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《大谷翔平との通訳生活》水原一平被告が申立書で主張した「過酷な労働環境」「給与水準」裁判所に情状酌量を求める

NEWSポストセブン 2025年1月27日 7時15分

 ドジャース・大谷翔平選手(30)の口座から1700万ドル(約26億3000万円)を不正送金したとして、銀行詐欺罪などに問われている元通訳の水原一平被告(40)。1月23日(日本時間)、米連邦検察は4年9か月の禁固刑と釈放後3年間の保護観察、大谷選手への1697万5010ドル(約26億円)の賠償金支払いなどを求めた。

 一方、水原被告は情状酌量を求めて、裁判所に申立書を提出。そのなかで水原被告は、自身が過酷な労働環境にあり、その対価に見合った報酬を与えられていなかったなどと訴えている。NEWSポストセブンは、水原被告の供述などが記載された複数の申立書を入手した。裁判資料を一部抜粋し、水原被告の主張を振り返る。【前後編の前編】

「ひどい低賃金だと感じていた」

「寛大な判決をお願いします」──申立書の冒頭で水原被告はそう前置きしていた。一部報道では、「最長33年の禁固刑」といった判決が出る可能性が指摘されてきたこともあり、水原被告が裁判所に提出した書類には、減刑を求めることを目的に、自身の窮状を訴える文言が並んでいる。

《通常、日本の野球選手がアメリカの球団に移籍する場合、さまざまな仕事を担当する複数のスタッフを帯同させるものだが、翔平が帯同させたのは私だけだった。翔平が行くべき場所まで車で送り、頻繁に買い物に行き、彼が必要だというときは常に動いていたので、24時間体制で待機しているような感じだった。

 多忙な野球のスケジュールに加え、日米間でエージェント業務をこなすなか、時差もあって夜中の12時過ぎまで対応に追われ、寝不足になることも多々あった》(裁判資料より一部抜粋。以下同)

 水原被告は書類のなかで、自身を肉体的・精神的に追い詰めたのは、10月から1月までのオフシーズンだったと主張している。

《翔平は週に5~6回トレーニングをしていて、私は施設の予約、練習用具の準備と片付け、練習の撮影と記録、トレーニング・パートナー、往復の運転、翔平の投球・打撃・リハビリの担当者への連絡などを担当していた。さらに、彼の婚前契約の準備のための日米の弁護士の調整と打ち合わせへの出席など、毎日の用事もこなした。それに加えて、トレーニングの合間を縫って週1回ある彼のCM制作の日を設定するために、すべてのスポンサー会社や証券会社と連絡を取るのも私の仕事だった》

 このように訴える水原被告は続けて、大谷とのあいだの“金銭事情”についても触れる。

《これらの仕事に対して、翔平は10月から1月までは月平均およそ40万円(約2500ドル)、2月から9月までは月平均およそ2万円(約130ドル)を私に支払っていた。10月から1月までは月40万円(約2500ドル)、2月から9月までは月2万円(約130ドル)。なぜ10月から1月が高いかというと、その月はオフシーズンで野球チームから給料をもらっていなかったからだ。私はひどい低賃金だと感じていましたが、自分から声を上げることができませんでした》

「ギャンブル依存症」に陥った理由

 さらに申立書には、エンゼルス時代の給与が低かったこと、そして大谷の自宅近くに住む必要から、自身の住まいが高額な家賃であったことなどが記されていた。また、水原被告にオファーのあった本の執筆やテレビ・ラジオでのインタビュー、テレビCMへの出演などについても、大谷からNGを出されていたなどと主張している。

 こうした理由もあって経済的に困窮するなか、2021年に水原被告は違法なブックメーカーを運営するマット・ボイヤーと出会い、ギャンブルに手を出したのだという。

《当時、お金に困っていた私は、経済的に助かるチャンスかもしれないと愚かにも考え、スポーツベッティングのために彼のウェブサイトを利用し始めた。しかし、その結果はいつの間にか真逆になっていた。ギャンブルでの借金が膨らみすぎて、翔平のお金を使う以外に支払い方法が見つからなくなってしまった。

 日が経つにつれて、私の借金はどんどん増えていき、この時点で、この借金から抜け出して彼に返すには、ギャンブルで勝ち取るしかないと思った。当時の私は間違いなくひどい依存症で、ギャンブルをしている間は人生に希望しか見えていなかったような気がします》

 だが、水原被告の収入が上記のような少ない金額だったとは言えないようだ。検察側は年収について、エンゼルス時代が25万ドルと日本円で4000万円近くにのぼる金額だったことを明らかにし、さらにドジャース移籍後は50万ドルと倍になったことを明かしている。そんな収入を得ていてもギャンブルで溶けていったのだ。

 米連邦検察は「水原被告の犯行は“ギャンブル依存症”などではなく、彼の強い欲にある」と指摘している。はたして水原被告は、“欲深い男”か、それとも自らを破滅させるまでに大谷に尽くした“悲劇の男”か。

 後編記事では、水原被告が申立書のなかに記した大谷、そして自身の妻への「感謝」と「謝罪」についてを詳報する。

(後編に続く)

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