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《“半ケツビラ配り”で話題》「いればいるほど得だからね~」選挙運動員に時給1500円約束 公職選挙法で逮捕された医師らが若い女性スタッフに行なっていた“呆れた指導”

NEWSポストセブン 2024年12月2日 16時13分

 10月27日に投開票が行われた衆議院議員選挙。東京26区から無所属で立候補していた医師の田淵正文容疑者(66)が11月30日、公職選挙法違反(買収約束)の疑いで逮捕された。田淵容疑者は5人中最下位で落選していたが、選挙活動期間中、露出の多い女性スタッフの活動で注目を集めた存在でもあった——。【前後編の前編】

女性スタッフの“半ケツビラ配り”が物議

「逮捕されたのは、田淵容疑者と、選挙活動を共にしていた運動員の30代の男・小林繁容疑者(37)の2人です。2人は共謀の上、衆議院議員選挙が公示される前の2024年10月上旬、複数の運動員に時給1500円で、選挙運動の報酬を支払う約束をした疑いが持たれています」(全国紙社会部記者)

 選挙カーの車上運動員(いわゆるウグイス嬢)など一部の例外を除き、選挙活動の運動員に対して報酬を支払うことは原則、公選法で禁止されている。田淵容疑者は、2020年の目黒区長選挙では日本維新の会の公認を受けて出馬していたが、今回は無所属での出馬となっていた。

 田淵容疑者の選挙スタッフについては、実は選挙活動期間中から異例の盛り上がりを見せていた。

「田淵容疑者のビラ配りなどを手伝うボランティア女性たちの服装が、物議を醸していました。膝上30センチ以上ありそうな超ミニスカートを履いた女性は、もはやヒップの下半分が見えているような“半ケツ”状態。ショートパンツに編みタイツで選挙カーに登るスタッフもいて、ネット上で〈話題作りが下品すぎる〉などと批判が相次いでいたんです」(同前)

 NEWSポストセブン取材班は選挙活動期間中だった10月25日当時、中目黒で街頭演説をする田淵氏と、選挙スタッフに直撃している。

 田淵氏は「服装はそれぞれの判断で着てきたということですね」などとした上で、「女性たちはボランティアで来ているということですよね?」との問いには「そうです、もちろん」と答えていた。女性スタッフたちも「先生の指示ではない。完全に自主性なんで」などと話していたのだが、報酬を支払うことを約束した状態で活動を行なっていた可能性がある。

 物議を醸した“半ケツビラ配り”の実態は何だったのか——共犯の小林容疑者の知人から「衆議院選挙スタッフのバイトがある」と声をかけられて田淵氏の手伝いをしたという女性・A子さんに話を聞くと、田淵陣営の確信犯的な違反行動の全貌が見えてきた。

タイムカードで出退勤を報告

「知り合いの男性から、10月頭に『衆議院選挙 バイト 目黒区』『15日からなるべく毎日出勤希望』などと急にLINEがきたんです。何かのバイトなのかなと思い、15日以降の予定を提出すると、今回逮捕された小林さんからLINEのメッセージが届くようになりました。

 小林さんからは候補者の名前も教えられないまま『時給1500円のシール貼り業務』と言われたので、『どんな候補ですか?』と聞いたら、田淵先生のHPの一部が送られてきた。『たくさん実績のある偉いお医者さんだよ』と言われて、すごい人なんだなと思いました」(A子さん、以下同)

 小林容疑者については「普段、政界のパーティーや面白いイベントにたびたび出席している」(同前)と聞かされていたが、職業について聞いても答えなかったという。この時点で「時給1500円」という条件を提示されているが、A子さんはこれが公選法違反に当たるとは「全く知らなかった」という。

「予定を合わせると、田淵さんのクリニックで証紙貼りの作業をするからと言われ、クリニックに行きました。私と同じような感じで呼ばれたのだろう可愛くて若い女の子が数人いて、中にはセクシー女優の子やグラビアアイドルの子もいました。

 まず書かされたのは、タイムカードです。名前と交通費と振込先を書かされて、そこにバイト代が入るんだと思っていました。小林さんは『いればいるほど得だからね〜』なんて言っていたのを覚えています」

 作業場となった田淵容疑者のクリニック内には、異様な雰囲気が漂っていたという。

「クリニックの壁を埋め尽くすように、隙間なく表彰状が貼ってあるんです。入り口の廊下に10枚くらい、待合室の全ての壁の面にも40枚くらい貼ってあって、しかもよく見ると令和に入ってからのものがほぼないんです。完全予約制らしいんですけど、病院内は医療品や書類が堆く積まれていて、正直清潔感は感じられませんでした」

「バイトっていうのは周りに言わないほうがいいよ」

 A子さんはこのクリニックで数日、さらに投票日の直前期に数日、手伝いに行ったという。クリニックではタイムカードで打刻をし、投票日の直前期には所定の場所に着いたタイミングでSNSで小林容疑者に報告することで、“バイト”の時間を記録していたという。「実はまだお金は受け取っていません」という。

「シール貼りをしている途中で、小林さんから『実はこのバイトってあんまりしちゃいけないんだよね』と言われた。『だから、バイトっていうのは周りに言わないほうがいいよ。周りに聞かれてもボランティアだって言ってね』と。

 私はなんとなくグレーなのかなと思いましたが、公職選挙法についてもよく知らなかったので、あまり深く考えずに活動を続けてしまいました……」

 そして投開票日直前、A子さんは物議を醸したビラ配りに参加することになる——後編記事では、小林容疑者が女性スタッフたちにノリノリで提案した“スケベ戦略”、そして最終日に田淵容疑者がスタッフたちに言い放った「まさかの一言」について詳報する。

(後編に続く)

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