チャンネル登録者数は200万人超えの人気YouTuberの素潜り漁師マサル(26)。無人島でのサバイバル生活を撮影した動画が人気で、彼のチャンネルの総再生回数は4億9600万回を超えている。
そんなマサルは今年2月、暴行事件に巻き込まれていた。4月に『15発殴られてボコボコにされました。助けてください。』と題された動画を投稿している。【全3回の第3回。第1回から読む】
この動画でマサルは事件の顛末を語っている。友人のA子さんとBさんを自宅に呼び、飲み会をしていた際に、A子さんが呼んだ知人Cさんとマサルがトラブルになり、無抵抗のまま15発殴られたのだという。Cさんは警視庁に逮捕され、のちに有罪に。さらに反社会的勢力の人間であることがわかっている。
ところが、マサルは動画内で友人だったA子さんについて「反社との交流がある」などと話したり、A子さんのフルネームと写真をネット上に投稿。一部のSNSでの投稿は削除されているが、現在もYouTubeに投稿された動画は残っている。A子さんの友人が語る。
「A子は、現在も誹謗中傷に苦しんでいます。彼の投稿によって、反社と付き合いがある人間として扱われてしまい、仕事相手には迷惑がかかり、離れていった友人もいると聞いています」
NEWSポストセブン取材班がA子さんに取材を申し込むと「誓ってCさんが反社会勢力の一員だったとは知らなかった」「事件のあとのマサルさんの行為は、度がすぎていて、とても耐えられるものではなかった」と明かしている。
事件後、マサルの行為は徐々にエスカレートしていったという。これらの行為に耐えられず、A子さんは弁護士とともに、インターネット上での名誉毀損行為などについて警察に相談した。9月には、警視庁がマサルのつきまとい行為について、東京都迷惑防止条例違反になる可能性があるとして警告したという。
マサルを直撃すると
NEWSポストセブン取材班はマサルにも話を聞いた。
記者の声かけに驚いた表情を見せたマサル。部屋に入ろうとしたが、足を止めた。「先方の弁護士に話すなと制限されている」と頑なに話を拒んだが、徐々に口を開いた。
──(LINEのスクショ等を見せながら)このやりとりはマサルさんのものですよね?
「心当たりないです」
──マサルさんではない?
「相手は何と言っているんですか?」
──マサルさんから被害を受けていると言っています。
「弁護士さんから話すなと言われているので。色々話すと、名誉毀損にあたるかもしれないので、相手の弁護士さんにも止められていますし」
──マサルさんは、未だに女性に言及するSNSの一部を削除していない。マサルさんは200万人も登録者がいるYouTuberで社会的影響力もあると思うが、残しているのは、相手に対して許せない思いが今もあるからでしょうか。
「いや、今はもう忘れていますね」
──それでも削除しない理由は?
「相手が削除要請してくればですけど、膨大な量の怒りの投稿ありますし、百何十件ていう動画がある。殴られたのに、なんでそんな対応しないといけないの? っていう気持ちはありますね……」
──怪我の具合は?
「まだ、鼻の痛みはあります。整形と矯正をしましたが、130万円かかりました。全て自腹です。でも、こんな事件がなければ、鼻も高くできなかったので、プラスだったのかなと」
──A子さんから話は聞いている?
「全部あっちは自分に良いように言っている。認めたら刑事告訴されて逮捕されるから。でも、あっちが、わざとじゃないと言われてしまえば、それを証明するのは難しいですけど……」
この他にも「知らないって言い張れば、誰かを殴り込みに行かせられるんだなって、友達呼ぶねって言って、自分の気に入らない奴を殴らせても、捕まらないんだなって、法の抜け穴だなって思いました」などと話して、自宅へと戻っていった。
後日、さらに取材を重ねるべくマサルの携帯電話に電話するなどしたが「この件については取材をお断りすることにしました」と回答しなかった。
この先もA子さんは多くの人にデマが流れたり、自身に届く誹謗中傷を我慢するしかないのだろうか。酒の場でのトラブルをきっかけに反社の人間から暴行を受け、被害者という側面もあるマサル。その顛末を語るにしても、SNS空間でひときわ影響力をもつYouTuberであるがゆえ、倫理的な言動が求められている。
(了。第1回から読む)