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【江本孟紀×中畑清×達川光男が今シーズンを振り返る】DeNA下剋上も広島大失速も一刀両断「9月初め、新井監督に『優勝おめでとう!』と言って握手したのよ」

NEWSポストセブン 2024年12月19日 16時12分

 今季は阪神の“アレンパ”が阻止され、巨人が4年ぶりのリーグ制覇を成し遂げるも、CSではDeNAが勝ち進み、下剋上で日本一となる波乱の1年となった。年の瀬迫るなか、江本孟紀氏(77)、中畑清氏(70)、達川光男氏(69)による本誌・週刊ポスト名物企画「ENT座談会」を開催。シーズンの裏話から来季への辛口提言まで、放言高論をそのままお届け!【全3回の第1回】

新井監督に「おめでとう」!?

中畑:オレの今季の順位予想は巨人1位だった。見事に的中しただろう。

達川:中畑さんが当てたのは巨人のリーグ優勝だけでしょう。2位以下はひとつも当たっていませんよ。

江本:オレは3年も勝ってない巨人がいきなり1位になるとは推せないから、わざわざ連覇して当たり前の阪神を1位にしておいたんだよ。結果、1位と2位が入れ替わった以外は全部当たった。

中畑:巻き返しということで言えば、戦力が整っていないのに(阿部)慎之助はよく頑張ったと思うよ。ジャイアンツの奮起は素直に評価したい。

江本:巨人が1位になれたのは結果オーライでしょ。去年はあれほど強かった阪神がコケての優勝なんだから。

中畑:そんなこと言ったらDeNAなんかどうすんのよ。

江本:所詮はシーズンを通して貯金が2つしかないチームでしょう。

中畑:それが日本一になったんですよ!

江本:短期決戦だからそういう結果もある。(最下位の)中日だってCSに出ていれば日本一になったかもしれないし。やっぱり納得いかない部分もあるよね。巨人が頑張って優勝して、阪神もリーグ制覇まであと一歩まで迫ったのにDeNAに全部持っていかれちゃった。

中畑:賛否両論あっていいんじゃないの。CSがなかったら閑古鳥が鳴く日本シリーズになるかもしれないし。

江本:そもそも論で言うと、リーグ優勝決定から日本シリーズまで間が開くと消化試合に客が来ないからCSを始めたんですよ。でも、それは客が来ない時代の話で、今は消化試合でも満員になります。DeNAだってあんな弱いチームだったのに客はいっぱいでしょう。

中畑:ドキッ! まあでも今季を最も盛り上げたのは広島カープだよね。達ちゃんのところの功績はでかいよ。

達川:9月に突入してもトップを走っていましたからね。

中畑:9月初めに(山本)浩二さんと2人で新井(貴浩監督)と話をして、「優勝おめでとう!」と言って握手したのよ(笑)。あの時点では負ける要素が全くなかったもんな。

達川:8月下旬に東京ドームでの巨人との首位攻防戦を2勝1敗で乗り切って、新井は“イケる”と思ったはずです。でも1位になったことで各チームがローテーションを変えてきた。巨人と阪神だけでなく、中日までエース級の高橋(宏斗)、小笠原(慎之介)、松葉(貴大)を広島にぶつけてきよった。全チームにターゲットにされたのが痛かったです。

江本:9月の広島は5勝20敗でしょう。きっちりしたクリーンナップが不在で、投手陣が持ち堪えられず最後にヘタッた。

中畑:カープの大失速がなければDeNAの3位はなかった。ペナントを盛り上げた一番の要因はカープだから、このあいだ新井には「お前、貢献したな」と言ってあげたよ(笑)。DeNAの勝因はピッチャーと守備。短期決戦で勢いをつけたことも大きかった。大輔(三浦監督)もシーズン中はともかく、CSに入ってから選手起用がズバズバ当たって作戦が全部ハマった。

江本:日本シリーズはソフトバンクが圧勝すると思ったけど、油断と慢心があった。村上(隆行)打撃コーチが「オリックスの宮城(大弥)のほうがDeNAの東(克樹)より断然いい」と言ったのも余計な一言でした。

達川:DeNAは運もよかった。巨人は故障者が出てCSは吉川(尚輝)がいなかった。悪いけど、CSのジャイアンツは坂本(勇人)、岡本(和真)、丸(佳浩)以外は名前の知らない選手ばかりでした。

(第2回に続く)

【プロフィール】
江本孟紀(えもと・たけのり)/1947年、高知県生まれ。1971年に東映入団。1972年に南海に移籍しエースとして活躍。1976年に阪神に移籍し、1981年の引退後は参議院議員、タレントとしても活躍。近著に『ミスタードラゴンズの失敗』(扶桑社)

中畑清(なかはた・きよし)/1954年、福島県生まれ。1976年に巨人入団。ムードメーカーの「絶好調男」としてチームを引っ張った。引退後は2012~2015年にDeNAの監督を務めた。現在は巨人OB会の会長を担っている

達川光男(たつかわ・みつお)/1955年、広島県生まれ。1978年、広島に入団し正捕手として活躍。引退後は広島監督や阪神などでコーチを務め、ソフトバンクでヘッドコーチとして日本一を経験した

※週刊ポスト2024年12月27日号

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