放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は慌ただしい暮れのラジオと読書について綴る。
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MVPから戒厳令までいろんな物が飛び出した2024年もすっかり押し詰まった。年の瀬のドサクサの観音様にまぎれてあってはならない試験放送のようなラジオ番組が1本。12月30日、午前11時から12時(クゥ~~、たったの1時間)、ニッポン放送で『ジョニ男くんと文夫くん』。まずそのジョニ男って誰と素朴な疑問をお持ちでしょう。
チョビひげにいつも三ツ揃いのスーツ、田舎の営業マンのようです。元を正せばタモリの運転手。〈昭和100年〉も来年にはやってくるというのでひたすら昭和の文化に詳しい私とジョニ男が語り合い曲をたれ流すのです。ジョニ男は“イワイガワ”というコンビの片っぴらです。
ニッポン放送には古くからこの形の番組名はあってたしか最初は『あおい君と佐藤クン』。これは長寿でしたが、そのあとあざとい私は同業者の景山民夫と組んで『民夫くんと文夫くん』。悪評の中、2年くらいやったと思う。そのリベンジがこれである。
“中40年”ってやなローテーションだな。肩もこわれるわ。暮れの大そうじのBGにきいてみて下さい。きっとあきれると思います(私のもくろみとしては意外に好評で2025年の“昭和ブーム”に乗ってレギュラー化するかも。ライバルはタブレット純)。
慌ただしい暮れは、ラジオと読書が一番。バカな若い奴らに言わせると“オールドメディア”だとさ。YouTubeなんかよりこっちの方がずっとずっと文化がある。文明ってのは時として文化をこわしてしまうことがある。雑誌を読もう本を読もう、書店へ行こうである。
芸界からもたて続けに出版が。『萩本欽一 昭和をつくった男』(太田省一)。本当によく欽ちゃんを研究している。『玉袋筋太郎の#昭和あるある』。新宿に生まれ育った悪ガキらしく昭和カルチャーがいっぱい。欽ちゃんから玉袋とたて続けに読んだら「キンタ○」になっちゃった。下ネタは禁止!(by欽)。
ラジオのことだけを語り合った対談集は『しゃべり続けて40年 今だから話せるナイショ話』(三宅裕司)。伊東四朗や私などが話し相手になっている。年の瀬なのに推し本は『木久扇の昭和芸能史』。すばらしい。その知識量に圧倒される。
切なくなりたかったら『タブレット純自伝 ムクの祈り』。ひたすら元気になりたかったらガールズバンド“ガチャリックスピン”のマイクパフォーマー、アンジェリーナ 。母がフィリピンとスペインのハーフ、父が日本、それで3分の1。表紙が凄い江口寿史。『すばらしい!!日々!』。“夢は叶う”と教えてくれる。
※週刊ポスト2024年12月27日号