福岡県北九州市小倉南区のファストフード店で、中学生の男女2人が男に刃物のようなもので刺され、中学3年生の女性が亡くなった事件。
この事件をめぐり、12月17日、X(旧Twitter)に投稿されたポストが拡散されている。投稿には、亡くなった女子中学生の父親が「福岡県警の若松警察署長」と書かれており、2000万回インプレッション(12月18日時点)を突破している。
被害者の女子中学生の名字と警察署長の名字が同じであることなどから当該ポストが拡散しているようだ。Xでは同様の内容のポストがいくつも投稿され、拡散されている。しかし、NEWSポストセブンの取材でこれらの投稿内容はデマだということがわかった。
SNS利用をめぐるデマ投稿の深刻度
近年、SNSの利用をめぐってデマ投稿の問題が浮き彫りになっている。
振り返れば今年1月に発生した能登半島地震では、男性が虚偽の「救助要請」をX(旧Twitter)に投稿。本来の救助を妨げたなどとして、偽計業務妨害の疑いで逮捕されている。8月には、気象庁が発表した南海トラフ地震臨時情報においても、それが「人工地震」であるといった“デマ”が投稿され、SNS上で拡散された。
こうした事象は日本だけでなく、世界でも起きている。イギリスでは今年7月に起きた児童刺殺事件の容疑者が、実際はイギリスで生まれ育った少年だったにもかかわらず「イスラム教徒の不法移民だ」などといったデマがSNS上で拡散され、それが大規模な移民排斥デモに拡大。現地紙は「過去10年で最悪の暴動」とも報じている。こうしたデマはさらなる社会的混乱や第二の被害者を生む可能性がある。
警察の広報担当者も「事実ではない」
北九州で起きた事件では、福岡県警は小倉南警察署に捜査本部を設置したが、事件から数日経った現在も、現場から逃走した男はまだ捕まっていない。
冒頭で触れた一連のXでのポストは、「亡くなった女子中学生が同県警察署の署長の娘」だとしたうえで、その警察署長が暴力団犯罪の捜査などを担当してきたことから、「反社会的勢力の恨みを買ったのではないか」という憶測に基づいている。犯人がまだ捕まっておらず犯行動機が見えないことから、「同じ名字」であることを理由に作られた虚偽のストーリー、デマだと断じざるを得ない。
ネット上で拡散されている投稿について、NEWSポストセブンが当該の警察署に取材すると、広報担当者は「事実ではない」と回答した。
Xで拡散されているデマに、遺族も、当該の警察署長や関係者も、心を痛めているはずだ。人は不安にかられると不確定な情報を信じる傾向にあることはよく知られているが、SNSはその伝播力・影響力とも非常に大きいものとなり、デマは社会問題になっている。
投稿・拡散する際は、くれぐれも情報の正確性を確認するべきだろう。
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