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《これから行きませんか?》虚偽の性被害告訴…元草津女性町議が借金トラブルで町民からも提訴されていた 返金求める被害者に見せた“色仕掛けの泣き落とし”

NEWSポストセブン 2024年12月30日 7時15分

「人の良心を悪用するなんて本当に許せません。彼女にはお金だけではなく、町民と築いた信用も奪われました。一日も早く返金してほしいし、謝罪してほしいです」

「日本三名泉」のひとつとして、人々の心身を癒やし続けている草津温泉。群馬県北西部に位置する人口約6000人の草津町を騒がせたのが、当時町議だった新井祥子氏(55)をめぐる一連の虚偽告訴事件だった。

 発端は2019年11月、新井氏がフリーライターと共謀して、同町の黒岩信忠町長と「町長室で肉体関係を持った」とする証言をもとにした電子書籍を出版したことだ。黒岩町長はその証言が虚偽で、名誉が損なわれたとして新井氏らに損害賠償を求めて提訴。今年11月26日に東京高裁では「社会的評価が大きく低下することになった」として、新井氏に165万円の支払いを命じる判決が確定している。現在は、虚偽告訴罪と名誉毀損罪について刑事裁判で審理されている。

新たなトラブルが発覚

 NEWSポストセブンが草津で取材を進めると、新井氏の新たなトラブルが発覚。すでに泥沼裁判に発展していることがわかった。冒頭で切実な思いを訴えたA氏が代表で原告となり、借金の返済など含め、新井氏に総額約280万円の貸金返還を求める民事訴訟を起こしているのだ。

 新井氏と係争中のA氏が彼女と初めて会ったのは2007年頃だった。

「私が湯治のために草津を訪れた時期でした。湯治仲間として知り合った新井さんに、私をはじめとする3名が彼女にお金を貸与しました。彼女本人と借用書も交わしましたが、現在に至るまで返金がない状況です。

 返済の意志や誠意ある対応もみられなかったため、昨年末に貸金の返還を求めて民事訴訟に踏み切りました。裁判は11月5日で9回目となりますが、本人は1度も出廷せず、雲隠れしている状態です」

 新井氏は2011年、42歳で草津町議会議員選挙に初当選。草津町議会初の女性議員として当時は話題になった。全国紙社会部記者が語る。

「新井さんはかつて『草津温泉が皮膚病に効果がある』と湯治仲間から聞いて草津に通い始めました。そこで知り合った町の人のためになりたいと思ったのが彼女が政治家を目指したきっかけだそうです。

 しかし、2期目の任期中だった2019年11月に突如、黒岩町長と『町長室で性交渉した』とする証言をもとにした電子書籍を出版して、草津町議会がワイドショーの格好のネタになりました」

 責任を問われた新井氏は2020年12月、自身に対する解職請求(リコール)が成立して失職。今年1月には前橋地裁が執筆したライターに名誉毀損の罪が成立するとして懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡している。

 このA氏が彼女からお金の相談を受けたのは、町議となって4年後の2015年4月14日だったという。

「私は草津の湯治仲間として彼女を応援していました。2期目の選挙が近くなった頃、彼女から『草津をよくするために、政治資金としてお金を貸してほしい』とお願いされたのです。今までの彼女の人付き合いの仕方や、湯治に対しての不真面目な姿勢に不信感を感じて、あなたでは信用がないからと一旦断ったのですが、帰らずにしつこく頼まれ『議員になれば、議員報酬が入るからすぐに返せる』と、しつこく言い寄った」

 根負けしたA氏は、自宅で新井氏に60万円を貸してしまった。

「何時間も粘られて、連日の残業仕事で疲れていた私は押し切られてしまいました。そして目的を果たした彼女は、『予定が入ったから』と振り切られ、逃げるように帰られてしまいました。この時、無理を言ってでも止めるべきでした。後から確認すると、Cさんも連帯保証人に同意していなかったとわかり、騙されたと思いました。抗議や確認をしようにも、選挙や議員活動で忙しいことを理由に取りあってもらえず、困り果てていました」

 しかし当選後、返済期限が過ぎても新井氏が返金に応じることはなかった。後日、彼女は意外な理由でA氏の自宅を訪ねたという。

「2021年5月26日のことです。突然、新井さんが生命保険の勧誘で 私の自宅に来ました。そのときに会話の流れでつい『車を買うから保険は入れない。すでに頭金も用意してしまっている』と、現金があることを、うっかり話してしまったんです。その瞬間、彼女の目の色が変わり、『そのお金を貸してほしい』と言い始めました。前回の返金もないことを理由に何度も断り、帰ってほしいと伝えましたが、泣き落としや土下座が始まり、3時間以上ほど居座り続けました。

