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《天皇皇后両陛下の前で“着崩れ着物”》林芳正官房長官のX投稿夫婦写真が炎上 石破内閣が「だらし内閣」のイメージを打破するのに立ちはだかる“高い壁”

NEWSポストセブン 2024年12月20日 7時15分

 着物姿をSNS投稿するのは勇気が必要と以前からよく言われる。その理由としてダメ出しをする「着物警察」の存在が指摘されているが、今回のダメ出しはそれ以前の問題だった。林芳正官房長官がXに投稿した夫婦の正装写真から、臨床心理士の岡村美奈さんが、石破内閣のイメージ戦略に足りないものを指摘する。

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“この着こなしは失礼にあたるのでは”と物議を醸している写真が、林芳正官房長官のXに公開されている。林氏が投稿しているのは、妻・裕子夫人とのツーショット。12月9日、皇居にて行われた皇后陛下の誕生日祝賀式典に夫婦で参列した時の写真だ。

 林氏は白のネクタイに黒のモーニング。隣に立つ裕子夫人は可愛らしい花柄が施された明るい薄紫の訪問着に、金糸の入った白っぽい帯と同じ色合いの帯締めを締め、明るい茶色の髪を後ろに1つにまとめている。皇居での祝賀式典のため、正装の着物で出かけたのだろう。だがその姿は、どう見ても素敵なとは言えず、かなりぐずぐずに着崩れているのだ。

 その人が着ている服装や着こなしには、その人の心理や意識、性格などが表れると心理学ではいわれている。被服心理学や服装心理学、ファッション心理学などと呼ばれる分野では、服装やファッションは意識的にしろ無意識的にしろ、その人となりを表すと考えられている。そして服装は、それを見る人の心を動かし、印象付ける力も持っている。

 彼女の着物や着崩れが指摘されたポイントはいくつもある。1つは色合い。かわいい薄紫の着物は年齢や場所に合わないだけでなく、顔色とも合っていない。おそらく若い頃に誂えたのだろう。袖丈が短く、手首が出てしまっていて、彼女の体型や今の着物のトレンドには合っていない。着付けでいえば、帯締めの位置がやや下すぎだし、きれいに整っていない。白の帯揚げは帯から見えすぎで、おはしょりは斜めになってぐちゃぐちゃ。脇にはシワが寄っている。着物は基本、裾に向かってすぼまるように着付けるものだが、彼女の着物は裾に向かって広がっている。

 着られると思ってご自身で着付けられたのかもしれないが、物議を醸した真のポイントはそこではない。この着物姿を見て、夫である林氏は大丈夫だと思ったのかという点だ。官房長官の妻という立場であり、場所が皇居で天皇皇后両陛下による式典にもかかわらず、林氏は着崩れたままの妻の姿を写真に公開してしまった。当然、林氏はだらしなくても平気な人物なのか?という疑問が浮かんでくる。服装やファッションはこの人はどういう人なのかという印象だけでなく、心の内面をも映し出すと考えられているからだ。

 林氏は石破内閣発足時の着こなしについて10月、記者会見で答弁しているだけに、それを注意しなければならない人物の一人だったはずだ。第一次石破内閣は発足時、全閣僚による階段での写真撮影で、モーニング姿の石破首相のズボンの裾がだぶついたり、石破首相と中谷元防衛相の上着とズボンの間からシャツが見えたことで「だらし内閣」と揶揄された。首相官邸のホームページに掲載された写真はシャツが見えないよう画像処理され、林氏は「軽微な編集処理を行った」と認めていたではないか。しかし彼は妻の着崩れに気が付かなかった。

 だらし内閣と揶揄する声が大きくなれば、だらしなさが目につくものだ。首相の食べ方など行動全般がだらしないというフィルターを通してみられるようになり、その影響は首相が選んだ全閣僚の言動に及ぶ。リーダーやキーパーソンの服装は組織のイメージにも影響を与える。第二次石破内閣発足時の写真は、前回の時よりずいぶん見栄えがよくなったと評されたのも、だらし内閣の印象が強かったせいである。だが林氏の妻の着崩れでも「石破内閣のメンバーだから納得」という声がネット上にあがったが、一度ついてしまったイメージはなかなか拭えない。

 服装やファッションは心を映す鏡といわれる。石破内閣の閣僚を含め政治家は、自らの姿や公開する写真が人々にどう見えているかについて、もっと注意を払うべきだろう。

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