ち前の行動力と発信力で、PR会社をグロースさせてきた折田氏。日本中の関心事となった兵庫県知事選挙という大舞台で、SNS運営に主体的に携わったかどうか、それがボランティアだったかどうか──折田氏の口から真相は“発信”されるのだろうか。今後の展開に注目が集まる。