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《独占告白・八田與一容疑者の祖父が語る》大分・大学生死亡ひき逃げ事件「時効がきたらあたたかく迎えてやる」「コロナでフラフラだった」

NEWSポストセブン 2024年12月24日 7時15分

 大分・別府市で起きた大学生死亡ひき逃げ事件からすでに2年以上が経った。警察庁は事故現場から逃走した八田與一容疑者(28)を昨年9月、ひき逃げ犯としては初となる重要指名手配に指定。大分県警の発表によれば今年11月末までに、のべ8367件の情報提供があり、警察が捜査を続けている。

 関東圏では「容疑者に似た男を見た」といった目撃証言が3000件近く寄せられるなか、11月1日には、X(旧Twitter)上では愛知県名古屋市内の飲食店の防犯カメラに映った空き巣犯が八田容疑者に似ていると話題に。懸賞金最大800万円を狙った“八田與一ハンター”が現地に集結するという騒ぎになったものの、最終的に逮捕されたのは別人だったとされており、未だにその足取りをつかむまでには至っていない──。

 NEWSポストセブンは12月初め、八田容疑者について取材するために彼の祖父の自宅を訪ねていた。初めは口が重かった祖父だが、ある瞬間にこう漏らした。

「與一はもう死んでると思ってる──」

父親を早くに亡くし…

 八田容疑者は石川県で生まれ、千葉県や栃木県を転々とした後、2021年に大分県に移り住んだとされている。そんな生活のなかで、特に長い時間を過ごしたのが祖父の家だった。幼少期の容疑者について、祖父が語る。

「與一は父親をがんで早くに亡くしているんです。だから母親は女手で育てなきゃいけない、資格をとってちゃんとした職業に就かなきゃいけないということで、専門学校に入った。

 母方の実家が能登で、そっちの小学校には3年間ほど通っていました。中学はね、途中で転校するといじめとかあるかなと思ってこっちのほうにした。それからはずっと、10年以上この家に住んでたよ。自動車が好きな子どもで、車を見ると『〇〇の車だ!』といつもはしゃいでね……。大人になってからも運転は好きだったと思う」

祖父が語った「ひき逃げ」

 祖父は孫の「ひき逃げ」については“ある言い分”があるという。

「與一はある企業の正社員募集で入社して、6ヶ月の試用期間があける時期だったの。母親が言うには、その正式採用かどうかという時期にコロナに罹ってしまって『しばらく休め』と言われていたそうなんです。結局、いつまでも休んではいられず会社にも出たけど、後遺症でうまいように働けず……。

(事件)当日も母親が與一に会っているんですが、コロナの後遺症のせいかフラフラだったと話してるんだよ」

 事故があった日、容疑者は体調が悪いため正常な判断ができず、現場から逃走してしまったということだろうか。さらにこう続けた。

「俺は状況からして、與一はもう死んでると思ってる。別府湾の近くを裸足で歩いていて、スマホも財布も持たずに車に置いたまま逃げたことになっている。計画性があったなら、そういうことはしないはず。

 そもそも、車でひいて殺しても與一にはなんの得にもならない。殺人を犯す必然性がないんだ。報道にある“暴力性”みたいなものはまったくないし、優しい子どもだった。おそらく突然のことで、なにも考えずに行動しているわけだ。

 当時は天候も悪かったし、着るものも金も持たずに歩いていて、生きているわけがない。與一のシャツが別府湾のところに脱ぎ捨ててあったから、入水自殺をしたんじゃないかと思う」

「生きていたら孫に会いたい」

「すでに死んでいる」と言いながらも、10年近い時間を孫と過ごした祖父は今の心境をこう打ち明けた。

──お孫さんが生きていたらなんと伝えたいか。

「まずは『出てこい』と言いたいよね」

──時効を迎えておじいちゃんの元に戻ってきたらどうするか。

「時効がきたらそれは暖かく迎えてあげるよ。ところがね時効というものを相手(被害者)の方が引き伸ばす運動をして、7年の時効をなくそうとしていると警察から聞いています。

 もし(與一が)生きているなら、出頭して当時の状況の話をして、『考える余裕がなかった』『俺にはなんの得もない』と、こちらの主張もせんといかんなと思います」

──事件の後にお孫さんから連絡は。

「まったく、連絡のとりようがない。連絡はまったくないよ」

──生きているうちに会いたいか。

「それはそう。與一には会いたいよ。母親も與一に会いたがってると思う」

 仮に当時の八田容疑者がコロナの後遺症で正常な判断ができなかったと主張するにしても、その罪については司法が判断するものだ。遺族は事件以来、苦しい日々を送っている。

 被害者となってしまった大学生の両親は事件から半年後、八田容疑者の捜査協力をするために遺族やその支援者で結成された『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』で、こうコメントしている。

「このような残酷で悲しい事件がまさか自分の身に起きるなんて。夢であって欲しい。まだ、そう思いながら毎朝目を覚まします。(中略)八田容疑者がこれまでどんな人生を歩んできたのか。なぜこのようなことになってしまったのか。それは私たちには想像することしかできません。

 しかし、八田容疑者にも私たちと同じように大切な人がいるはずです。そして、罪を犯してしまった八田容疑者のことを心配している人もいるはずです。罪から目を背け、逃げ続け、そのような卑怯な人生でいいはずがありません。そのことに気付き、自首してくれることを心から望んでいます」

 この両親の思いが報われぬまま、はや2年以上が過ぎた。八田容疑者はいったい今どこで、なにをしているのだろうか──。

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