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「溜席の着物美人」が相撲の観戦マナーを語る ブーム到来で「土俵溜まりで応援タオル」問題などが発生も…「守られないことが多いルールとは」

NEWSポストセブン 2025年1月20日 11時15分

 横綱・照ノ富士が休場から引退に追い込まれ、上位陣が次々と星を落とす波乱の初場所。土俵周りでは溜席での著名人の観戦が次々と話題となっている。著名人に限らずNHKの大相撲中継に映り込む向正面の溜席で観戦したいという相撲ファンも増え、初観戦が向正面の溜席という人もいるのだという。そうしたブームにより、新たな問題が起きている。

 これまでは中入りや審判の交代時に館内放送で「土俵溜まりでご観覧のお客様にお願いします。土俵溜まりでの飲食やカメラの撮影は禁止されています」と流れていたのが、最近になって「土俵溜まりでは応援タオルや横断幕を掲げての応援はお控えください。また携帯電話の使用は一切できませんのでご了承ください」に変更されている。協会関係者が言う。

「土俵にいちばん近い客席は基本的に溜席と呼ばれ、常連や本場所競技に立ち会う維持員の席となっている。相撲通が座っているため、黙っていてもマナーやルールを理解していた。ところが、相撲人気が高まると観戦が初めてという人が多くなり、マナー違反が問題になることが多い。

 最近多いのが売店で販売されている応援タオルを掲げるケースです。仕切り中の早い段階から掲げていると隣の常連が注意したりするが、中には仕切り中は何もせず、取組が始まるといきなり掲げるというずる賢いやり方も少なくない。NHKは生中継なので止める間もなく全国のお茶の間に流れてしまう」

 

常連客にとっては「常識」

 今場所の初日に落語家枠とよばれる東花道近くに溜席に座ったは売店で売っている高安の四股名が書かれた応援うちわを掲げていたが、3日目の結びの一番で向正面の最前列に座った男性が照ノ富士の応援タオルを広げているのが中継でも映し出された。

 

 日本相撲協会の公式HP内の維持員制度の説明のなかでも、維持員のマナーとして「タオルを掲げる行為はお控えください」と書かれるようになった。

 九州場所では、力士が着ている四股名入りの浴衣をワンピースなどに仕立てて毎日観戦する女性が登場して話題になったが、この女性は「溜席では応援タオルを掲げることができないので、浴衣地なら掲げてもいいだろうという考え方です」と語っていた。やはり常連にとって応援タオルNGは常識のようだ。茶屋関係者が言う。

「夏場の本場所では土俵溜まりで扇子やうちわで扇いでいる人も多いが、なかには自分が経営する飲食店の名前を書いたうちわを掲げる着物女性などもいる。店の宣伝になっていると一部の維持員からクレームが出たが、扇子やうちわの使用が禁じられているわけではないため注意できないでいるようです」

「最後まで見てください」と声を掛ける

 毎年11月の九州場所では控え行司のすぐ隣の溜席に15日間通い続け、ネットニュースで取り上げられたこともある「溜席の着物美人」。初場所は初日に向正面の溜席5列目中央あたりに赤の着物で座り、6日目には西溜席2列目に桜色の着物で、7日目には再び初日と同じ溜席に刺繍の入ったクリーム色の着物で登場している。

 本人に話を聞くと、「大相撲中継は世界に配信されているので、相撲文化はもちろん着物もちゃんと着て日本の文化を伝えられるように心掛けています」としたうえで、こう続けた。

「飲食はもちろん、大きな声を出しての応援をしないといったマナーはみんな守っているんじゃないですか。ただ、弓取り式が終了するまで着席しなければいけないが、これを守らない人はよく見かけます。結びの一番の勝者に代わり、弓を受けて行なう儀式ですからね。そういう人がいると“最後まで見てください”と声を掛けます」

 相撲は競技であると同時に伝統文化、神事などの側面もある。相撲ブームは喜ばしいことだが、観戦者も恥ずかしくない行為を心がける必要がありそうだ。

 

 

 
 

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