「私がいない間に彼は、血まみれのパーカーを置いていって……これがそうです」──取材に応じたある女性はこう話し、肩を落とす。
素潜り漁師マサルという人気YouTuberがいる。2024年11月現在、チャンネル登録者数は200万人を突破。『60kg超えのナポレオンフィッシュを解体してみると…(1674万再生)』、『100kgを超える巨大ワニの捌き方(1508万再生)』というタイトルの動画を筆頭に、無人島でのサバイバル生活を撮影した動画も数百万単位の再生数を誇り、国内でもトップクラスのYouTuberだ。【全3回の第1回】
「彼は山口県出身の26歳です。東京海洋大を卒業していて海や魚の知識が豊富です。『いきなり!黄金伝説。』で無人島生活をしていたよゐこの濱口優さんに憧れて、同じようなコンテンツを作るYouTuberとして活動しています。この6年で総再生回数は4億9600万回を超えています。
10日間サバイバル生活をする動画の総集編は、尺が4時間を超えているにもかかわらず、500万回も再生が回っています。『徹夜で素潜りしたらいくら稼げる? 驚きの金額に!』もとても面白かったですね。伊勢エビや夜光貝やタイ等の海の生き物を獲って、実際に市場に出して17210円稼いでいました。
現在は、東京と沖永良部島(鹿児島県)を行き来しながら動画撮影をする生活です。さらにマグロの加工工場を経営してたり、通販事業も行っていて、マグロジャーキーは販売から2週間で売り上げが1000万円を突破したとXで投稿していましたね」(マサルの知人)
人気YouTuberが突如公開した「戦慄動画」
そんなマサルは、今年4月、「15発殴られてボコボコにされました。助けてください。」と題された普段の素潜りや調理動画とはまったく異なる動画を投稿し、話題となった。動画のサムネイルには、左目の下が大きく腫れ、鼻に血の付いたマサルの姿が……視聴回数は329万回以上だ。
動画や関係者の話によると、今年の2月、マサルは自宅で友人のA子さんとBさんを呼び、自分の誕生日を祝う飲み会をしていたという。そしてA子さんは、マサルが知らない自分の知人、Cさんも呼んだ。翌未明に解散となったが、A子さんは携帯をマサルの家に忘れた。CさんがA子さんの携帯を鳴らすと、マサルが出た。マサルの家に戻ってきたCさん。詳細は不明なものの2人の間でトラブルに発展、マサルは無抵抗のまま15発殴られたという。なお、全員が酒に酔っていたようだ。
「暴行は事実で、Cさんは警視庁に逮捕され、後に有罪となっています。確かに、マサルは殴られた被害者で、彼の気持ちはわかります。のちにCさんは反社会勢力の人間だったと判明したわけでしたし、怖かったのでしょう。しかし、この動画で、マサルが事実でないことを発言していて、A子さんは現在も苦しんでいるんです」
こう話すのはA子さんの友人だ。この友人は動画内でのマサルの発言の以下の部分について、大きな問題があると訴える。
《A子さんはCさんが反社だって知っていて、俺がそういう人と関わりたくないって、めちゃくちゃ飲む人選んでる人だっていうのも知っている中で反社の人を俺の家に呼んだっていう点はまあとにかくやばいじゃないですか》
《今回どう考えてもA子さんがかなり戦犯だから、引っ越し費用ぐらい払ってもらえませんか、と言ったところ、『確かに私は(Cさんが反社だと)知っていて呼んだし、でも普通に友達だしそういうの関係なくないって思っていた』。『確かに携帯も忘れたし、私はあなたを直接殴っていないし何が悪いのかわからないから引っ越し費用は支払いませんよ』って言われて》(いずれも動画内でのマサルの発言)
A子さんに集まる誹謗中傷
あたかもA子さんが「Cさんが反社の人間だと知っていた」うえでマサルの家に呼んだかのように発言している。これらの発言により、動画の公開から7カ月を経た現在も、A子さんは周囲からの誹謗中傷に苦しんでいるという。前出・知人が続ける。
「A子は誓ってこのような発言をしていないし、Cさんが反社会勢力の一員だと言うことは知らなかったんです。単なる飲み友達で、どのような仕事をしているかなどはっきりと知らなかった。
そのような事情なのに、登録者200万人のYouTuberに『反社と交流がある』と言われたことで、実生活で大きな障害となっている上に、現在も匿名で誹謗中傷のメッセージが送られてきます。『ヤクザを使ったハニートラップ』だとも言われたそうですが、それは事実とは違います」
さらにマサルは、事件発生後にYouTubeだけでなく、XやインスタグラムといったSNSでA子さんの実名と写真を公開した上で、反社会勢力の人物と密接な交際があったことを投稿していたという(現在は削除済み)。
「誰でも見られるXなどの場ではもちろん、A子さん個人のインスタのDMやLINEではさらに苛烈な“口撃”をしています。そして、A子さんから返信がなくなると、彼女が勤める店に行くなどして、警察からもつきまとい行為を警告されています」(同上)
取材班がA子さんに会って取材すると、冒頭のように、マサルが血まみれのパーカーを置いていたことなどを静かに語った。
(第2回に続く)