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《独占インタビュー》「台湾でプレーすることも考えました」DeNA筒香嘉智が古巣復帰を決めた“たった1つの衝動” 「辛い時期のほうが長かった」米国での5年間 「激痩せ」疑惑の真相も

NEWSポストセブン 2024年12月14日 11時14分

 26年ぶりの日本一に輝いたDeNA。今年4月、球団に電撃復帰した筒香嘉智(33)の激動のシーズンが終わった。インタビュー後編ではファンの存在が復帰の後押しになったこと、“激痩せ”報道の真相、そして、菊池雄星、今永昇太ら日本人メジャーリーガーに抱く思いを語ってくれた。【前後編の後編。前編に続く】

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 幼少期から憧れていたメジャーリーグに挑戦したのは、2019年オフ。レイズと2年総額1200万ドルの契約を結んだが、期待された結果からは遠かった。契約2年目の2021年5月にドジャースに金銭トレードで移籍したが、右ふくらはぎのケガにも泣かされ打率は1割台に低迷。わずか3か月でシーズン2回目の移籍となった。

 パイレーツでは本来の打撃を取り戻し、43試合の出場で打率.268、8本塁打、25打点をマーク。翌2022年は主軸として期待されたが、春先から腰痛に苦しめられた。痛み止めの薬を服用して試合に出続けたが、つかみかけた打撃の感覚を失ったままなかなか取り戻せない。

 同年8月に自由契約で退団すると、その後はメジャー球団傘下3A、独立リーグでプレーを続けた。メジャー昇格が叶わないまま年月が過ぎていく。この間にセパの複数球団から獲得オファーが舞い込んできたが、すべて断ってきた。

「日本に帰る選択肢がイメージできなかったんです。メキシコ、台湾など他の国でのプレーは考えたことがありました」(筒香。以下同)

 メキシカンリーグはメジャーに挑戦する環境として理解ができるが、台湾プロ野球は驚きだった。その理由を聞くと、「周りにどう思われるかあまり気にしないので」と笑った上で続けた。

「野球のレベルより、モチベーションが突き動かされるかどうかが判断材料でした。でも考えれば考えるほど、やっぱりメジャーの舞台でもう一度プレーしたいっていう思いが最後の最後まで消えませんでした。あの舞台で活躍するのは子供の時からの夢でしたし、米国にこだわるという感覚よりは、純粋にあの場所でプレーしたいなって。その熱量はずっと変わらなかったですね」

 まったく頭になかった日本球界への復帰。だが、今年4月にDeNAから「戻ってきてほしい」とオファーを受けて心が揺さぶられた。

「日本でプレーするモチベーションってなんだろうって考えた時に、ベイスターズを優勝させたいって感情が自然に出てきたんです。米国に来てもDeNAの結果は常に気にしていました。お世話になっていた球団で、一緒にプレーした仲間もたくさんいましたしね。純粋にたくさんのファンに応援してもらえる環境で、試合に出たいという思いもありました」

 筒香は米国・マイナーリーグの観客が少ない閑散とした球場でプレーしていたため、ファンのありがたみを肌身で感じている。DeNAが親会社になる前の2009年、入団当時のチームは低迷期だった。本拠地・横浜スタジアムの観客が1万人を割ることが珍しくなく、ガラガラのスタンドが日常の風景だった。DeNAが親会社になり、チームの歴史が変わる。初代の中畑清元監督がチーム改革に着手。アレックス・ラミレス前監督が優勝争いできるチームに成長させた。観客の熱量も15年前とまったく違う。近年は3万人以上の大観衆が毎試合詰めかけ、チケットは入手困難だ。

「クライマックスシリーズ、日本シリーズでも大声援で僕たちの背中を押してくれて。応援の力は凄いなと改めて感じました。一軍に上がった試合で応援歌が流れた時も鳥肌が立ちました。最近ファンになってくれた方もありがたいですし、昔から応援してくれるファンの方たちにも特別な思いがあります。応援される環境が当たり前ではないですし、何とか期待に応えたいと。もうその思いだけでした」

米国での5年間は「辛い時のほうが多かった」

 筒香がレンジャーズ傘下でプレーしていた昨年、チームの公式Xに昇格を目指す筒香の写真が掲載されると「激痩せ」したと話題になった。日本球界に復帰してからも「痩せたね」と声を掛けられることが多かったという。

「いろいろな方に言われるんですよ、『昔より腕や足が細くなった』って(笑)。心配の連絡ももらってビックリしました。でも体重は数年前からほとんど変わっていないですし、今年のCSが始まる前にはトレーナーさんに計測してもらったら、2019年のデータと比べて全然変わっていない。

 右の太ももが2センチ細くなっただけですね。ユニフォームのサイズをかなり小さくしていたことで見た目の印象が変わったのかもしれません。今シーズン途中にワンサイズ大きくしたら、『ちょっと戻ったね』と言われて。全く変わってないんですけどね(笑)」

 改めて聞く。米国でプレーした5年の月日をどう振り返るか。

「純粋にあの場所でプレーしたいという気持ちで挑戦しましたが、経験しなければ味わえないことがたくさんありました。メジャーにいた時は凄く楽しかったですし毎日が充実していましたけど、マイナーにいると環境面で大きな違いがあります。毎日本当に楽しかったかと言ったら、辛い時のほうが多かったです。でも落ち込んで元気がないとかそういう感覚にはならなかったですね。全ての経験が財産になっています」

 米国での挑戦はうまくいかない時期のほうが長かったかもしれない。だが、メジャーで活躍することを目指した5年の歳月は数字で表せない大きな価値がある。異国の地で奮闘する戦友を見つめる眼差しは温かい。高校時代から互いに存在を意識していた同学年の菊池雄星(33)は今シーズン途中にトレード移籍したアストロズで大活躍。DeNAでチームメートだったカブス・今永昇太(31)は移籍1年目で15勝をマークし、親交の深い鈴木誠也(30)も日本人右打者初の2年連続20本塁打を達成した。

「米国でプレーした人間にしか分からない苦労がある中で、長年コンスタントにメジャーで活躍している雄星を尊敬しています。今永も1年目から素晴らしい成績を残して凄い投手だなと。(鈴木)誠也も活躍しています。メジャーは大変なことだらけです。それでも負けずに力を発揮できていることに、心から凄いなと思いますし、これからも頑張ってほしい。横浜から応援しています」

◆取材・文/平尾類(フリーライター)

(了。前編から読む)

 

 

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