 以前の彼女との金銭の貸し借りも解決していなかったので、貸すべきではなかったのですが、これは別口の借金で親が返すから大丈夫と。さらにお互い草津へ移り住み、湯治で体を良くした経験を熱く語り、少しでも草津に貢献したいと言いくるめられてしまい、2度も貸してしまいました。『せめて連帯保証人を信頼できる人にしてほしい』とお願いすると、共通の知人であるCさんも承知していると言い出し、なぜか貸主欄に彼女がCさんの名前を書き記しました」(A氏)

 結局、A氏は断り切れず、C氏と共同で新たに60万円を貸した。新井氏の母親を連帯保証人にしていたが、再び返済期日を過ぎて返金を求めても「今度返すから」とかわされ、お金が戻ってくることはなかった。

 2人目の被害者は「草津でも新井さんの仲間のように思われていて、肩身が狭い」と肩を落とす草津在住の50代のB氏だ。B氏も2012年2月22日に新井氏に30万円を貸したが、10年以上経った現在も返済ないという。

「もともと彼女は人の懐に入るのが得意で、湯治仲間として信用していたから『選挙に必要だ』といわれ、何の疑いもなく貸しました。彼女に返金を求めると『サラ金があってそこに返金しないといけないの』と、涙を流して『私も被害者なのよ』と同情を誘おうとするんです。

 女性に泣かれたらそれ以上何も言えなくなってしまいます。お金が戻らないまま10年以上が過ぎてしまいました。本当に残念です」(B氏)

「これからホテルに行きませんか?」

 前出・A氏と共同でお金を貸した60代のC氏は、「返金を催促したときの新井さんのやり方が許せない」と憤る。2021年12月22日、C氏が所用で群馬県庁を訪れた時のことだった。

「偶然、新井さんにバッタリ会ったので、返金してもらおうと声を掛けたんです。そうしたら、彼女から『食事でもしませんか?』と言ってきたんです。冷静に話をしようと思い、2人で近くのファミレスに行きました。私が返金の話を持ち出すと、彼女は服の胸元を開けて『これからホテルに行きませんか?』と誘惑してきたんです。

 理由を尋ねると『静かなところで話がしたいから』と。意味不明な彼女の言動に臆せず問い詰めましたが……」(C氏)

「借り入れた事実はない」と回答

 現在、係争中の裁判で新井氏はA氏らの訴える借金について、 「借り入れた事実はない」「返済する理由がない」と主張している。

 裁判資料によると、A氏やB氏との金銭借用書においては、借主、連帯保証人欄及び、本文中の新井祥子などの署名部分は被告本人が署名捺印したものと認めたが、《その他の金額等の部分は後日何者かが書いたもの。金額などの部分は明らかに筆跡、および使用した筆記具が異なる》として、争う姿勢を見せている。

 B氏との金銭借用書については「現金30万円については被告は受領していないので、C氏との間で、金銭消費賃借契約は成立していない」とした。

 新井氏と係争中のA氏とC氏が現在の胸中を語る。

「当時は借用書など交わしたことがなく、手探りで彼女の言うなりになって作ったものです。すべて彼女自身が署名したもので、指紋も残っていますが、筆跡も自分で微妙に変えています。印鑑も自分で鞄の中から取り出して捺印したものです。新井自筆の借用書もあるし、返してくれると信じていました」(A氏)

「草津には薬では病気が治らない人や、人間関係で傷ついた人、切羽詰まった人、社会的立場が弱い人が、何とか生きたいと最終手段でこの場所を信じて来るんです。そういう人間を騙すということは本当に許せないですし、同じ湯治仲間に裏切られた絶望感もあります。

 湯治仲間の彼女が、問題を起こしたことで私たちも加害者のような目で見られています。さらなる被害者がでないことを願って告発することにしました」(C氏)

 金銭トラブルについて、新井氏本人に事実確認のため携帯に何度も連絡したが繋がらなかった。代理人弁護士に金銭トラブルについて質問状を送ると、以下のように回答があった。

「本人とも話をして取材は受けないということになっております。私からお答えすることはできませんが、A氏との件は訴訟のほうでこちらが出している書面の通りですから、それ以上は差し控えさせていただきます」

 今後の裁判はまもなく最終弁論があり、年明けには最終審判が下る予定だという。

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