今年の大みそかの『第75回NHK紅白歌合戦』に白組歌手として初出場する新浜レオン(28才)。デビュー以来の悲願を達成しようとしているいま、どんな心境なのか。コラムニストで放送作家の山田美保子さんが話を聞いた。
2023年の落選でマネジャーと流した悔し涙
山田:改めまして紅白初出場、おめでとうございます!
新浜:ありがとうございます。デビューからの5年間、ずっと「紅白」「紅白」と言い続けてきたので喜びもひとしおです。あれ以来、どこの現場に行っても、くす玉や手書きのPOPを用意してお祝いしてくださいます。もちろんファンの皆さんも泣いて喜んでくださって。『全てあげよう』の作詞・作曲者である所ジョージさん(69才)からは、「何かレオンの一番を挙げるとしたら、間違いなく“紅白に出たい”と言っていた回数の多さだよなぁ」と。改めて身の引き締まる思いですし、いまはもう次に向かっているというか、これはひとつの通過点でスタートだと思っています。
大先輩であり、これまで何度もコンサートに呼んでくださった五木ひろしサン(76才)や、『うたコン』(NHK)でいつも盛り立ててくださる谷原章介サン(52才)、そして何かにつけて楽しいビデオメッセージをくださる純烈の皆さんなどからは異口同音に「これからだよ」と。そんなに喜んでいる場合じゃないよというカンジだったんです。
特に純烈さんは2023年のぼくの悔しさを近くで見て知っててくださったので……。
山田:2023年ですか?
新浜:はい、2023年もいろいろな現場で「紅白、行くぞ〜」「おー!!」という掛け声で毎回締めていたのに落選。その直後の『うたコン』で一緒になった純烈さんの楽屋にご挨拶に行ったら、リーダーの酒井一圭サン(49才)が「どうだ? いまの気持ちは」と聞いてくださって、「おれたちも初出場の前の年は同じだった」「でもレオン、ここ(『うたコン』)に呼ばれるのは“紅白まで、あと一歩”ということなんだ」と。ぼくは泣いてしまって、デビューからずっと付いてくれていたマネジャーも後ろで号泣していましたね。
そんな“ドラマ”を経て、『紅白』が決まって最初の『うたコン』でまた純烈さんの楽屋をお訪ねしたら、「紅白おめでとう」と書いたラベルの日本酒を用意してくださっていて。演歌・歌謡ジャンルでは純烈さん以来6年ぶりということもあり、「初出場の扉をこじ開けてくれてありがとう」とも言っていただきました。
山田:2023年から2024年にかけて、自分で意識的に変えたことはあったのですか?
新浜:実は2023年、『紅白』落選を知ったのは、年齢やデビュー年が近い演歌歌手から成るユニット「神ファイブ」のメンバーと地方でコンサートを行っていたときだったんです。ほかにも、所属事務所やレコード会社の垣根を越えた「演歌第7世代」というユニットにもぼくは入れてもらっていて、歌ったり踊ったりゲームをしたりというステージを年間何本も行っていたんです。
それは本当に楽しかったし、たくさん支えてもらっていたし、どちらのメンバーも大好きだったのですが、ここにいても『紅白』に出る目標は達成できないかもしれないと「脱退」させてもらうことにしたんです。
いわば、“逃げ場”を自分でなくして、そちらへ行く扉を閉めて鍵をかけました。それぐらいの犠牲を払わないとダメだと思って……。
「紅白に出ることは宝くじに当たるよりすごい」という教え」
山田:木梨憲武サン(62才)との出会いはその直後でしたね。
新浜:はい、2023年の12月2日です。ぼくはその頃、日曜劇場『下剋上球児』(TBS系)に出演させてもらっていたので、最終回押しの番宣のためにTBSラジオの『土曜朝6時 木梨の会。』に出たんです。ドラマの話を聞かれるのかと思いきや、木梨サンはぼくが西城秀樹さん(享年63)の曲をカバーさせていただいていることをご存じで、「見てるよ」と。ゲストはぼくだけだと聞いていたのに、その日はなぜか満島真之介サン(35才)やSnow Manの向井康二サン(30才)、モグライダーの芝大輔サン(41才)たちもいらして(苦笑)、正直、爪痕が残せたとは思えなかったんです。
ところがそれからわずか2日後に木梨サンから直接電話をいただいて、「曲ができたよ」と。「レオン、下を向いてる場合じゃないぞ」「『紅白』、出たいんだろ?」と木梨サンや所サンがスイッチを入れてくださったような最高の出会いとなりました。しかも所サンは2024年、『全てあげよう』で『日本レコード大賞』の「作曲賞」を受賞されたのですから、ものすごい展開だと思います。
山田:そんなすべての出会いやご縁のきっかけと言うべき西城秀樹さんのご家族やファンの皆さんも喜んでくださっているでしょうね。
新浜:はい。今年はB’zの松本孝弘サン(63才)のギター演奏で『傷だらけのローラ』を披露させていただく機会も多かったのですが、秀樹さんのファンの皆さんから「歌ってくれてありがとう」という温かいコメントをいつもいただいています。奥様の美紀さんや長男の木本慎之介サン(21才)から秀樹さんのお話を聞けるのも本当にありがたくて。慎之介サンは「お父さんの服、なんでもあげる」と言われていますが、奥様は「あれはあなた(慎之介サン)の服じゃないのよ」と笑っておられます。
山田:最後に、ご両親は?
新浜:まだ会えていないのですが、目を真っ赤にして抱き合って喜んでいたと親戚から聞きました。父(歌手の高城靖雄サン・66才)は大晦日にはいつも年末ジャンボ宝くじを机に並べながら、「『紅白』に出られるのは宝くじに当たるよりもすごいこと」と子供のぼくに切々と説いていましたから。
山田:本当によかった!! 『明石家紅白!』(NHK)の明石家さんまサン(69才)も真顔で「すごいなぁ」と言っていましたよ。
「レコ大」も「紅白」も、フレーフレーオンですね。
【プロフィール】
新浜レオン/1996年5月11日、千葉県生まれ。2019年、シングル『離さない 離さない』でデビューすると、その年の『第61回 日本レコード大賞 新人賞』を受賞。2024年3月、木梨憲武プロデュース、所ジョージ作詞・作曲の『全てあげよう』が、2024年のオリコン演歌・歌謡曲ランキングトップ10入り最長記録を更新した。
構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!+』(メ〜テレ)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)に出演中。CM各賞の審査員も務める。
※女性セブン2025年1月2・9日号