元「シブがき隊」の布川敏和さん(59)は、「シブがき隊」解散から3年後の1991年、高校時代から交際していたアイドル・つちやかおりさん(60)と結婚。1男2女に恵まれたが、2014年に離婚した。“おしどり夫婦”と言われていた2人の別れは、ワイドショーを大いに騒がせた。あれから10年──。離婚後に憎み合い、顔さえ見たくなくなる夫婦も少なくないが、布川さんはどうなのだろうか。現在の元妻・つちやさんとの知られざる関係を語った。【全3回の第3回。第1回を読む】
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まず、つちやさんとは今も定期的に会っています。今も行き来があるのは、やはり子どもがいるからでしょう。長男の隼汰にもうすぐ1歳になる男の子が1人、長女の桃花に3歳の女の子と1歳半の男の子が1人の、合計3人の孫が僕らにはいますから、この11月には七五三のお参りがありましたし、9月には敬老の日を祝ってもらいました。つちやさんとも必然的に顔を合わせることになるわけです。つちやさんと2人きりで会うことはありませんけどね。
ここ3年ほどは年末年始も、つちやさんと末っ子の花音(かのん)が2人で暮らす家で、子や孫も集まって一緒に年越しをしています。夫婦だった頃と同じように、リビングにテレビを数台置いて、複数の番組を同時につけてみんなで見るんです。そう、紅白も見ていますよ。つちやさんがYouTubeライブを始めたら、僕も顔を出したりして。
僕のファンは元夫婦の共演は嬉しくないようですが、僕が今あるのはファンのおかげであると同時に、つちやさんのおかげでもありますから。お互いを夫婦だったときのように“パパ”“ママ”と呼び合いながら、大事な子や孫と一緒に新年を迎えています。
あとは、愛犬のお世話のためでもありますね。今、僕が一緒に暮らしているミニチュアダックスフントは、子どもたちがまだ小さい頃に買い始めた“家族の犬”。もう目も見えず、耳も聞こえないおばあちゃん犬なので介護がなかなか大変でして、僕が泊まりで仕事のときはつちやさん宅にあずけています。逆に、つちやさんが飼っている犬を僕があずかることもある。それで行き来は絶えませんね。
実は、つちやさんとは仕事も一緒にしているんです。この1~2月、彼女は『おばドルゆみこ2024』という舞台で主演しまして、僕もシークレットゲストとして共演しました。直接ではなく娘経由で依頼が来たので、久しぶりに舞台に立ったら、お客さんも孫も喜んでくれて、僕も久々に楽しかった。ちなみに、ギャラも払ってくれましたよ(笑)。つちやさんは僕の個人事務所の経理担当社員なので、お金の管理では今もお世話になっています。
家族5人で住んだ家に1人暮らしの現在
僕は今、家族5人で住んでいた築29年の広い家に1人暮らし。無駄が多いし管理が大変なので、そろそろ、もう少し狭いマンションにでも引っ越そうかと思っています。2025年に60歳を迎えるので終活ですね(笑)。娘のそばにでも住んだら、孫の保育園への送り迎えとかフォローができるじゃないですか。僕はもっと孫と触れ合いたいし、今の僕には孫が一番の生きがいですからね。
再婚の可能性ですか? 99%ない! つちやさんと? ありませんって(笑)。離婚して10年ですが、その前に2年別居期間がありますから、もう12年、僕は1人。家族で暮らしていたときは、何もない休日でも夕方5時までは買い物など用事があるから大好きなビールはおあずけだったけど、今は起きてすぐからでも飲んでOK。こんなに自由で気楽な毎日に、すっかり慣れちゃいました。
親しい友人たちは「愛犬が死んだらどうするんだ!」と心配し、やはり再婚を勧めてくれます。でも、今は彼女を作るのも面倒くさい。コロナをきっかけに、外へ飲みに行かなくなり、出会いも無くなりました。もっとも、この面倒くさいという気持ちを上回る素敵な女性が現われたら、わかりませんけどね。
一男二女…子供たちの自立
長男の隼汰は俳優兼映像ディレクターとしてがんばっています。俳優としてこの5月、「内田康夫生誕90周年 〜浅見光彦シリーズ〜『後鳥羽伝説殺人事件』」という舞台で主演しましたし、映像ディレクターとしては、2024年8月から10月に放送された生田絵梨さん主演の連続ドラマ『素晴らしき哉、先生!』(テレビ朝日系)の全話の編集を担当していたんです。すごく嬉しいし、誇らしい。
長女の桃花は4年前に結婚し、今は2人の子の子育てに追われています。次女の花音は頭蓋底奇形腫という治療の難しい病をもって生まれましたが、4度の手術を乗り越え元気に育ち、1年ほど前にグラフィックデザイナーとして独立しました。誰もが知るような、大手メーカーの商品のデザインを手がけているんですよ。わが子ながらすごいな、と驚いています。
花音は独身ですが、社会人として立派に1人立ちしましたから、僕も親としてやっと肩の荷が下りました。そのせいか、以前のように「大変な仕事でも引き受けて稼がなくちゃ!」というガツガツした気持ちがなくなりました。今流行の投資で大もうけしたい気持ちもないし、大金を手にしてイイ車に買いたい、という気持ちもない。お金よりも、連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)や、話題になった連続ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)みたいな1980年代を描いた作品に惹かれますね。
今、10年以上前から、週1回、月刊経営情報誌『Anchor』(報道通信社)で中小企業の社長さんにインタビューする仕事もしているんですよ。どうやって今の仕事を始めたのか、どんな苦労があるか……と聞いていると、すごくおもしろい。僕も3人の子を育てあげた今、子や孫に良い世の中を残してあげたい、と初めて政治や社会に関心をもったり、自分の人生について振り返ったりするようになりました。
僕は人生80年だと思っているので、あと20年。自分に何ができるか。大事な人と仕事に時間を使いたいな、と思っています。
(了。第1回を読む)
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト) 撮影/山口比佐夫