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【玉木雄一郎氏独占インタビュー】国民民主党が自民党と交渉する理由「政策実現のためで石破内閣延命のためではない」「不誠実なら野党協力で内閣不信任案提出も」

NEWSポストセブン 2025年1月4日 7時12分

 国民の政治不信が極限まで高まり、昨年の総選挙では自民・公明の与党が15年ぶりの過半数割れに追い込まれた。そうしたなか支持を集めたのが、玉木雄一郎氏率いる国民民主党だった。夏に参院選を控える2025年も、玉木氏が“政界に嵐を巻き起こす男”となるのは確実だ。不祥事からの“禊”を経たうえで、日本政治にどのような変革を起こすつもりなのか。新たな年の幕開けに、その決意を問うた。【全3回の第1回】

内閣不信任案への賛成も

 改めて2024年を振り返ると、世界の政治が大きく揺れた1年でした。米国ではトランプ氏が大統領選に勝利し、フランス・ドイツでは政権が倒れた。韓国は戒厳令を発端に大混乱が起きています。日本でも衆院選で自民・公明が過半数割れ。そうした激動の只中に、われわれ国民民主党もいるのだと感じています。

 世界はどんどん「分断」の方向に進み、極端なことを言う政治家や政党に票が集まる傾向がありますが、われわれは「対決より解決」「意見が違っても合意形成が大事」とまともに訴えて、議席を4倍に増やした。そんな政党は世界でもわれわれだけではないでしょうか。

〈国民民主党は先の衆院選で躍進。比例票で公明党を上回る617万票を獲得した。12月の各種世論調査での政党支持率は立憲民主党を抜いて野党1位になった。20代以下や30代の支持率では自民党も上回り、若者からの支持が集中している。〉

 与党過半数割れの結果、衆院は「ハング・パーラメント」と呼ばれる宙吊り国会になりました。これは、「自民・公明だけで物事を決めるな」という民意の表われであると捉えています。

 より幅広く様々な意見を聞くよう求める国民に対して、与党はもちろん野党も大きな責任を負っている。過半数割れした自公に対し、何でも反対、予算も法案もとにかく邪魔するようでは、野党もまた民意に見放されるでしょう。

 どの世論調査でも40歳以下の支持率で国民民主党が1位になっているのは、今まで政治が光を当ててこなかった現役世代、若者、学生の「静かな反乱」だと考えています。

〈総選挙で現役世代の支持を集めたのが、「手取りを増やす」というキャッチフレーズだった。具体的には「103万円の壁」と呼ばれる所得税の基礎控除引き上げだ。選挙後の国民民主党と自公の政策協議では「103万円の壁」をめぐり激しい攻防が続いた。7月に参議院選挙が控えるなか、国民民主がどう動くかにも注目が集まる。〉

 臨時国会の補正予算は国民民主のほかに日本維新の会も協力して成立しましたが、25年度の本予算ではどうなるかはわかりません。

 われわれが自民党と政策ごとに交渉するのは、国民に約束した政策を実現するためで、石破内閣の延命のためではない。自公の協力が得られないのであれば交渉から離脱します。自民・公明だけでは予算は通らないので“どうするんですか?”という話になる。

 あまりにも不誠実なら野党で協力して内閣不信任案を提出することもありうる。少数与党のもとでは可決されますから、石破政権も存続が難しくなるギリギリの状況に入っていく。

 今は粘り強く交渉を続けていますが、国民との約束を果たすための協力が得られないなら、交渉を離脱し、政策の実現に向けて次の参院選や衆院選で、もう一段の力を与えてくださいと訴え、選挙を戦うしかありません。

参院選が変革のスタート

 先の衆院選と同様、夏の参院選でも自公が過半数割れする可能性は高いでしょう。両院がハング・パーラメントとなれば、安定した政権の枠組みをつくる本格的な議論になるはず。総理が誰になるかを含め、日本政治が誰も想像ができない姿になるかもしれません。

 私は小選挙区と比例代表の組み合わせである今の選挙制度のもとでは、二大政党制は無理だと言ってきました。3~5つの政党が協力する穏健な多党制の時代に入らざるを得ないと考えています。

 実際、先の衆院選では、われわれだけでなく、日本保守党や参政党、れいわ新選組が票を伸ばしました。小選挙区制だけなら自民や立憲に入った票が、比例代表制があることで独立した小政党に入っている。それはつまり、今後は与党第一党も野党第一党も、過半数は取れないことが常態化することを意味します。ハング・パーラメントが普通になるということです。

 そうなった時、われわれのような中道政党が果たす役割はより一層、重要になる。よく、野党が全部まとまって“大きな塊”をつくればなんとかなるという話がありますが、私はそうは思わない。それよりもまず“正しい塊”をつくることが大切。最初のコアが正しくなければ、大きくしても意味がないし、そもそも大きくならない。だからこそ、改革中道という政策理念にこだわってきました。まず正しい塊をつくって、それをいかに大きくしていくかです。

 できれば、今の与野党を超えた大きな政界再編が起きたほうがいい。もう、既存の自民党対野党の構図では、急速に変化する世界を捉えきれない。

 夏の参院選はそうした日本の政治の舞台がぐるっと回るための本格的なスタートになります。大きな変革の中心に、われわれ国民民主党がいるのは間違いないし、私たちがそうした新しい変化を起こしていかなければなりません。

(第2回に続く)

※週刊ポスト2025年1月17・24日号

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