「まったく知らない人に刺された」──15歳の尊い命が突然に失われた悲劇は、多くの人が日常的に使うファストフード店内で起こった。12月14日午後8時30分ごろ、福岡県北九州市小倉南区の「マクドナルド322徳力店」で、中学生の男女2人が男に刃物のようなもので刺され、女子中学生が死亡した事件。全国紙社会部記者が語る。
「亡くなったのは、地元の中学校に通う中学3年生の中島咲彩さん（15）。塾帰りに訪れたファストフード店で被害に遭い、搬送先の病院で死亡が確認されました。捜査関係者によると、死因は腹部を刺されたことによる失血死で傷は1か所、防御創などはなかったといいます。同級生の男子生徒（15）も腰のあたりを刺されましたが、命に別状はないそうです。
店内の防犯カメラには、男が凶行に及んだ一部始終が残っているそうです。被害に遭った男女は、店に入ってレジの最後尾に並んだ直後に、男に襲われたとみられています。男は入店後すぐ、30秒ほどのわずかな間に無言で男女を刃物で刺し、そのまま逃走。女子中学生は苦しそうにうずくまって倒れたそうです。男子生徒は『まったく知らない人に刺された』と話しており、通り魔的な殺人事件だとみられている」
男は犯行後、刃物のようなものを持ったまま徒歩で逃走したとみられている。福岡県警は小倉南警察署に捜査本部を設置し、殺人事件として逃げた男の行方を追っている。
地元の人が集まる店で…犯行現場の様子
現場となった店は国道沿いにある平屋建ての造り。向かいには大型のパチンコ店があり、国道から一本道を入ると住宅街が広がる、よくある郊外の風景だ。
中島さんが通っていた中学校は、このファストフード店から徒歩約15分程度の場所にある。同校を2年前に卒業したという男子高校生（17）が語る。
「この辺では教育レベルはわりと高いイメージで、評判も悪くないです。部活に入る生徒が多い。僕のときは1学年200人ぐらいで、40人が5クラスぐらい。3年生になると、8割ぐらいの生徒は塾に通います。高校も進学校に進む生徒もいます。
あのマックは、僕もよく行っている。中学の時は、昼ごはんを友達とあの店で食べて、それから遊びに行ったりもしました。地元の人がよく溜まっている印象です。夜もまあまあ人がいて、勉強に使う人も多いです」
近所に住む60代女性によると、現場となった店は「いつも人が多くて、11月末にリニューアルしたばかりだった」という。老若男女を問わず地元の人が集まる店で、一体何があったのか。当日、事件が起きる直前に同店舗を利用していたという60代の女性が、怯えた様子で語る。
「昨日はバイクに乗っていて寒かったから、20時ちょっと前ぐらいにマックに入ったんです。客席はピークタイムのわりに空いていて、3組ぐらいしかいなかった。でもレジ前は持ち帰りとかデリバリーとかで結構混んでいて、6〜7人ぐらいいた。私の後ろには学生服姿の学生もいましたよ」
現場となった店から中島さんの自宅までは、徒歩30分ほどの距離がある。息子が中島さんの同級生だという女性が、涙ながらに語った。
「お母さんのことを思うと……（中島さんは）すごく真面目で可愛くて、きょうだい思いで家族思いで。お母さんもすごく家族思いで、本当に優しい家族でした。それだけは、みなさんに分かってもらえたらと思います。犯人は、本当に許せない……」
北九州市教育委員会は、16日は被害生徒が在籍する中学校を臨時休校にすると決定。警察にも巡回強化を要請しているという。一刻も早い犯人逮捕が待たれる。
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