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《2025年は巳年》オバ記者が明かす蛇と触れ合った2つの思い出「筋肉の塊がうごめく恐ろしさといったら…」

NEWSポストセブン 2025年1月13日 7時15分

 2025年の干支は巳。動物の中でも蛇だけは苦手……という人も少なくないはず。そこで、体験取材を得意とする『女性セブン』の名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、自身の蛇との思い出を明かす。

 * * *
 明けましておめでとうございます。

 今年は巳年。蛇は“金運アップの象徴”といわれるけど、私も「金運爆上がりになりますように!」と、念には念を入れて四方八方に願をかけているわよ。何事も気の持ちようだもの。

 でも、実際の蛇そのものは、世の女性たちから嫌われているよね。実は私もあるときまではそうだったの。見かけただけでギャーッ! 道の真ん中にトグロを巻いていたら遠回りをしたり、子供の頃は石を投げて追い払ったりしたっけ。

 それが、忘れもしない1983年秋、日頃からお世話になっていた大先輩のライターTさん宅に遊びに行ったときのこと。お宅の近くまで着いて電話を入れたら、小学生の坊やが走って迎えに来てくれた。で、私の顔を見るなりニッコリ笑って、「はいっ」とTシャツの中から蛇を出してきた。ギョッとして後ずさりすると、「アオダイショウ。抱っこできるよ」と無邪気に言うんだわ。Tさんも「お、よく来たね」とやって来て、「蛇、触ったことないの? ほら、首から入れてやるから、シャツの襟、引っ張って」と言う。反射的に言う通りにしたら、アオダイショウはあっという間にTシャツの裾をインしたGパンのウエスト部分におさまったの。26才の当時の私は肌着なんか着ていない。素肌にブラひとつだから、アオダイショウの感触が直に伝わってくるんだわ。

 ヌルッではなくてサラッ。変温動物だからヒヤッとするかと思ったらまったく違った。ほんの少し動いただけで丸くなっている。気になって襟からのぞいたら、一瞬だけど、つぶらな瞳と目が合った。きっと、その目をかわいいなと思ったんだね。Tシャツの中のズシリとした重さのあるアオダイショウを両手で支えて歩いた覚えがある。

「なんでもそう。風評や印象だけで決めるものではない」なんて偉そうなことは口が曲がっても言わなかったTさんだけど、この一件は私に強烈なメッセージを突きつけた。Tさんはその数年後に50才でこの世を去ったけれど、あのときのやり取りはいまも私の脳裏にこびりついている。

大蛇が首を軽く締め始めた…

 蛇に触れたのはもう一度ある。

 42才のときで、それはアオダイショウではなくて、私の腕より太い大蛇だ。場所はタイ。当時タイに夢中になって、2年間で3回訪れている。その2回目は、女友達と象に乗ったり伝統の舞踊を見たり、典型的な観光旅行をしたの。そのときに「蛇と記念写真撮らない?」と女友達に言われて、「やろやろ」ということに。

 蛇使いのお兄さんは、まず女友達の首に2mはあろうかという大蛇をかけた。「へぇ、意外と重いね。写真撮った? じゃあもういい。サンキュー、フィニッシュ」と早々に大蛇から離れた彼女は、きっとよほど気味が悪かったんだね。

 で、次は私。20代でアオダイショウを抱いた経験があるから余裕のよっちゃんよ。首にかかった大蛇は確かに重たいけれど触った感触はアオダイショウと同じ。

「ええっ、平気なんだ?」と写真を撮りながら女友達が言うから、私もちょっと調子にのって、蛇使いのお兄さんが蛇の顔を近づけてくるたびに、唇をとがらせたり頰ずりをしたり。これ見よがしにやりたい放題よ。

 ところが、次の瞬間、思わぬことが起きたの。太い筋肉がゆ〜っくりと動いて、私の首の後ろから両横にかけて、軽〜く絞め始めたんだよね。ほんの数秒だったと思う。あわてて蛇使いのお兄さんが私の首から大蛇を外してくれたけど、筋肉の塊がうごめく恐ろしさといったらない。それ以来、本物の蛇に触れようとは思わなくなった。

 そういえば、巳年と聞いて身震いすることがまだあるの。実社会じゃ、本物の蛇より天敵かもしれない。

 それは漢字の「巳」と「己」と「已」よ。それぞれの読みは、「み」「おのれ」「すで」だけど、字面が似ていて区別がつきづらい。あと、「逃」と「逆」と「追」も微妙。そう、私は画数の少ない似たような漢字の書き分けが苦手なんだわ。

 ふんっ、「PC時代、漢字を書き分けられなくても関係ねえや」と開き直っているけれど、忘れた頃に人前で大恥をかく夢を見てうなされるんだよね。こんなオバだけど、今年もどうぞお見捨てなきよう、よろしくお願いいたします。

【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子/1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。

※女性セブン2025年1月16・23日号

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