Infoseek 楽天

琴櫻の綱取りが絶望的ななか気を吐く“もうひとりの横綱の孫” 好角家・やくみつる氏は「父親譲りの突っ張りが出ると強い」「静かに見守りたい」と期待

NEWSポストセブン 2025年1月16日 7時15分

 横綱ダブル昇進場所と期待された初場所だが、波乱続きの幕開けとなった。大関・琴櫻が2日目から3連敗し、綱取りは絶望的な状況となった。相撲担当記者が言う。

「年6場所制(1958年)になって以降、昇進直前場所で連敗を喫した横綱はいない。序盤(5日間)で3敗はおろか、3日目で黒星が先行したケースすらない。データ上は今場所での琴櫻の横綱昇進の確率は0%ということになる」

 綱取りに挑むもうひとりの大関・豊昇龍は3日目に苦手(対戦成績4勝6敗)としていた若隆景を一方的な相撲で破り、4日目も隆の勝を退けて4連勝。綱取りへ好発進を切った。

 2場所連続全休中だった横綱・照ノ富士は初日と4日目に黒星を喫し、初の大銀杏での土俵となった大関・大の里とともに序盤で早くも2敗となった。10月のロンドン公演を控え、「横綱不在」の状況は避けたい相撲協会だが、目算通りにはなかなか進まないようだ。

 そんな初場所で気を吐くのが、もうひとりのサラブレッドである王鵬だ。祖父は大鵬、父は貴闘力。琴櫻と同じく“祖父が横綱、父が関脇”という環境で育った。最高位は前頭筆頭で、まだ三役経験はない。今場所も西前頭3枚目だが、初日から阿炎、若隆景、若元春、大栄翔と三役を連続で撃破。無傷の4連勝となった。

 初場所前、王鵬に注目していたのが好角家として知られる漫画家のやくみつる氏だ。本誌1月4日発売号掲載の杉山邦博氏(相撲ジャーナリスト)との対談企画で王鵬に触れていた。

「琴櫻に勝ちたい」という意思を示した王鵬

 やく氏が尊富士の足首について「怖いぐらい細く見えますよね」と発言したのに対し、杉山氏が「昔、土俵の鬼といわれた初代若乃花さんが、入門した弟子に“足を見せろ”と言った。その時に足首がキュッと細く締まっていると“よし”と言った。それが出世する力士だそうです」と応じる。するとやく氏は王鵬についてこう続けた。

「それで言えば(王鵬は)足首が太いんですよね。ただ、決して大きなことも言わないし、話題になることもあまりないんですが、2024年の富岡八幡宮の豆まきの後の直会で相撲の話をしたんです。

 当時の王鵬は琴櫻に全く勝てなかった。聞いてみると“(琴櫻は)気持ち悪いぐらい全部吸収されちゃう”と言う。でも琴櫻に勝ちたいっていうかなり強い自分の意思を表明していた。それで、目下琴櫻に2連勝中なんですよね。確実に対処法を掴んだみたいです。九州場所も唯一琴櫻に土をつけましたしね。

 実に静かだし、茫洋としているし、話題に上らないんですけど、これがもう一息番付を上げて、小結で10勝とかいう成績になると、急に世間の耳目の集中するところとなると思います。それまであんまり騒がないで見ていただきたいのが王鵬ですね」

 そう密かに期待を寄せた。琴櫻は王鵬にとって埼玉栄の2学年先輩にあたるが、対戦に静かな闘志を燃やしていたわけだ。さらに、やく氏はこう付け加えた。

「組むとまだ全然だなと思うんですけど、突っ張りが出た時は別人。普段はおじいちゃん(大鵬)が出ているが、突っ張りが出てお父ちゃん(貴闘力)が出てきた時は強いんですよね」

“もうひとりの大横綱の孫”の躍進はなるか。優勝争いの先頭に立ち、周囲が騒がしくなっているが、この先も静かに見守りたい。

この記事の関連ニュース