中居正広(52才)の女性トラブルに端を発したフジテレビの窮地。同局はいつ、中居のトラブルを把握していたのか。そして、それに対してどのような対応をしてきたのか。かつて「楽しくなければテレビじゃない」を謳ったテレビ局の“病巣”に迫る。【前後編前編】
フジテレビの港浩一社長が1月17日に行った記者会見は、CMクライアントのフジテレビ離れを決定づけるものとなった。CMの差し替えを決めたのは、トヨタや日本生命、NTT東日本、マクドナルドなど、その数は50社を超えた。なぜこうした雪崩が起きたのか。ある企業の広報担当者は会見の質の悪さを指摘する。
「参加社を記者クラブの加盟社に限定した閉鎖性と、放送局でありながら映像をNGとする本末転倒ぶりには呆れました。何より、一般企業が不祥事を起こしたら『説明責任を果たせ』『会見を生中継させろ』と主張してきたのは、ほかならぬフジテレビです。都合が悪くなると自分たちのことは棚に上げて逃げ回る姿勢を見て、見切りをつけたのはうちの会社だけではないはずです」
会見では質問に対して「回答を控える」という発言が続いたことも問題視された。
「1年半前に女性から被害の訴えを受けておきながら、中居さんの番組を継続し、なんの説明もないまま広告出稿を受け続けてきたことは、クライアントへの大きな裏切りです。被害女性のプライバシーに配慮することと、中居さんの番組を継続することは別問題ですよね。
内容に踏み込まずとも、『看過できないトラブルがあったから番組を終了する』と判断し、クライアントに伝えることはできたはず。トラブル自体は港社長も把握していたというのですから、会社ぐるみで500日以上も隠蔽していたと思われても仕方ないのではないか」(前出・企業の広報担当者)
それだけではない。港社長は会見で、「(中居の番組を)唐突に終わらせることで臆測を呼ぶことを避けたかった」という説明を繰り広げたが、中居に対しては番組を終わらせなかったどころか、新規の出演依頼まで行われていたのだ。
「昨年は、パリ五輪やメジャーリーグのワルードシリーズ関連の特番に、トラブルを把握した上で中居さんを起用しました。昨年末の『中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞』でも彼はMCだった。
この番組は2015年から中居さんの名前を冠しているとはいえ、レギュラーではなく季節もの。『今回もよろしくお願いします』とオファーしたということ。トラブルが公にならなければ、これまで同様に中居さんを起用し続けるつもりだったわけです」(芸能関係者)
港社長とA氏との厚い信頼関係
会見では「私自身も調査対象」と語った港社長。バラエティー畑出身の彼は、芸能事務所との人脈も豊富で、そうした取引先との会合には、率先して女性アナウンサーを招いていたとも報じられている。
「フジの女子アナアイドル路線を決定づけた『◯◯パン』シリーズを考案したのが港さんです。彼は女性アナウンサーの適性を見抜く力があり、また、悩みごとを抱えていると感じたら、すぐさま助け船を出す“気配り上手”でもありました。
人望もありましたが、一方で、報道されているように芸能事務所との会食に女性アナウンサーをアテンドしていたことは社内でもよく知られていました。現在、問題視されているフジテレビの接待文化の中心にいた人物ともいえるでしょう」(フジテレビ関係者)
そんな港社長は、トラブルへの関与が指摘される編成幹部A氏とは厚い信頼関係で結ばれている。A氏が自ら率先して吹聴してきた逸話は、その関係性を物語る。
「いまから20年近く前、フジの人気番組内で、旧ジャニーズ事務所の若手アイドルが、近藤真彦さんの名前を出していじったことがありました。台本通りで、その場では笑いが起こったのですが、これにメリー喜多川氏が激怒。港さんとAさんはともに事務所に呼び出され、メリー氏に『Aのボーナスをカットしなさい』と命じられた港さんは、間髪入れずに『わかりました』と受け入れたそうです」(前出・芸能関係者)
実際にボーナスが減額されたかは定かではなく、A氏自身もおもしろおかしく武勇伝として語っていたようだが、芸能事務所やタレントに過剰なまでに忖度し、関係性を維持しようとしてきた港社長の姿勢を象徴するエピソードだろう。A氏がやがて“中居第一主義”に走るのは、そんな上司の姿を間近で見てきたからなのかもしれない。
(後編へ続く)
※女性セブン2025年2月6日号