三菱UFJ銀行の元行員・今村由香理容疑者（46）が2024年9月、勤務する支店の貸金庫から顧客の金品を盗んだ疑いで、1月14日に逮捕された事件。メガバンクの信用を揺るがす事件に驚きの声が上がる一方、今村容疑者の巧妙な“手口”が明らかになりつつある。
三菱UFJ銀行は1月16日、金品を盗まれた顧客がこれまでの約60人から約70人に増え、被害総額は約14億円に登ることを発表した。被害の人数や金額はさらに増える可能性があるという。
「今村容疑者は逮捕容疑となった金塊役20kgを含む金品を盗み出し、FX（外国為替証拠金取引）や競馬などで出した多額の損失の穴埋めに盗みを繰り返していたといいます。
本人は1999年に三菱UFJ銀行に一般職で入社。その後面接や筆記試験を経て、総合職に転向した。事件を起こした2024年は練馬支店に勤務しており、支店長代理を務めるほどの出世を遂げていました。現場となった貸金庫の鍵も、彼女が管理していた」（全国紙社会部記者）
自らの立場を悪用し、犯行に及んでいた今村容疑者。14億円にのぼる財産を盗み出した手口はどのようなものだったのか。
別の社会部の記者は、「今村容疑者は、発覚を防ぐために相当腐心していた」と語る。
「彼女は発覚まで、あくまでも『最後には元通りにする』という意識で犯行に及んでいたとみられる。顧客の貸金庫から金品を盗る際には、事前にスマートフォンで写真を撮り、どこにどの金品が置かれていたかを記録していた。どこから何を盗ったかの“窃盗メモ”を紙で記録し、損失の穴埋めに奔走していたそうです。
彼女は立場的に、貸金庫周りの防犯カメラを見られる立場にいた。盗んだあとの補填ができていない顧客が来店すると、自らシステムの電源を切って、『システムの不調で…』と追い返すことで、発覚を免れようとしていたそうです」
夕方ごろになって「昼休憩」
さらに、日頃の勤務態度にも“異変”が感じられたという。
「基本的に勤務態度に問題はなかったようですが、同僚の間では『そういえば…』ということがあった。当該支店の貸金庫は一般客の利用時間が15時までなのですが、今村容疑者はいつも夕方16時ごろに昼休憩をとっていたそうです。今考えると、利用客がいない夕方に貸金庫で悪事を働いていたのかもしれない」（同前）
2024年10月、顧客からの問い合わせで発覚したこの事件。異変を訴える顧客にも、今村容疑者は巧妙な説明を続けていたのだという。
「貸金庫の管理担当者が今村容疑者でしたから、顧客からの問い合わせは基本的にまず彼女にいく。彼女は問い合わせがあると、後日顧客を呼び出し、『実は銀行内に忘れ物が…』と説明して直接金品を渡していたそうです。そうして発覚を遅らせ、補填しようとギリギリの“隠蔽工作”を続けていた」（同前）
優秀な仕事ぶりからキャリアアップを果たし、責任ある立場にいた彼女。犯した罪の大きさは、計り知れない。