1月25日、六代目山口組の司忍組長が83歳の誕生日を迎えた。愛知県の傘下組織事務所にて行なわれた誕生日会にNEWSポストセブンは密着した──。【前後編の前編】
「もともと神戸市にある総本部で行なっていたのですが、六代目山口組が『特定抗争指定暴力団』の指定を受けたことにより事務所への立ち入りが制限されました。2023年から警戒区域外にある傘下組織事務所を使うようになりました。
以前は司組長の誕生日会と同時に新年会も開催していて、友好・親戚団体も招いていたが、コロナ禍や『特定抗争指定』などの影響もあり、数年前から誕生日会だけを行なっている。ただ、全国から直参組長が駆けつけるので、警察やマスコミが高い関心を寄せていることには変わりはありません」(実話誌記者)
13時30分過ぎ、取材班が会場前に到着すると、すでに愛知県警の組織犯罪対策課の警官が目を光らせていた。14時ごろに若頭補佐の極粋会・山下昇会長を乗せたと見られる車両が到着すると下ろされていた会場のシャッターが上がる。敷地内にナンバー2である高山清司若頭の乗用車が確認できたので、執行部(一般的に若頭、舎弟頭、本部長、若頭補佐らを指す)は顔を揃えていたと推測される。
「ヤクザは時間厳守が基本ですが、なかでも司組長の誕生日会に遅刻するのは絶対厳禁だと言われています。そのため前日入りする遠方の組長もいる」(同前)
その後、直参組長を乗せたと見られる高級車が何台か到着したが、警察対策か、ガレージを下げ、乗員が外から見えないようにしていた。
14時50分になると、大量の花束が搬入される。司組長、高山若頭の出身母体である弘道会の野内正博若頭がせわしなく動いている様子が確認され、昨年12月末の餅つき同様現場指揮を担っていたと見受けられる。
その後、到着した4台の車両の車両窓には内側に黒幕が張られていて中を確認することはできなかった。
「警察対策だと思われます。分裂抗争も今夏で丸10年に突入し、長期化しているが、今年1月19日には神戸山口組の井上邦雄組長宅に、六代目山口組系元組員が火炎瓶を投げ込む事件が発生するなど、予断を許さない状況です。
警察としても幹部陣から情報を得るために事情聴取、逮捕などの口実を探っている。2022年末の餅つきではプロパンガスの運搬方法をめぐって事務局長の篠原重則・若林組組長ら5人を逮捕しています。こうした背景もあり、山口組側も警戒しているのでしょう」
83歳を迎えた司組長が会場入り
16時30分頃、「あと10分で到着です」の声が響くと現場に緊張が走る。シャッターが上がると高山若頭をはじめとしたスーツ姿の最高幹部、直参組長がズラリと姿を現す。ここで注目を集めていたのが山健組の中田浩司組長だった。中田組長は2019年に起きた銃撃事件で殺人未遂などの罪に問われていたが、昨年10月に神戸地裁が無罪判決を下したことで話題を呼んだ人物でもある。
「誕生日会の前日24日に、組織内で人事が行なわれ、中田組長が若頭補佐に昇格したという情報が流れた。直参組長は“プラチナ”と言われる山口組の代紋バッジをつけているが、執行部入りすると代紋バッジにチェーンがつく。実際、中田組長の胸元にはチェーンつきの代紋バッジが確認されたので、執行部入りしたと見ていいだろう」(警察関係者)
16時39分頃、 司組長を乗せた高級セダンが到着。その前後には前後に護衛の車を従えていた。若頭補佐の竹内照明・弘道会会長がドアを開けると、直参組長らは一斉に「お疲れ様です」の声を出して司組長を出迎えた。この日の司組長の服装は灰色の着物姿で、警察、メディアが一斉にシャッターを切る。
白い足袋に下駄を履いた司組長は意にも介さない様子で、軽い足取りで会場入りしたのだった。
(後編に続く)
■撮影:浅沼敦